久しぶりに、まったく知らない作家のSFを読みましたが、個人的にはとてもハマった作品でした。最近のSFは国内作家ものも、海外作家ものも、色々複雑になりすぎていてイマイチ感情移入しにくかったのですが、もうわかり易すぎるくらいのキャラクター設定のこの物語は楽しめました。
目次
電子書籍の本選びは難しい
書店に行けば、店員や出版社の押しや、売れ行きなどを加味した平積みされている本は当たりが多いです。大きな書店を宛てもなく、フロアからフロアへそういう本を眺めて歩きながら、ピンっと来る本を買う楽しみは格別です。ましてや、その本が自分にとってどストライクな本だったりすればなおさらです。
ところが、電子書籍ではなかなか、それが出来ません。
人によっては、電子書籍ストアのおすすめの進化がすごいなんて人もいますが、僕的には書店を彷徨う時のようなフィット感は未だ電子書籍では味わえません
しかし、引っ越しを機に部屋の本棚四つを全て捨ててしまった私には既に本棚に収めねばならない紙の本を買う事は出来ません
結果として、本屋を彷徨いあるき気になった本を見つけたら必死でその題名を頭に叩き込み、本屋を出たら大至急検索をかけるという出会い方でしか読みたい本に出会えていません
(前に本屋で本の写真を撮ってたら店員さんに怒られたので、店内でスマホを取り出すのを躊躇している小心者の私です)
この本にもそうやって出会いました。題名が覚えやすかったのがよかったです(笑)
著者のデビュー作。時間がかかってそうな感じの作品です
デビュー作がいきなりミリオンセラーになっただけのことがあります。アイデアが詰め込まれていて、一度には消化しきれないところがあります。トバ事変、ナチスの南極探査、スペイン風邪、アトランティス伝説なとなど
好きな要素たくさん
この本は結構はまりました。理由は、僕のすきな要素がたくさん詰まっているからでした。
ウィルスによる人類絶滅危機。
これは、昔から結構好きな話です(完全に絶滅しちゃあれですが….)。小松左京さんの「復活の日」とか、映画だとダスティン/ホフマンが主演していた「アウトブレイク」なんか何度も見た映画です。
人類の誕生秘話や進化秘話的な話
古代史好きの私ですが、古代史というよりも人類進化史に近いこの物語の裏ストーリーも結構好きでした。トバ事変という火山噴火による気象の変化で、人類がほぼ絶滅しかかり、それが進化に繋がったという話はワクワクしました。(トバ・カタストロフ理論は、架空のものではなく本当にある仮説のようです。
●人間臭くて、頭より先に体が動くタイプの主人公
主人公のデヴィッドは、イマリという架空の国際組織の諜報員ですが、007並に様々な乗り物を乗りこなし、活躍します。こういう、アクション的なものが入ってくると俄然読みやすくなります。
●虚実がないまぜな話
先程の、トバ事変もそうですが、物語の中に、たくさんの事実が織り交ぜてあるところも、好きなポイントでした。彼のサイトで、物語の中に出てくるどの話が、真実(実際にあったことで)、どの話がその虚実がわかるようになっています。読んでいる時には絶対架空の話と思っていたものが、実はじじつだったりして、英語ですが、ちょこちょこよんでしまいました。
短いシーンを繋ぐのは、最近のはやり?かな
わりと短いシーンをつないでのストーリー展開する手法は、先日読んだユナイテッドステーツオブジャパンと共通していました。
最近のはやりなのかどうかは、わかりませんが、読みやすさをだいぶ助けてくれました、
時空と場所が広がる展開
インドネシアから始まったサスペンスは、舞台を変え、ジブラルタル、中国(チベット)等と変わっていきます。そして、第一次世界大戦の時期のある恋人たちの手記もおりまぜながら、過去と現代が錯綜しながら少しづつ最後に近づくに連れてそれらが全て密接につながっていくあたり、手が込んでいると感じました。
感情移入しやすい古典的な人物設定
でも、結局フィクションはそれが大事
戦闘的な男、謎が多いが、情熱的な理系女子、陰湿かつ不死身の敵役。ものすごいわかりやすい人物設定でした。話がややこしくなりがちな分、この辺の設定がシンプルなのは読んでいる立場としては良かったです。
最近のSFは、そもそも人間が主人公でなかったり(いや昔もあったけど)のものが増えてきた印象で、ちょっと読みにくいと感じることが多かったので、読みやすさ満点でした。
三部作…長くないか。
実は、このアトランティス・ジーンシリーズは三部作になっていました。(しかも、それぞれが上下2巻構成。)この第二進化も、結局ほとんど何も解決しないまま(というか、人類的には結構状況が悪化した状態)に、終わってしまってまして、即座に続編をよまないといられない構造になっています。 うーん。読んでいる時間がない。(いや、読むと思いますが)
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