[劇評]演劇引力廣島P「わたしのそばの、ゆれる木馬」@アステールプラザ広島

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広島のプロデュース公演「演劇引力廣島」第21回公演として上演された「わたしのそばの、ゆれる木馬」。1968年生まれの主人公・花子の人生を通じて、昭和から令和にかけての女性たちの生き方を描く。女性ホルモンを擬人化した独特の演出と、時代を象徴する舞台装置が印象的な作品だ。広島在住の作家による等身大の視点と、世代を超えた女性たちの普遍的な物語が胸に響く。

劇団 演劇引力廣島
題名 わたしのそばの、ゆれる木馬
公演期間 2025/2/192025/2/23

仁科久美

演出 本坊由華子
出演者 市原真優: 日本花子
江島慶俊: 同級生フサコ、花子の夫タロウ、後輩記者アヤノ、ウジくん
河原隆乃介: コマバラ先輩、DCブランドの男、先輩記者、産婦人科医師、大阪弁の編集長、韓国の大学生学くん
後白早智子: 花子の母、先輩記者ミカコ、後輩ノリコ
瀬来晴香: 幸子
高良日菜: 花子の娘百花
林大貴: 花子の父、同級生ケーコ、先輩記者タケウチ、中年男性
藤本伸二: ばあや(謎の少女)、バレーボール部員、ディスコダンサー、看護師、握門さ除のおばちゃんウメコ、乳酸菌ドリンクのレディ、公園の中年女性、占い師
安井静江: 空間プロデューサーのサカシタさん、90年代の編集長、花子のウワサの母さん、公園のおばあさん
劇場
アステールプラザ広島多目的ホール(広島)()
観劇日 2025/2/23(マチネ)

目次

🎭 演劇引力廣島と作品概要

「演劇引力廣島」は、広島の演劇文化を発信するプロジェクトで、今回で第21回目の開催。以前、東京で上演された天海祐希さん主演の「広島ジャンゴ」も、このプロジェクトから生まれた作品でした!

[劇評]コクーンプロデュース「広島ジャンゴ」@シアターコクーン

今回の「わたしのそばの、ゆれる木馬」は、広島在住の仁科久美さんが第28回日本劇作家協会新人戯曲賞佳作を受賞した作品で、演出は劇団「世界劇団」の本坊由華子さんが担当しました。

🎟 観劇までの道のり – キャンセル待ちのドキドキ感

実は、この舞台を観に行ったのは 千秋楽 だったんですが、正直「広島の演劇なら当日券で余裕で入れるだろう」と思ってました😅。でも劇場に着くと…なんと満席でキャンセル待ち!これは予想外でしたが、逆に「人気の舞台に巡り会えた!」と嬉しくもありました😊

キャンセル待ちの整理番号は6番。ちょっと不安でしたが、なんとキャンセル待ちの中で 一番最初 に呼ばれて(6番の番号の意味はなんだったか未だ不明😅)、しかも前から2列目の良席をゲット🎉ラッキーでした!客席の様子をみるとやっぱり千秋楽ということもあって、出演者の知り合いの方も多かったのかもしれません。

🌎 舞台装置と回転舞台の演出

まず目を引いたのは、ステージの装置!建設資材の足場のような骨組みに、昭和から令和までの家電や家具が雑然と配置されていました。テレビ、木馬、小さなピアノ、電子レンジ、炊飯ジャーなどが並ぶ光景は、時代の移り変わりを象徴しているようでした。

そして、久しぶりに見た 回転舞台 !でも、これが必ずしも効果的だったかというと…うーん🤔。回転によって場面転換が劇的に演出されるわけではなく、回転の意味がちょっと掴みにくかったかなと。ただ、もしかしたら登場人物の 心象風景 を表していたのかもしれません

👩‍🦰 主人公・花子と多様な女性たちの人生

物語の主人公は、1968年生まれの女性 **花子**。小学校から大学、就職、結婚、子育てまで、彼女の人生が描かれます。私は同年代なので、舞台で描かれる出来事に思わず共感。例えば、小学生の頃に熱中した ピンク・レディー や 山口百恵、バブル期の お立ち台 など、懐かしい記憶がよみがえりました😊

一方で、女性たちが社会で直面する偏見やプレッシャーに少しずつ心を壊されていく様子には胸が痛みました💔。主人公の花子と対照的な生き方をする同級生の 幸子、令和を生きる娘の 百花 を通して、時代によって変わる女性の生き方や悩みが描かれていました。私自身同年代を生きてきたとはいえ、男性として生きてきたため必ずしも彼女たちの苦悩を実感することができるわけではありませんでしたが、色々と考えさせられるシーンが多かったです

特に印象的だったのは、ラストシーンで幸子が花子の若い頃の話を百花に語る場面。他人事だからこそ笑える微笑ましいエピソードも、現実ならちょっと気まずいかも…と苦笑いしつつ見てました。最後のシーンも、唐突だけど強く心に残る終わり方でした。

👗 多役をこなす俳優たち – 良かったけれど少し混乱も

出演者が限られているため、同じ俳優が複数の役を演じる場面が多くありました。男性役を女性が演じたり、女性役を男性が演じたりする演出は、意図的かもしれませんが、ちょっと違和感もありました。特に、閉経を迎えた女性たちの集まりを男性俳優が演じたり、年配の女性俳優が男性役として若者にセクハラをする場面では、リアリティが少し薄れてしまったかも🤔。

そのせいか、主人公の 花子、親友の幸子、娘の百花 以外の登場人物は記号的に感じられました。役者さんたちにとっても、これらの役は演じにくかったかもしれませんね。ただ、これは演出というよりも、脚本の構成の問題かもしれません。

💉 女性ホルモンを擬人化した「ばあや」

この舞台のユニークなポイントは、女性の一生を 🌸 広島らしさと作家の視点

作者の仁科久美さんは、広島の新聞社 **中国新聞** の記者だったそうで、その経験が主人公 **花子のキャリア描写** に活かされていたのかもしれません。ただ、同じ「演劇引力廣島」から生まれた「広島ジャンゴ」が **広島らしさ** を全面に出していたのに対し、今回は **作者が広島出身であること** が作品の背景として感じられる程度でした。広島らしさよりも **同年代の人々への共感** を重視した作品だった印象です。

💡 まとめ – 時間を忘れる舞台体験

開演前には「2時間半もあるのかぁ…」と少し構えていましたが、観ている間は時間の長さを全く感じないほど引き込まれました。脚本は 緻密で力強く、特に花子、幸子、百花の物語が印象的でした😊

とはいえ、回転舞台の使い方や多役の演出には少し課題も感じましたが、全体としては **観劇できて本当に良かった** と思える作品でした。特に、主演の市原真優さん(花子役)瀬来晴香さん(幸子役)は素晴らしく、今後も別の作品でお二人の演技を観てみたいです🎭✨

以上、「わたしのそばの、ゆれる木馬」 の感想記事でした😊

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