今年は、劇作家の三谷幸喜さんが紫綬褒章を受賞されました。既に演劇という枠からは大きく逸脱し、映画、ドラマ等で活躍されている三谷幸喜さんの受賞は納得と思う一方で、叙勲はまだ若いのではとも思ってしまいました。これを機に演劇界の過去の叙勲受章者についてもまとめてみたいと思います。
目次
三谷幸喜さんが紫綬褒章を受賞!!
「俳優やスタッフがいなければ、僕はただの空想癖のおじさん。みなさんがいたから受章できた」と照れくさそうに笑う。
〜中略〜
笑いの力を信じ、これからも突き進む。「社会を変える、権力批判になる笑いもある。でも、僕の作る笑いはそういう風に使ってほしくない。ほんのちょっとだけ、生きる勇気がわく、前向きにやってみようと思う。そんな芝居を作っていきたい」
カテゴリとして「演劇賞」が適切がどうかは、正直微妙です
しかし、ずっと追っかけていた劇作家であり、演出家である三谷幸喜さんの受賞はとてもうれしいニュースでした。と同時に、同世代だと思っていた(少し三谷さんの方が年上ですが)方の受賞に驚きもしました。
なんとなく、叙勲される方は、もっと年配の方が多いイメージだったためです
演劇界からも多数の受賞者
Wikipediaには、紫綬褒章を受賞された方の一覧があります
上記の中から、特に脚本家/演出家で演劇感想文リンクに作品が登録されている方をピックアップしてみました。
受賞者名 | 受賞年 | 肩書 | 作品(主なもの) | 受賞時年齢 |
---|---|---|---|---|
菊島隆三さん | 1980年 | 脚本家 | 蜘蛛巣城 | 66歳 |
橋田壽賀子さん | 1988年 | 脚本家、劇作家 | 女たちの忠臣蔵 | 63歳 |
矢代静一さん | 1990年 | 劇作家、脚本家 | 写楽考等 | 63歳 |
久世光彦さん | 1998年 | 脚本家、演出家 | 憎いあんちくしょう等 | 63歳 |
福田善之さん | 2001年 | 劇作家 | 長い墓標の列等 | 70歳 |
蜷川幸雄さん | 2001年 | 演出家 | 元禄港歌ー千年の恋の森等 | 66歳 |
市川森一さん | 2003年 | 脚本家、小説家 | ヴェリズモ・オペラをどうぞ!等 | 62歳 |
竹内銃一郎さん | 2004年 | 劇作家 | あたま山心中等 | 57歳 |
つかこうへいさん | 2007年 | 劇作家 | 熱海殺人事件等 | 59歳 |
串田和美さん | 2008年 | 俳優・演出家 | 空中キャバレー等 | 66歳 |
野田秀樹さん | 2011年 | 俳優・劇作家・演出家 | 足跡姫〜時代錯誤冬幽霊〜等 | 56歳 |
天児牛大さん | 2011年 | 舞踏家(山海塾) | 海の賑わい等 | 62歳 |
栗山民也さん | 2013年 | 演出家 | トロイ戦争は起こらない等 | 60歳 |
鄭義信さん | 2014年 | 脚本家 | パーマ屋スミレ等 | 57歳 |
三谷幸喜さん | 2017年 | 脚本家 | 子供の事情等 | 56歳 |
案に相違して、三谷さんが特別若いわけではありませんでした。竹内銃一郎さんや鄭義信さん、野田秀樹さん、つかこうへいさん等個人的にはレジェンドクラスの劇作家さんは、いずれも50代で受賞されています。それでも、ぱっとみ三谷さんは野田秀樹さんと並んで最年少です
こうやって並べてみると確かに、そろそろ受賞してもおかしくない年齢だったのですね。納得です
なんかおじいちゃんが受賞しているイメージでしたが、単に自分がおじいちゃんに近づいているだけでしたorz
叙勲を辞退した劇作家として有名なのは、唐十郎さん
ちなみに、アングラの旗手(僕自身も大好きな演劇の作り手のお一人)唐十郎さんは、叙勲を辞退されています
当時この話を聞いた時は、さすがアングラの旗手。アナーキーだなとひたすら感心していたのですが、ご本人の中には葛藤もあったようです
以下のZAKZAKの記事(2005年)を読むとそのような背景が読み取れます。
アングラ劇団「状況劇場」や後身の「唐組」を主宰し、日本演劇界を牽引(けんいん)してきた演出家、作家の唐十郎さん(65)が今秋、紫綬褒章の内示を受けながら、辞退していたことが24日分かった。夕刊フジの直撃に対し、唐さんは「お客さんに対する礼儀」と理由を語った。
〜中略〜
「先輩の演出家も受章しており、僕もいただきたいとは思った。でもこれまで僕は、高いところから賞をもらったことはない。正座してもらうような賞で、かしこまってしまう。2週間ほど考えさせてもらって、お断りすることに決めた」
〜中略〜
「紅テントで泥臭い活動を続けてきた。国から賞を与えられると、国がバックグラウンドというか、国にアイデンティティーを与えられたようで、芝居の作り方が変わってしまう」ちなみに岸田(戯曲)賞をもらったときでさえ、「アングラが市民権を得やがって」と非難する向きもあったという。
「僕は紅テントでも、お客さんにワイルドスピリッツを求めている。受章のために尽力してくださった関係者の方々にはじゅうじゅう謝ったが、今回の辞退はお客さんに対する礼儀です」
簡単に決断できたわけでもなく、アングラという矜持を守るため、関係者に「じゅうじゅう謝った」上で、「お客さんに対する礼儀」として辞退した唐さんもかっこいいなと思ってしまいます
とはいえ、唐十郎さんの歩いてきた道と他の受賞者の方は全く違います。受賞された方にとっては、とても喜ばしくおめでたいという気持ちはとても良く理解できます
なにはともあれ、三谷幸喜さん受賞おめでとうございまーす!!
以上 2017年紫綬褒章を受賞した三谷幸喜さんを始めとして、劇作家、演出家の方の紫綬褒章受賞履歴をまとめてみました
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