[劇評]ラッパ屋「七人の墓友」@紀伊国屋ホール(新宿)

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劇団創立40周年の公演、劇団が歳を重ねるとともに俳優もいい年になり、テーマも墓の話。見てるこちらの人生もそういうフェーズで、心に響く舞台でした

劇団 ラッパ屋
題名 七人の墓友
公演期間 2024年6月22日(土)から2024年6月30日(日)

鈴木聡

演出 鈴木聡
出演者 岩橋道子:吉野仁美(吉野家の長女)
弘中麻紀:吉野邦子(仁美の母)
俵木藤汰:吉野義男(仁美の父)
宇納佑:吉野義和(吉野家の長男)
ともさと衣:吉野美枝子(義和の妻)
中野順一朗:吉野義明(吉野家の次男)
浦川拓海:松坂照之(義明のパートナー)
おかやまはじめ:栗原誠二(義男の友人)
桜一花:高沢遥香(仁美の友人)
林大樹:京本剛(遥香の元カレ)
磯部莉菜子:中島聖子(ウエイトレス・剛の現恋人)
熊川隆一:三村正明(編集長・仁美の恋人)
松村武:木島佐和子(邦子の墓友)
谷川清美:多田陽子(邦子の墓友)
大草理乙子:松岡由利江(邦子の墓友)
武藤直樹:岡添祥文(邦子の墓友)
岩本淳:竹内弘(邦子の墓友)
木村靖司:松坂浩介(住職)
劇場 紀伊国屋ホール(新宿)
観劇日 2024/06/29(マチネ)

目次

2014年から俳優座が上演している舞台のラッパ屋版

最初は、新作かと思っていましたが、俳優座に2014年に描き下ろした舞台をラッパ屋で上演ということだそうです。コロナ中に朗読劇などもされてようですね

七人の墓友

2014年、2017年、2019年に上演されているようです

墓について考えること

最近、父がなくなったこともあり、お墓について考えることが増えました。
うちの場合は、エジプトのファラオにように父が生前から墓を立てていてくれたおかげで、お墓をどうしようとか考えることもなく納骨をすませることができました(他の手続きは色々あって大変でしたが)

ここからはネタバレします

見知った役者さんたちが軒並み齢を重ねており….

初めてラッパ屋の舞台を見たのは、地方赴任が終わって東京に戻ってきた1997年

ラッパ屋「鰻の出前」@THEATER/TOPS(新宿)

当時は、まだ20代だった私が見た舞台上の皆様が、50代なかばに差し掛かって見に行ってもやはり舞台上にいらっしゃるという幸福を噛み締めておりました

この当時から若いお姉さん役をやっていた岩橋さんが、今回も主役。ご自身の年齢より若い役をやられていて全く違和感がないのはさすがです(見終わったあとにWikipediaで実年齢見て驚愕しておりました😯)
そして、随分年上の役をやられている弘中さん、動きの緩慢さなど老人としての特徴を捉えた演技はさすがでした
まさか岩橋さんと弘中さんが実年齢では年齢が逆とは…🤣

反則技炸裂の配役

縁がなく、劇団名は知っていましたが一度も見に行ったことのないカムカムミニキーナの松村武さん、多分舞台で見るのは初めてですが、まさかこんな衝撃的な出会いになるとは思いも寄りませんでした
まさかの女性役で登場….とはいえ、見るからに女装であることがわかるため、出てきた瞬間に客席がざわつきました。

みんな配役表を確認しようとしていたのは明らかで。女性名の役に男性の名前が配役されていてもパット見気付いた人はいないはずで、舞台に登場してみて衝撃を受けたのだと思います🤣
おそらく俳優座版では、普通に年配の女性が演じていたであろう役をこの配役にするあたりラッパ屋版の攻めの姿勢を感じます

最後が桜を目の前に

舞台上に桜の木は設置されていませんが、桜の木の前で語られる先に逝った墓友への言葉の掛け合いや、家族のキヅナを再度確認する場面はとても感動的なものでした
おもえば、僕のラッパ屋初体験の鰻の出前も、舞台上に巨大な桜の木が植えられていて、強く印象に残ったのを覚えています
別に全部というわけではないですが、ラッパ屋の舞台のイメージのひとつとして「桜の木」が印象的に使われているというものがあるように思います

設定されている場所が秀逸

舞台は、東京スカイツリーの展望台、自宅バーベキュー会場からちょっと奥まった庭、ファミレスの入口の待合、お寺の本堂に入る前の庭とちょっとひねったところが設定されています

舞台装置は最小限ということもありますが、バーベキュー会場や、ファミレスの席、お寺の本堂の中… 出ない場所がどっちかといえば事件の起きそうな場所というイメージだったので、この場面設定は新鮮に感じました

俳優座版も見てみたい

こうなると、俳優座版も見てみたくなりました

以上 ラッパ屋の「七人の墓友」の感想でした

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