[劇評]H.ART.カオス「秘密クラブ…浮遊する天使たち2000」@亀有リリアホール

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劇団 H.ART.カオス
題名 秘密クラブ…浮遊する天使たち2000
公演期間 1999/9/18
大島早紀子 演出 大島早紀子
出演 白川直子、平山素子、菊池久美子、勝倉寧子、木下菜津子、 関典子、片井映、川口維、丸山尚美、池田真弓
劇場 亀有リリアホール(亀有)
観劇日 1999年9月18日

観ていてイメージするのは、様々な印象。エロス、死、暴力、恋愛、救 い…

繰り返し容姿<<かたち>>を変え、表現を変えながらも一貫してそのイメージを紡ぎ出しているなぁというのが全体を通した印象でした。(衣装が、黒と赤に統一されているのも、そのイメージ(清角がこの色からイメージするものってやはり、エロス、死、暴力....といったものだし)を補完していました。

各論に入ります。

最初に驚いたのは、ワイアをつかった美しいダンス。ワイアがあることで、ダンスの補助をしている訳ではなく、ダンスの表現の幅が凄く広がっている。45度ちかくまで体を前のめりに倒したり、空中に椅子があるかのように坐る動作をしたり、半径30センチメートルくらいの円を描くような回転をものすごくゆっくりしたり、重力がある事を忘れさせる無重力的な動作。

私は、映画の「マトリックス」(キアヌリープス主演の現在公開中(?)の映画)の宣伝でワイアワークによる特殊撮影の効果を観ていて、「こういうのが、舞台で出来たら凄いのに」と想っていたのですが、既に実現されていることに気づきました。やり直しやコンピュータグラフィックスによる補正の効かない舞台上でやれてること自体脅威としか表現の仕様がありません。

次が懐中電灯。懐中電灯の光自身、舞台上ではある種暴力的な強さを持ちます。光の量を制御できる一般の照明に比べ、この照明装置は、点くか消えるかしかないデジタルな照明。それがとてもうまく利用されていました。

特に前半の暗闇で懐中電灯だけで照らされる部分は、舞台上にいる方々の視線のようにお互いを照らし出し、途中で会場を見回す時は、舞台上から見られているという感覚にどきどき感を覚えました。

鍛えられた肉体の美しさには、感動以外の表現をするのは、難しい。席がよかったこともあり(オフ幹事アルバトロスさんありがとう)、舞台全体の構成を観つつダンサーの方全ての肉体が強烈に目に焼き付けることができました。
躍動感と筋肉の一つ一つの動き(荒い呼吸を整えるための腹筋の動きまで)がダンスなのだと気づきました。前回カオスを観た時(1999/8/31 上馬スタジオにて)白河さん独りのダンスで圧倒されたパワーは、今回、その何倍にもなって返ってきました。

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