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[訃報]青井陽治さん(翻訳家、演出家)

投稿日:

翻訳家、演出家として高名な青井陽治さんの訃報がニュースで流れました。PARCOで何年にも渡って上演され続けた「ラブレター」の翻訳・演出に長年かかわっていらしたかたの訃報に接し、驚きをかくせません。気になる作品でありながら、いつかそのうちと思っているうちに見ることができなくなる舞台を過去に何度も経験してきましたが、「ラブレター」がその一つに加わるのがこんなに早いとは思いませんでした。無念。

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享年69歳とのこと。若い死といっても過言ではないと思います。

翻訳家・演出家の青井陽治が、9月1日に東京・港区の病院で膵臓がんにより69歳で死去した。
神奈川県出身の青井は1969年に劇団四季演劇研究所に入所し、俳優・翻訳・訳詞・劇作の活動を開始。76年からフリーとなり、海外戯曲の上演、ミュージカルの創作を手がけた。

1987年から2012年まで作品に関わり続けていらっしゃいました(演劇感想文リンク調べ)

演劇感想文リンクでは、青井陽治さんの作品の中でも、1987年の「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」が一番古い作品として劇評を読むことができます。鎌滝雅久さんの劇評は、スマホからは読めない事もあるようなので、一部をここで抜粋します。

日本版「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」は、3演目の今回もなかなかの 人気だ。ちょうどシアターアプルで上演中のアメリカ版を見ても判るように、少 人数の出演者でまとめられたミュージカルで、良く出来ている。日本版は主演が 真田広之で、初演では無名ながら今では売れっ子の陣内孝則が脇を固めていると いう女の子が集まらないわけがないという強力な布陣である。〜中略〜むしろ海外版のシーモア役 にはない彼の魅力を生かした青井陽治の演出を褒めたい。〜中略〜「めっちゃんこかわ い子ちゃん」などと名古屋弁を喋るというけったいな翻訳をした青井もいい。翻 訳ミュージカルの中では1番の成功作である。

劇評ではべた褒めです。鎌滝雅久さんの劇評は、ダメな時はきちんと指摘されているので、やはり当時から演出力が非凡だったんだなと思います。

海外ミュージカルや舞台を翻訳し、演出できるというのは結構最強だと想うのですが、今から30以上前(この劇評は30年前でしかも3演目)に、おそらくオフ・ブロードウェイで初演が上演された1982年からあまり日を置かずして、このミュージカルを日本に持ってきた慧眼も流石です。

なんといってもラブレター

中でも、青井さんの代表作というか、僕自身この作品で青井さんを知ったのは、PARCOプロデュースの「ラブレター」です。二人の男女の生涯に渡る手紙のやりとりを椅子に座ったまま、お互いに自分の手元にある台本を読み上げる形で進める舞台は、台詞を覚える必要が無いことや、細かい演出をつけるというタイプの物語でもないことから、様々な組み合わせの俳優/女優さんの組み合わせで1回とか2回という単発の公演として上演される舞台でした。

上演形式や、その組み合わせの妙も相まって、非常に人気のあるシリーズで、450組以上のカップルがこの作品に関わったのだそうです。

演劇感想文リンクの中でもたくさんの「ラブレター」の感想を読むことができます。

450組には遠く及びませんが、それでも10組の舞台の劇評は上記のリンク先で読んでいただけます。

ちなみに私は….観てません。なんか、上演が告知され組み合わせが発表される度に「おお、魅力的だな」と思いつつ、なんかもっとすごい組み合わせが出てくるような気がして、後回しにしているうちに、今日に至ってしまいました。

翻訳劇を国内に紹介し、上演する意味

シェイクスピアを始めとした翻訳劇の市場というのが、日本の演劇界に確かにあって、その一翼を担っていらしたのは確かに青井さんだったんだと思います。
劇評として、演劇感想文リンクで読める最新の作品は、2012年の劇団昴の以下の作品。ロシアの作品の翻訳劇です。

最近は、この作品に限らず非核をテーマにした作品などにも力を入れていらしたようです。

訃報に接して感じること

舞台作品というのは、そこに生身の人間がいて成立するもので、そこに関わる人がかけると作品の内容は変わります。それは、舞台上に立っている人だけでなく、演出家も変わりません。というか、演出の方の存在感が、舞台においては一番客席に伝わるのだと思います。(それを意識するかどうかは別にして)

そういった意味で、気にしながらついつい後回しにしていた舞台の作品に関わる方が亡くなると、本当に後悔してしまいます。気になる作品は、後回しにせずできるだけ見るという姿勢大事だなぁ(でも、時間とお金の制約があるのですが)

青井陽治さんの他の舞台作品の劇評は、以下のリンクで読むことができます。

P.S. 書ける訃報と書けない訃報

実は、前回の訃報記事を書いて以降、僕にとっては、亡くなられたことが俄に受け入れがたい役者さんが二人もなくなってしまっています。

ただ、その方たちの訃報記事を書くことが出来ませんでした。思った以上に若くして亡くなられた事もあり、また舞台で何度も観ている役者さんであったため、うまく感情をまとめきる自信がなかったためです。

訃報記事という特性上、あまり時間が立ってから書くのも、あまり意味を感じることができず結局そのままになってしまいました。

別に、義務があるわけではないので、気にする必要もないのでしょうけど。

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