不思議なことに芝居中に、完全に芝居の世界に同化していた。感動するとか驚くとかそういう何かではなく言葉に表せないほのぼのさを舞台上の人と共有できた気がする。
劇団 | トムプロジェクト・プロデュース | ||||
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題名 | 親友 | ||||
公演期間 | 2001/08/30~2001/09/02 | ||||
作/演出 | 水谷龍二 | ||||
出演 | 渡部遼介、中嶋ツトム、野本光一郎、千寿エツ子、木村桐子 | ||||
劇場 | 「劇」小劇場(下北沢) | ||||
観劇日 | 2001年9月2日(ソワレ) |
<<ストーリー>>
テレビもないつつましい生活をしている夫婦の家に、夫の「親友」を名乗る男が現れる。なんでもない日常は、その男の出現で、何か変わりそうな気配をしめすが、大事にはいたらず、また普段どおりの日常が続く。
<<感想>>
感想を書きにくい芝居というものがある。僕の場合、つまらないときと、芝居を見ているときに本当に何も考えないで見ているときの二つのパターンがある。前者はそれでも、つまらない原因を追求することで、感想になるのだが、後者は、本当に書くことがない。
何せ、芝居の世界に完全に没頭しているのである。何も考えていない。よかったとかそういうんじゃなくて舞台上の役者と同じ世界を共有し、一緒に喜んだり悲しんだりしている。
ここまでいうとちょっと極端な気がするが、この芝居はそういう部類に入る芝居だった。
終わったときに、ふと「あぁ、終わったんだ」と思い、心の中に何か暖かいものが残る。それで終わり。でも、すごくすがすがしい気分で終わる。また、見たいと思う。明らかに面白い部類に入る芝居である。ただ、感想が書きにくいだけ。
分析しようにも、芝居を見ているときに何を思いながら見ていたかをほとんど思い出せない。わすれているのではなく、多分本当に何も考えていない。
日常のありきたりなストーリー、人間模様がやたら心にフィットするとこんなふうになる。
いらないことを考えず、ただぼうっとこういう芝居を見たいときがある。ただ、そう思ってそういう芝居にあたるもんじゃない。そういう意味では、この作品は稀有の傑作だなぁと思う。
日常に近い舞台の感じをものすごくリアルな装置がまたうまくかもし出していた。これだけは、芝居を見始める前にすごい装置だなぁと思ってみていたので分析できる。
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