大森カンパニープロデュースvol.53『更地21』。脚本提供は故林広志、脚色・構成・演出は大森博。下北沢・ザ・スズナリで、シュール風刺を効かせた大人向けコントが展開されます。

劇団 | 大森カンパニー | ||||
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題名 | 更地21 | ||||
公演期間 | 2025/5/31~2025/6/8 | ||||
脚本提供 | 故林広志 | 脚色/構成/演出 | 大森博 | ||
出演者 | 田中真弓/山口良一/竹内都子/大森ヒロシ/佐久間哲/山本芳樹/福田ユミ/速水映人/依里/黒田篤臣 | ||||
劇場 |
下北沢 ザ・スズナリ
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チケット料金 | 前売5,500円/当日5,800円 U‑28前売3,500円/当日3,800円 配信3,500円 |
目次
はじめに──“更地”の最新作をいち早く観に
2025年5月31日から6月8日まで、下北沢・ザ・スズナリで上演された大森カンパニープロデュースvol.53『更地21』を観劇しました。脚本提供は故林広志さん、構成・演出は大森博さんが手掛けた、大人向けコント舞台です。
故林広志×大森博コンビが描く短編コント集
シュールでひりつく笑いと風刺を効かせた短編が連続する構成。演者たちのアドリブを含んだ掛け合いと、構成の計算高さが混ざり合い、独特の世界観を創り上げていました。
印象に残ったコント①:三島課長の退職
山口良一さん演じる三島課長は、退職を控え「ハラスメントしていないか?」と過剰に気にする人物。部下との会話が少しずつズレていく様子が滑稽で、構成と演技が見事に調和していました。
印象に残ったコント②:認証FOREVER
マイナンバーや顔認証の“認証地獄”を風刺した作品。顔認証がいつまで経っても通らない設定に、多くの現代人が共感できる笑いとリアルさが感じられました。
印象に残ったコント③:伝統
父の日にちなむ“不思議な地元伝統”をネタにしたコント。竹内都子さんの名調子と佐久間哲さんの表情によって、架空ながらリアルな“お父さん祭り”が見事に描かれました。
印象に残ったコント④:ファッションショー連作
毎年恒例の三部作連作コント。ファッションショーをテーマにしていましたが、序盤から展開が読める出オチ感がやや惜しかったです。昨年速水映人さんを見ている観客は、最後に豪華な出で立ちで出てくるのは、読めてました😅
それでも速水映人さんの早替わりは圧巻で、美しさに見入ってしまいました。
印象に残ったコント⑤:山口良一×大森ヒロシの二人コント
大阪万博をモチーフにしたヒューマノイド型アンドロイドもの。山口さんのロボット演技に、二人の息がぴたり合った熟練の掛け合い。脚本以上に、ほぼ即興とも言える“共作”的構成が光っていました。
キャストの妙味
- 田中真弓さん:紫色のウィッグ姿で“シラコ”を演じ、圧倒的な存在感を発揮。歌も演技も引き込まれるパワーがありました。
- 依里さん:最年少ながら舞台前の案内を一手に担い、プロ意識を感じさせる振る舞いが印象的でした。
- 福田ユミさん:どのシーンでも花を添える演技で、コント以外の舞台でも観てみたくなる魅力がありました。
- 山本芳樹さん:スタジオライフの名俳優らしく、硬軟自在に役柄を演じ分け、作品を支える存在感でした。
おわりに──雑多な調和が「更地」の真髄
まとまりに欠ける感想かもしれませんが、「更地21」はまさに多彩な短編の集合体。一本ごとに色合いが違うコントが、雑多に響き合う“調和”。それがこのシリーズ最大の魅力だと改めて感じました。次回作も、また観劇しに行きます。
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