面白い小説を読んでいると、読み進むうちにその残り少なくなる頁数が、無性に寂しく感じる時があります。その小説が、独自の世界を持っており、僕自身が、その世界にどっぷりはまっている時にそう感じる事が多いようです。
この芝居が終盤に向かっているとき僕が感じた感覚はまさにそんな感じでした。
劇団 | 桃唄309 | ||||
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題名 | 五つの果物 | ||||
公演期間 | 1997/10/30~1997/11/03 | ||||
作 | 長谷基弘 | 演出 | 長谷基弘 | ||
出演 | 羽田勝博、土方レオーネ、吉原清司 、森宮なつめ、森田聖子、板橋美和、橋本健、小早川典子、楠木朝子、坂本絢 、木滝和幸、嶋村太一、石井なつき、山本浩司、幸山ひとみ、内田義也 | ||||
劇場 | 駅前劇場(下北沢) | ||||
観劇日 | 1997年11月3日 |
満州事変前から満州事変に至るまでの満州を舞台にした芝居。当初から、ナレーションをしている男(土方)が気になる。そんなに見たことがあるわけではないが、長谷さんの舞台にナレーションというか状況説明があるのが、ちょっと違和感がある。やがて、この舞台自体が、そのナレーションをしている男が書いた現実の歴史をたどった小説の世界なのだとわかる。
その後ストーリーは、恐らく戦後である時代と、小説の舞台となった世界が交差する。
まったく、暗転がなく、舞台上から人が消えることもない構成の中で、複雑になりそうになりながらも、恐ろしくスマートにストーリーは、時間と空間を自由自在に変えていく。当時の満州にすむ多数の民族を代表するかのように多様な出演者達の背景が、細かく設定されていて、どの出演者を見ても主人公と見まがうばかりに多くの事を明に暗に客席に語りかける。まさに、長谷さんは、僕を捕らえて放さない「世界」を舞台上に構築していた。
実際、芝居を見て一日たっても、役者の誰が良かったとか、どのシーンが心に残ったとか、そういう感想がもてない。今まで印象に残った芝居とは、常にそのいずれかがあったのに。かといって、印象に残らない芝居などでは、ない。しいていえば、その「世界」が心に残った。うーーん。こんな芝居があったんだなぁ。
ほんと、仕事で忙しかった事にかこつけて、最近足を運んでいなかったことが悔やまれます。次回は人情食堂さくらの再演。楽しみです。
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