[映画評]ロン・ハワード「インフェルノ」@DVD

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ロン・ハワード監督の「インフェルノ」は、シリーズ3作品の中ではもっとも印象が薄い作品でした。ダ・ヴィンチ・コード以来、映画化された作品を観ていたのですが、この作品は映画館で見逃していたので、DVDでみました。そのせいか、はたまた原作を読んでいないせいかはわかりません。なにか、目新しい驚きのようなものが少ない、マンネリ感を感じる作品でした

目次

物語

目がさめるの何故か、フィレンツェの病院に入院していたロバート・ラングトン教授(トム・ハンクス)。突然、現れた警官が病院職員を射殺して部屋に入ってこようとするのを看病していた看護師の機転でのがれる。記憶の無い彼は持っていたものに隠されていたダンテのインフェルノを図解した絵画に暗号が仕込まれており、その暗号を解くために事件に巻き込まれたことに気付く。

この世界が、人類によってインフェルノ(地獄)になると信じる大富豪が企んだ人類を滅亡させようとした計画。その計画の一端を知り、奇しくも「インフェルノ」と名付けられた細菌兵器が世界中にばらまかれる事を防ぐために、ダンテにままつわる史実・名所をめぐりながら、細菌兵器を探す。

(詳しくは、Wikipedia「インフェルノ(2016年映画)」を御覧ください。)

ラングトン教授シリーズ初めてDVDで鑑賞

ちょっと突然自宅で時間ができてしまい、昨年見逃していたこの作品をDVDで見ることにしました。小説シリーズは、4作品あって、この「インフェルノ」は、最後の作品ですが、映画化は何故か3作品目

実は、前作までの「ダ・ヴィンチ・コード」と「天使と悪魔」は原作を読んでから映画館に足を運んだのですが、この作品は原作ともに未見でした。(実は、第3作の「ロスト・シンボル」もまだ読んでいません

もしかして、そもそも、ラングトン教授シリーズに僕が飽きているのかもしれません

インフェルノとは

ダンテの「神曲」の三部作の第一部にあたる作品が示す地獄の呼び名

流石に、ダンテ作品そのものを読んだことはないのですが、僕自信は以下の二つの作品を通して、内容の概略を知っていました

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インフェルノ SF地獄篇  (創元推理文庫 654-3)
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どちらも、結構手に入りにくくなっていて、特に後者は僕自身高校時代に読んだので大分記憶は曖昧ですが、外国人が考える地獄とはこんなものなのかという強烈な印象を受けた作品です

この映画の中でも、ラングトン教授が、ヨーロッパ人の地獄についてのイメージを形作ったのはダンテの神曲のまさに「インフェルノ」なのだと言っていたのは印象的でした。日本人と違う地獄のイメージをこうして持ったのですね

あのインフェルノに一体どんな秘密が…

ダン・ブラウンの作品は、虚実ないまぜにした大胆な仮説に基づいた歴史解釈や、名前だけは知っているけど…的な組織の暗部というか秘密を、ラングトン教授の博学な知識によって明かされていきつつ、それが今起こっている事件を解決するというのが醍醐味だとおもっています

少なくとも、このラングトン教授シリーズの売りは、それだとおもうのですが…今回それがありませんでした

なんかどこかで見た設定が多くてあまりピンと来なかった

とても、わかりやすい話だとおもいました。ただ、わかり易すぎた気がします

インフェルノを謎解きのキーに据えてはいるものの、ダビンチコードの様な斬新な歴史的な真実や新説が披露されるわけではなくただの謎解きと時間内に謎を解かないと人類が滅亡するという話はなんかとてもありきたり

この辺、前作の「天使と悪魔」で、反物質爆弾から世界を救わなければならないというコンセプトとインフェルノという名前の病原菌から世界を守るという物語のコンセプトが似てしまっていて既視感がありました

イタリア観光地巡り的なロケも…

フィレンツェ、ベニスというダンテゆかりのイタリア観光案内的な名所巡りの旅になっていたり、ヒロインが実は裏切り者だったりというくだりも、悪くはないけれどもこのシリーズに、僕が求めていたものとは違っていたように思いました

イスタンブールでの攻防も、うーーん。緊迫感に欠けて見えました

結局、ダビンチコードほどの知的興奮を覚える物語にするのは難しいのかもしれない。

原作読まなかったせい?テレビで観たから?

ここまで書いて気づいたが、この作品だけは、原作を読ますにに、映画だけを見ています。また、映画館ではなくテレビで見ています。もしかしたら、それが影響しているのかもしれません

原作はとても多くの情報が詰め込まれていて、思えばダビンチ・コードも、天使と悪魔も原作で読んだ情報を脳内トレースしながら、映画の画面に投影してみていたような気がします。そういった意味では、今までの作品も小説の面白さを映画で追体験しているだけだったのかもしれません

そういえは、ダビンチコードの原作をしらないで映画をみたひとが何がなにやらわからなかったといっていたのをきいたことがあります

今回まさに、イマイチと感じたのが上記の原作読んでない原因だったら、ちょっともったいなかったかなと思いました。(今から原作読んでもう一回映画見返すのもちょっとしんどいし)

WHO(世界保健機関)ってこんな活動的な組織でしたっけ?

ちなみに、映画を見ていて気になったのはWHO(世界保健機関)の専門職の方の活動の活発さでした。警察さながらに事件を追い、世界中にウィルスが撒き散らされないようにチームがイタリアからはてはイスタンブールまでその活動範囲を広げて捜査するというのが、今までに思っていたWHOの組織の印象と違っていました。

あくまでも、国際的な協力機構のひとつであり、オフィスワークをしている人の集まりだとおもっていたのですが、いざとなれば、こんな風に現場に出ていって活動する組織なのでしょうか?

昔観た映画「ホットゾーン」なんかだと、アメリカのCDC(アメリカ疾病予防センター)の職員が大活躍なんてこともあったのですが、あのワールドワイド版がWHOなのでしょうか?

映画だけの演出なのかなぁと疑いながらみてました。ほんとは犯罪捜査権限なんかないインターポールに所属したことになっていたルパン三世の銭形警部みたいな感じなのではないと。いや、よくわかりませんが

次は、原作読んで映画館に行こう!

実は、先に映画化のアナウンスがありながら、まだ出来ていないラングトン教授シリーズがあります。「ロスト・シンボル」という話で、フリーメーソンが話の主軸に据えられているようです

フリーメーソンが絡んだ映画の制作が難航しているなんて聞くと、陰謀話の好きな僕としてはゾクゾクするのですが、次こそは原作読んで映画館に行って観ようと今回DVDで観た思いました

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以上 ダン・ブラウン原作でロン・ハワード監督 トム・ハンクス主演の映画「インフェルノ」の感想でした。

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