[劇評]大森カンパニー「更地 SELECT SAKURA9」@小劇場B1(下北沢)

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大森カンパニーの『更地 SELECT SAKURA』は、過去の名作をリバイバルで再構成した舞台。新鮮な演出と笑いの連続で観客を魅了し、時折感じた違和感も含め、印象深い体験となりました。

劇団 大森カンパニー
題名 更地 SELECT SAKURA9
公演期間 2025/01/28/span>2025/02/02

故林広志/大森博

演出 大森博
出演者 山口良一:スタントマン, 新鮮な戦い, 大明神, 魔神現る
菊池均也:スタントマン, 飼い主, 笑うバイト, 夫婦, Reborn
及川奈央:スタントマン, 逆家族, 進路指導2, お得な募金, 魔神現る
坂本岳大:進路指導1, 新鮮な戦い, 進路指導2, けんかをやめて, 大明神, Reborn
鈴木ゆか:進路指導1, 進路指導2, お得な募金, 夫婦
山城屋理紗:進路指導1, 飼い主, 進路指導2, けんかをやめて, 大明神
依里:進路指導1, 進路指導2, けんかをやめて, Reborn
黒田篤臣:逆家族, 新鮮な戦い, 笑うバイト, Reborn
大森ヒロシ:スタントマン, 逆家族, 飼い主, けんかをやめて, 魔神現る
劇場
小劇場B1(下北沢)
観劇日 2025/02/01(マチネ)

目次

新旧が出会う舞台の魅力

大森カンパニーの『更地 SELECT SAKURA』は、長年続く「更地」という、コント風のお芝居を多数連ねた舞台の、過去の名作をリバイバルでセレクトして上演する企画です。僕自身は2010年頃からこの舞台を観に行っており、以前に見たことがある作品も含まれていましたが、記憶に残っているものは少なく、結果としてほぼすべての作品を新作のように楽しむことができました。

大森カンパニーの『更地』の最大の特徴は、舞台そのものが「更地」である点です。素舞台の上に、さまざまなシチュエーションのコメディ作品が展開され、今回も合計13作品がラインナップされました。

二人の掛け合いが生む笑い

特に印象深かったのは、山口良一さんと大森ヒロシさんが出演する作品です。いわゆる『更地』定番二人コントである「魔神現る」は、2人の掛け合いが非常に面白く、会場は笑い転げる盛り上がりとなり、ラストもとても印象的でした。

また、及川奈央さんと鈴木ゆかさんが演じる「お得な募金」も好印象でした。
さらに、「逆家族」では、その及川さんと山口さんの両親が、良い子に育ってしまった子供をどうにかして悪い子に変えようとする斬新な発想がユニークで、観る者を楽しませました。

更地への参加経験のあまりない菊池均也さんの本領が発揮されたのも、大森さんとの掛け合いが大半を占める「飼い主」でした。他の俳優さんにない菊池さんの独特の雰囲気(妖艶さ?)と大森さんの真面目さがミスマッチがあってかなり笑いました。

笑いの中に感じる微妙な違和感

一方で、最初に上演された数作品では、オチに至るまでの時間が長く感じられ、いつもの『更地』と比べるとどこか気持ち悪い印象を受けました。特に「進路指導1」では、すぐに芝居がかかってしまう役者たちが学校の進路指導を行う設定が、どこかざわざわする不快感をもたらしました。

また、「けんかをやめて」では、山城屋理紗さん、依里さん、坂本岳大さん、大森ヒロシさんが学生役を演じていましたが、劇団最年少の依里さんでさえ既に30歳を超えているため、学生服姿での登場そのものに出落ち感を感じさせ、笑いを誘いました。
上演当時とは違って2025年だからこそ笑えるシーンだったのかもしれません。もちろん、コントもアクションも最高だったのですが。

終幕に残る余韻

『更地 SELECT SAKURA』は、十数年前の作品『更地7』からもいくつもラインナップに含まれていました(見たときかすかに見覚えがあるなと思ったのは、魔神現るだけでしたが😅)
当時とは異なる新たな面白さを見せてくれました。全体としては、約1時間40分にわたる笑いの連続でしたが、最初の方で感じた違和感が残念でした。
更地7の感想は以下。このときも「魔神現る」を絶賛しているので、好きな作品なんだなと改めて認識しました

プロデュース・ユニット大森&故林「更地7」@シアター711(下北沢)

以上 2025年2月1日にみた更地 SELECT SAKURA9の感想でした

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