もう「豊かな国」ではない日本の就職市場活況の不思議

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「経団連企業の今春、97%が新卒採用・5年連続最高に」

「新卒就職活動が本格化 今年も「売り手市場」、でも不安も…」

記事によれば今春卒の求人倍率は2.14倍と16年ぶりに2倍を超えたそうである。16年前といえば、1991年。いわずと知れたバブル景気時代。私が新卒で就職したのもこの年でした。

世は空前の売り手市場であり、学生はいくつもの内定をもらい、その中から入社する企業を選ぶのが当たり前の時代でした。

しかし、何かが違うような気がします。

16年前と同様の求人倍率で人手不足が叫ばれる今の周囲を見まわして大きく当時と異なる気がします。上手く言葉で表現しにくいのですが一言でいえば「イケイケ」感が乏しいと思うのです。

Wikipediaによるバブル景気の項を読むと当時社会全体として如何に「イケイケ」であったのかなんとなくわかるような気がします。

株価や土地の価格が高騰していただけではなく、当時の日本は製造業を初めとする多くの企業が世界の中で存在感がありました。その企業を支える人材需要という意味で、バブル期の求人倍率の高さは説明がついたように思います。

しかし、現在の日本は昨日のBlogでも書いたように今や一人当たりのGDPでは先進国最低クラスです。製造業で世界市場で存在感のある会社は数えるほどしかなく、金融業界にいたっては皆無です。

なのに、なぜ 日本の就職市場は売り手市場なのでしょうか?

僕が思うに今、日本企業が求めているのは二つのタイプの人材だと思います。

一つは、イノベーションを起こす人材です。

マイクロソフトやGoogleの例をあげるまでもなく、米国の現在の景気回復を支えるのはイノベーションを起こす人材である。日本も製造現場におけるイノベーションがバブル期の日本経済の繁栄を支えてきました。

今、日本企業では切実にそういった人材が不足していると感じます。世界の中での日本の存在感が日々刻々と失われていく中でそれを食い止めることができるのは将にこういう人材だと思います。

もう一つは、イノベーション不足による人手不足を埋める為の人材。

日本は、サービス分野における生産性が低いと言われています。極限まで生産性の向上を繰り返した製造業の現場とは対象的に、サービス残業や自分の仕事量さえ管理できない管理職の増発(先日のマクドナルドの店長による訴訟にもみられるような)といった小手先の手法に終始することでIT等の活用をする他国とは決定的な差がついてしまいました。その帳尻を合わせる為に、採用される人材もいるのだと思います。

言うまでもない事ですが、後者の人材はイノベーションにより生産性の改善が見られた場合、即「余剰」人員になってしまう人材である。

採用される側も勿論のことだが、恐らく採用する側でさえもこの二つの種類の人材を区別して採用しているとは思えない。

両者の違いは、数年ではっきりしてくるに違いない。

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