複雑な脚本であり、見ていて客席が混乱してしまう。演出によるのかキャストによるのかわからないが、何をテーマとして見せようとしているかがわからないまま、終わってしまう。個々のキャストの個性が生かしきれていない気がしてちょっと消化不良。
劇団 | かれーど・すこーぷ | ||||
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題名 | 恋愛戯曲 | ||||
公演期間 | 2002/04/12-2002/04/14 | ||||
作 | 鴻上尚史 | 演出 | 野原裕司 | ||
出演 | 松田春雪、牧野しゃこ、山本権蔵、加藤敦洋、よしみゆか | ||||
劇場 | Pamplemousse(新宿) | ||||
観劇日 | 2002年4月14日(マチネ) |
<<ストーリー>>
テレビドラマの人気作家は、スランプの真っ最中。原稿の催促に来たプロデューサーに向かって「私と恋に落ちて」と言う。人気作家の書く脚本の中の駆け出しの脚本家が書く世界もまた、超人気作家の脚本という三重構成のストーリー。
<<感想>>
鴻上尚史さんの数年前の脚本。鴻上さんらしい複雑な構造のドラマで、ちょっと気を抜くとストーリーが追いにくくなる。だからこそキャストの各々の役割がきちんと果たされないと観客がつらくなる。
この芝居の前半をひっぱるのは、寺田というキャラクタ。このキャラクタがどこまで弾けるかに、かかっている。しかし、その弾け方が足りないと思った。結果として観客は、郵便局強盗が舞台上に現れるまで、くるくる変わる舞台をただただ見つめるだけになってしまった。
牧野さんが演じる女性脚本家は、ストーリーの切り替えを示す重要なキャラクタ(勿論主役でもあるが)。彼女のキャラクタの違いが唯一、今どのストーリーをやっているかを示すので、見た目からして何か大きく違わないと今どのストーリーをやっているのかぴんとこない。「今、どれ?」と観客が思ってしまうとそれだけで本当に伝えたいものが伝わりにくくなるかもしれない。
どうしても、緊迫感が客席に伝わってこない。脚本のせいか、演出のせいか….何かのシミュレーションを見せらているような気分。例えば郵便局強盗の乱入とか、最初からフェイクであるという落ちが見える。何故だ?
本当を言うと脚本はもっと刈り込んですっきりしたものにできなかったのだろうかという思いも強い。休憩を挟むとはいえ2時間15分はやはり長い….特に後半の同じような場面が繰り返される辺りは、各々のストーリーの話と思っていてもなんかげんなりする。畳み掛ける感じがない。
プロジェクタを使った演出等、「おっ」と思うところもあったし、最後あたりに女性脚本家が、恋をプロデューサーに語るシーンも良かったと思った。ただ、全般に印象が薄くなってしまうのは芝居全体のテーマを何にしようとしているのかがはっきりしなかったからだろう。
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