[劇評]東京芸術劇場「おのれ ナポレオン」@東京芸術劇場 プレイハウス

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劇団 東京芸術劇場
公演期間 2013/04/09~2013/05/21
演出 三谷幸喜 三谷幸喜
出演 野田秀樹天海祐希山本耕史、浅利陽介、今井朋彦内野聖陽

onore
最近見た舞台の中では忘れることができないほどの作品
三谷✕野田という演劇界ではなかなか並び立つことがない二人の演出家がタッグ。それだけでも必見の舞台だったが、そういうのがなかったとしても、最近見た舞台の中では忘れることができないほどの大傑作。役者陣一人ひとりの背景があり、ひとりとして脇役がいないような舞台。その更に上をいく野田秀樹….

 

以下詳細…

改装後の初東京芸術劇場

実は、東京芸術劇場は改装後初。以前の中劇場や小劇場のなんか公共の劇場らしいイケてない感が払拭され、とてもおしゃれな劇場に変わっていてびっくりした。

今回の舞台は野田秀樹さんが、芸術劇場の芸術監督に就任されたことをきっかけに、野田秀樹さんから三谷幸喜さんにオフォーがあったものだそうで、野田秀樹さんにしてみれば初の他人が劇作/演出するという作品だとか。

 

豪華なキャスティングに負けない素晴らしい舞台

とにかく豪華な面々の今回の舞台、野田さん、天海さん、山本さん、今井さん、内野さん..誰が主役でも結構なお客さんが呼べそうな気がしますが、その全員がひとつの舞台に集結するとなると期待が盛り上がります。盛り上がりまくってました。

しかし、その期待を裏切らない舞台でした。

最初に各々の役者のひとり語りで始まる舞台は、このストーリーの主題であるナポレオンの死の謎を各々の視点から語ります。

野田さんに限らず全ての役者さんの演技や持っている背景・苦悩は主役なみの複雑さ、山本さん演じるモントロンの表裏二重の仮面とその裏に隠された長い期間に彼の中に醸成された執念、天海さんの出会いの経緯と鬱屈したコンプレックスから転じた愛情、内野さん演じるハドソン・ロウの建前の権威とその心内にあった憧憬と同情…

複雑なる人間の心情が生み出す行為が積み重なり、最後に驚くべき結論につながっていく。

ミステリーとして、極上の作りになっているこの脚本を演じきれる人は今回の舞台であり、最高の俳優/女優をキャスティングして、最高の脚本と演出でその力を最大限に引き出された舞台だった。

しかし、それでも主役の野田さんはすごかった。「いったいいくつなんだよ、あんた!」と思うほど走り回り、意味なく飛び跳ね、腹筋する…躍動感? 甲高い声と囁く声とおじさん声を入り交じらせて..彼が出てくると他の役者さんの中心になります。

遊眠社、野田地図と見てきた大ファンのひとりとしては、「役者」だけいの野田秀樹のすごさがこれほどまでとは思いませんでした。少年(笑)のような演技(なんであんなにむくれたり、いじけた子供のような雰囲気をこんなおじさんがだせるのか)、狂気、恐怖、威厳、そういったものを併せ持ち、場面毎に切り替え、ついでに笑いも取っていく…

ミステリー調で、何度もどんでん返しが来る「超」のつく三谷流の舞台なのに、見終わったときは野田地図の舞台みたような感じになってしまっているのは、やはりこの野田さんの存在感のなせる技だと思いました。

衰えることって今後この人はあるのか?と思わせる存在です。(頭少し薄くなってきてたので、「野田さんも…」と思って家帰ってナポレオンについて調べているとヒ素中毒の一つの症状として頭髪が薄くなるということもあるそう..あれも役作りだったのか?)

いずれにしろ、こんなタッグマッチ、そうそう起きるものではないし、今回この舞台を見ることができたのは、すごく幸福なことだなぁと久しぶりに感動しながら帰宅しました。

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