好きな時期の唐十郎の作品ということもあり期待して伺いましたが、巨大な劇場で演じられる物語と長台詞に置いてけぼりをくらい、まったく感情移入できないまま舞台が終わってしまった。
演出が悪いのか、単に劇場と脚本の相性が悪いのか最後までわからないままだったが、豪華なキャストであるだけにもったいない気持ちが先になった
劇団 | シアターコクーンプロデュース | |||||
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題名 | 泥人魚 | |||||
公演期間 | 2021/12/06~ 2021/12/29 | |||||
作 |
唐十郎 | 演出 | 金守珍 | |||
出演者 |
磯村勇斗:浦上蛍一 宮沢りえ:やすみ 風間杜夫:詩人・伊藤静雄 愛希れいか:とある会社の秘書室長・月影小夜子 岡田義徳:静雄の元弟子・しらない二郎 大鶴美仁音:ヘルパー・腰田 金守珍:立ち喰いそば屋の主人 渡会久美子:そば屋の店員・待田 六平直政:調査専門ブローカー・踏屋(夜) 八代定治:踏屋の部下・ガニ 広島光:蛍一の友・夕ちゃん 島本和人:天ちゃん 宮原奨伍:草ちゃん 石井愃一:闇夜船の船長・魚主 板倉武志:ガニの部下一 奈良原大泰:ガニの部下ニ キンタカオ:ガニの部下三 趙博:義眼の漁師・ガンさん |
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劇場 |
シアターコクーン(渋谷)
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観劇日 | 2021/12/19(マチネ) |
目次
唐十郎の2003年の舞台の再演
演劇感想文リンクによると2003年の舞台
当時は、僕も唐組に通っていた時期で、2002年と2004年には観に行っていましたがこの舞台は何故か見逃しています(記憶の彼方🤣)
ただ、通っていた時期の作品ということは、脚本が好きな時期の脚本ということで、見逃していたものの期待はしていきました。
唐十郎の舞台が大舞台で演じられているが、迫ってくるものがない
風間杜夫さんはとても楽しそうに芝居をしていると感じました。
六平直政さん(新宿梁山泊時代に何度かみたが)のアングラ芝居も久しぶり、そしてこちらも明らかに楽しんでいる
愛希さんも、存在感があって、多分の本家の赤松さんよりかっこいい社長秘書役もハマっている
何より、儚げな宮沢りえさんの演技は素敵です。
総じて、かなり豪華なキャスティングで、役者に不満はありません
が、残念ながらその豪華なキャスティングによる舞台の迫力が全く感じられません!
大劇場でありながら、唐十郎さんの脚本の特有の長台詞が、あまり工夫なく垂れ流されていて、感情的なものがどこか遠くに置いてけぼりをになってしまったようです。
長台詞が迫ってこないと、話が頭に入ってきません。結果、全体としてなにか遠いところで異国の言葉で語られている芝居を見せられているような気分で見てしまいました。
おそらく座席の問題もある
今回はチケットを取るのが遅かったこともあり、中2階席の後ろより。
パーシャルビューというわけではありませんでしたが、やはり舞台は遠く感じました。
オペラグラスを用意していたわけではなかったので、役者さんの顔はほぼ見分けがつきません。
声や仕草に特徴がある俳優さん(=上記で褒めた俳優さん)以外は、なかなか区別がつかないのも事実でした
だからこその上記のような感想になった部分はあるかと思います
金守珍さんの演出の弱点
とはいえ、そのような劇場で行う舞台である以上、どのような席であっても楽しめる工夫をすべきです。
前の方に座っている観客だけが楽しめる舞台を作るのであれば、コクーンで上演する意味はないと思います。
実は金守珍さんの演出の唐十郎作品の鑑賞は初めてではありません。
20年以上前の話ですが、私は一度だけ金守珍さんが演出された唐十郎作品「少女都市からの呼び声」を鑑賞しましたが、その時と同じ弱点を感じたように思います。
金守珍さんが唐十郎の作品を演出する際に、特に今回のような大きな劇場だと以下のような演出をされているように思います
大劇場で台詞の長さを音と装置でごまかす
今回の舞台でも、諫早湾の干拓のための大きな水門を模したものが派手に落ちてきて、観客の度肝を抜きます。
また、長台詞の要所に結構なボリュームのある音響が入ってきます
これらは、長台詞でダレる観客の意識を呼び覚ますために活用されているのだと思うのですが、多用されすぎて辟易としてしまいます
台詞を聴かせる力量がないならば、台詞のカットも考えるべきではないかと思いました。もちろん、叙情的な台詞の多い唐十郎さんの台詞をカットするのがベストな解決策ではないとは思います。
しかし、台詞が観客に伝わらないのであれば、そのような解決策も一つではないでしょうか。
長台詞を自分のものとして話す俳優の力量には、感嘆はしていたのですが、中身ほはいってこないのはどうしようもありません
ちなみに、新宿梁山泊の以下の舞台は、演出も含めてうまくハマっており、金守珍さんの演出が全てダメということではないのだと思います。
劇場との相性が悪いだけなんだと思っています。当たり外れがある演出家さんだとは思っていますが
コクーンで唐十郎作品といえば、蜷川幸雄さんだったわけですが、彼の演出でもこうだったのだろうかと(とうとう見ることが叶わなかったのですが)思いながら帰路につきました。
宮原奨伍さんは残念
今回見に行くきっかけのひとつは、宮原奨伍さんの出演。
以下の舞台でその存在感やうまさは個人的には評価していたこともあり、唐十郎さんの脚本やコクーンの大舞台でどんな演技をされるかという楽しみもあったのですが登場シーンがびっくりするくらい少なくて、ほぼセリフも記憶になし。
残念(宮原さんというよりもキャスティングが….)
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