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■梶尾真治さんの十年にわたる連載の書籍化。
面白いらしいという雑誌か何かの評判を読み、手に取りました。(電子書籍だけど)
梶尾真治さんと言えば、「黄泉がえり」など映画化作品もあるベテラン作家さんですが、僕はかなり久しぶりに読んだ作家さんです。
前に読んだのは多分三十年くらい前に読んだ「地球はプレインヨーグルト」という作品。味覚が言語の異星人とのファーストコンタクトもので、斬新な設定が印象的でした。
何故それならば以降読んでないかというと‥アイデア倒れというか、アイデアの斬新さばかりが印象に残る一方で、物語があまり印象に残らないところがあり、それでなんとなく手に取ってきませんでした
■この作品もアイデアが秀逸でした。
太陽のフレア化を予期した一部の人類が、多くの人類を見捨てて、世代間宇宙船を建造して他の恒星系へと脱出。後に残された人類は、たまたま開発された時空転移装置の力を借りて、宇宙船が向かった惑星に転移。自分たちを見捨てた宇宙船の乗組員達を怨みながら待ち受ける‥
ハードSF的には色々突っ込みどころ満載な気がしましたが、色々な思惑を持った人々が錯綜する話で、本当に楽しく読めました
何も持ち物を持つことができないまま全くの未開の惑星に放り出された人類が言葉や宗教の壁を乗り越えて一つに団結していく最初のエピソードで、ぐっと掴まれた気持ちの赴くまま、三巻にわたる作品(原稿用紙2000枚強!)を一気に読みきってしまいました
ここまで極端な状況にはならないまでも、人類の恒星世界への進出は、こういう風に先に出発した方が、目的地で後から来た人類に待ち構えられるといったことはありそうな話だと思っていたので、そういうテーマをドストライクで描いたこの作品は、個人的にはかなりツボにはまりました
似たような状況をえがいたSF作品というと漫画ですが、星野宣之さんの「2001夜物語」くらいしか僕は思い出せません
■ツメの甘い設定も…楽しめました。
エピソード毎に主人公も、時代も舞台も変えながら語り継がれる物語は、緩急がうまい具合に入っていて読みやすい話でした
ある意味ツメが甘い設定(転送装置の能力とか、目的地惑星の構成とか)もある一方で、しち面倒な科学的な解説や裏付けの説明に付き合わされることなく話にのめりこめるのはこの物語の良いところです
僕自身は、いくつもあるエピソードの中で、前半(一巻あたり)の未開な中頑張る的なエピソードが凄くすきで、一方であっという間に文明化してしまう途中で中だるんでしまいましたが、それでも二つの全く別の道を歩んできた
人類の再会がどうなるのかということにドキドキしながら最後まで読み進めました。
■読後感は、高校生のときと同じも、今は楽しめるようです。
読み終わった感想は、やっぱりアイデアに引きづられて読み終えましたが、なんか足りないような、それでいてこれでよかったような不思議な思いで本を閉じました。(電子書籍なので、スイッチ切ったって感じですが)
高校生の時はこういう読後感がなんかしっくりこず、梶尾さんの作品を避けて来たのがよくわかりました。
でも、高校生の時と変わったのはこういう人間ドラマを読んで充分面白いと感じるようになったことです。これはこれでいいなと。(上から目線だなぁ)自分の変化(成長)に気付かされました。
外国もののバキバキのハードSFとか、ファンタジーもいいですが、こういうふんわりした作品もいいなと思いました。
SF的なツメとかなんとかいいましたが、この話ファンタジーだと思えば、そういう部分も気にならないことに今更気づきました。
遠い宇宙の誰も行ったことのない場所にいきなり物質や人を転移する装置なんて‥タイムマシンと同じくらいファンタジー的です。うん、
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