[書評]その数学が戦略を決める。

広告

僕にしては珍しく著者ではなく訳者山形浩生氏の名前で買った本。ちょいと難しい部分があり読み飛ばしながらであったがようやく読了。

絶対計算と呼ぶテラバイト単位のデータを解析することで様々な事がわかる時代が来た。例えば映画ができる前から、脚本だけでその興行収入が予測がつく。貧困施策について、細かく分割した被対象者に対して少しづつ違った政策を実施することでその成果を分析し、よりよい成果をあげる施策に予算を投入できる。等々絶対計算者VS旧来の専門家などの抵抗等読みどころは多数。
ヤバい経済学 [増補改訂版]や、マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)等最近読んで結構志向があった本が多数引用してあったのも好印象。この手の本の集大成的な感じ。

でも、読んでいて一番頭にうかんだのハリ・セルダンの心理歴史学。SF小説の登場人物だが、彼の心理歴史学は要は絶対的な必要データが揃えば人類の歴史さえも数学的に予測できてしまうということに基づいている。このSF小説が発表された時代はもとより、私が「ファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)」を読んだ時代でさえもそんな事が我々の生きている間に実現されるなど夢にも思わなかった。

が、それが実現しようとしているのかもしれないと思った。

恐らくテラバイトのデータは、専門家の立場をなくし、病気の完治の確率や人が再犯する確率を計算することの実証がこの本の中でいくつも現れる。近づきつつあるのかなと思った。ほのかな期待と確かな不安を感じつつ。

広告

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です