[劇評]道産子と越後人「情熱とバッドエンド」@OFF・OFFシアター(下北沢)

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[劇評]道産子と越後人「情熱とバッドエンド」@OFF・OFFシアター(下北沢)


50歳を超えた津村知与支さんと清水伸さんによる、売れそうで売れず、それでも諦めきれないバンドマン二人の20代から50代までを描いた二人芝居。同年代の自分にとって非常に身に迫る物語で、椅子4脚だけで空間を変えていく演出も含め、いかにも小劇場演劇らしい魅力に溢れた楽しい時間でした

劇団 道産子と越後人
題名 情熱とバッドエンド
公演期間 2026年10月2日~2026年10月11日
作

深井邦彦

演出 深井邦彦
出演者 清水伸:尾仲(Vo&Gt)、大御所
津村知与支:松林(Drs.)、辻方
劇場
OFF・OFFシアター(下北沢)
観劇日 2026年10月4日(マチネ)

「道産子と越後人」は今回が初めまして

2026年10月4日、道産子と越後人という劇団ユニットの舞台「情熱とバッドエンド」を観てきました。マチネの公演です

下北沢OFF・OFFシアターで、深井邦彦さんが作・演出を手がけ、モダンスイマーズの津村知与支さんと劇団「ふくふくや」の清水伸さんのお二人による二人芝居です
津村さんのユニットは別途観たことがあった(ブログ未掲載☹️)のですが、お二人によるユニット「道産子と越後人」は第3回公演となる今回、初めて拝見しました

前日のチコちゃんで、ロッカーが革ジャンを着る理由を見たばかり

お二人とも50歳を超えていて(清水さんは1972年生まれ、津村さんは1975年生まれ)、演劇を長く続けてこられた方々ですが、今回はバンドマンを取材して作られたお話でした

前日にNHKの「チコちゃんに叱られる!」で「なぜロッカーは革ジャンを着るのか」という由来をやっていたのを見たばかりだったのですが、舞台上のお二人がまさにロッカーらしく革ジャンを着てずっと立っていらっしゃるのを見て、そのエピソードを思い出したりもしていました

ここからはネタバレします

売れそうで売れず、それでも諦めきれない

20代で出会った二人のバンドマンが、30代、40代と様々な出来事を経て、50代に至るまでを描いています
大きな事件が起こるわけでもなく、売れると思っていた側が売れず、売れないと思っていた側が少し売れたものの、結局それほど上手くいくわけでもない….
底辺とまではいかなくとも、売れそうで売れず、それでも諦めきれないバンドマンのリアルな姿が描かれていました

私自身はバンドマンの知り合いが多いわけではありませんが、演劇界や芸能界にもきっと同じような境遇の方々がいるのだろうなと重ね合わせながら観ていました
二人のバンドという小さなユニットの物語でありながら、同年代の自分にとっても非常に身に迫る、身近なものとして感じられました

津村さん演じる「どんなに練習しても上手くならないドラマー」と、清水さん演じる「自分に才能がないことを自覚しながらも、なんとなく続けている男」
ロックであることを様々な言い訳や生き様に転化していく姿がリアルで、こういう人たちも確かにいるよなと腑に落ちる面白さがありました

リアリティの源は、津村さんの知人バンドマンへの取材

終演後のアフタートークも拝見しました
作・演出の深井さん、津村さん、そして東京マハロの矢島弘一さんが登壇されていました

お話によると、深井さんはもともとバンドマンに詳しいわけではなく、津村さんが演劇を始めた初期にバンドをやっていた経験から「バンドマンの話にしたい」とリクエストしたのだそうです
深井さんが津村さんの知人であるバンドマンの方々に取材を重ねて脚本を書き上げられたとのことですが、その綿密な取材が作品の面白さやリアリティにしっかりと結びついていたように思います

ニトリのCMの人が、意固地なロッカーに

津村さんといえば、少し甲高い声のエキセントリックな役柄を演じられることが多い印象です
今回も冒頭は津村さんがエキセントリックで清水さんが割と普通な佇まいから始まったのですが、お二人の友情や相棒感がとても魅力的でした

清水伸さんは、テレビ(ニトリ「Nクール」のCMなど)でお見かけすることが多く、顔を見れば「あの人だ」とすぐ分かる役者さんです
普段は柔らかい印象を持っていたのですが、今回はロッカーという役柄もあり、人の良さだけでなく意固地な一面も見事に演じ分けられていて、素晴らしい役者さんだなと感じました
津村さんの舞台は何作か観ていましたが、清水さんを舞台で拝見するのはおそらく初めてだったため、嬉しい発見でした

椅子4脚で、ドラムセットにも電車にも公園のベンチにも

また、舞台美術・演出も非常に印象的でした
わずか4脚の椅子だけを使い、出演されるお二人が自ら並べ替えることで、ドラムセット、電車、車、公園のベンチなどへと次々に空間を変貌させていきます

アフタートークで津村さんが「予算がないから大掛かりな装置は作れない」とおっしゃっていましたが、そのシンプルさがかえって演劇的で、非常に上手い演出でした

OFF・OFFシアターという濃密な小劇場の空間で、最小限の座組だからこそ味わえる、いかにも小劇場演劇らしい魅力に溢れた楽しい時間でした

以上 道産子と越後人「情熱とバッドエンド」の感想でした

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