大論戦を繰り広げるつもりはない。ただ、なくなって今僕が斎藤晴彦さんを思い出すのは、あまりにも違う世界に、いかにもその世界に昔からの住人のように堂々と振る舞う彼だったので、表題のようなタイトルになった。
多くの人と同様に僕自信の斎藤晴彦さんへの出会いは、KDDIのCM出会ったり、11PMの司会(ちょっと覚えていないけど)だったりだった。
目次
■黒テントでの2度めの出会いは強烈
福岡市内の神社の境内に突如出現した黒テントの舞台だったのです
その舞台で、黒テントは「三文オペラ」を演じたとおぼえている。いや、その中で、斎藤晴彦さんの強烈な歌唱力のみを覚えています。
テント芝居といいつつ、きちんと客席が用意されている居心地の良いテント(唐組比)、テント芝居の印象を変えた作品への出会いが、斎藤晴彦さんでした。(1990年くらいの話)
勿論、テント芝居でろくな音響機材や演奏機材のないなかでの、抜群の歌唱力にしびれました。
■ウーマン・イン・ブラック
PARCO劇場の壇上からも、客席一人ひとりにリーチしてくるようなお芝居でその存在感を確認したのが、2003年の「ウーマン・イン・ブラック」でした。
ロンドンの気鋭演出家に直接演出をうけているこの作品は、斎藤さんの舞台中での変貌ぶりが見どころの一つ。まだ、若い上川隆也さんを見事にひっぱっていました。(ちなみに、ウーマン・インブラック1993年版では萩原流行さん、ウーマン・イン・ブラック1996年版では、西島秀俊さんとのタッグでした)
■出自は、黒テント。でも、それを知る人はいない。
彼は、大作「レ・ミゼ・ラブル」でテナルディエを長らく努め、「放浪記」でも菊田一夫の役を演じた。テレビの作品もそうだが、彼はその各々の場所でけして、隅にではなくいつも大胆に真ん中にいた。
アングラと言われる世界から出て行った役者さんはなかなか古巣に戻ってくることも無いのだが、彼はちょいちょい帰っては演出もしていた。
加藤健一事務所で舞台(「シャドーランズ」(2010))に出たかと思えば、野田地図の舞台(「虎」)への出演歴もある。こんなボーダーレスに活躍し、その各々の分野で目立ち続けた人は、もうしばらくは出ないのかもしれません。
なによりも、あの素晴らしい演技をもう一度みれないとなると悔しいです。個人的には、ウーマン・イン・ブラックが見たかった。
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