プレゼンの常識を覆す一冊『対話するプレゼン』。著者・岩下宏一氏は劇団四季とビジネスの両方の経験を持つ稀有な存在。本書では一方通行ではなく「対話」を重視し、ヒアリングからストーリー構成、資料作成、そして舞台俳優の技術を活かした話し方や体の使い方まで、プレゼンの全要素を網羅。具体例が豊富で初心者にも分かりやすく、日常のビジネスコミュニケーションにも応用できる究極の指南書です。
目次
一冊でプレゼンの全てが学べる
岩下宏一さんの著書『対話するプレゼン』は、プレゼンテーションについて余すことなく網羅した、まさに「完全な指南書」と言える内容でした。
これまで私が読んできたプレゼンに関する本は、資料作成や進行方法といった特定のポイントに絞ったものが多かったのですが、本書はヒアリングからストーリー作成、資料作成、さらには対話方法、話し方や体の使い方まで、プレゼンに必要な全要素を幅広く、かつ具体的に解説しています。
常識を覆す「対話型プレゼン」
一般的に「プレゼン」というと、プレゼンターが一方的に自分の考えや想いを伝えるスタイルを思い浮かべがちです。
しかし、本書のテーマは「対話するプレゼン」。聞き手を巻き込み、相手との会話を生み出す方法に焦点が当てられています。
これは、プレゼンに対する従来の常識を覆す新しい視点であり、とても新鮮に感じました。
それでいて、非常に地道に基礎から応用まで詳細な内容が記載されているのが本書の特徴です。
著者・岩下宏一氏の特異なキャリア
本書の著者、岩下宏一さんはNTTで人事部に所属後、劇団四季に所属し、その後レジェンダ・コーポレーションにて採用コンサルタント、管理部長を経て、現在はプレゼン講師として活動しています。
非常に珍しいキャリアを持つ岩下さんだからこそ、舞台俳優としての表現技術(言葉の出し方、声の出し方、体の使い方)と、ビジネスパーソンとしての実践的スキル(対話能力、ストーリー構成力、課題解決力)が見事に融合されています。
具体的で迷わない構成
私が特に驚き感心したのは、本書の構成の分かりやすさと、初心者にも迷わせない具体的な説明です。
問題解決のためのヒアリングとストーリー構築の事例として「桃太郎」を取り上げるなど、身近な例で分かりやすく解説されており、初心者がこの本を読めば安心してプレゼン準備を進められるでしょう。
ヒアリングや資料作成についても、シンプルで明快なアドバイスが満載。私自身、業務コンサルティングで資料作成について多くの指導を受けましたが、本書の内容と共通するところが多く、説得力を感じました。
プレゼン本番のリアルなノウハウ
本書の第4章では、プレゼン本番に向けた具体的なノウハウが特に秀逸です。名刺交換の時の工夫や、アイスブレイクの具体例、話し方や間の取り方、目線や発声方法まで、本番で必要なスキルが手に取るように分かります。
私にとっては特に苦手意識のあるアイスブレイクの具体例には、目からウロコが落ちました。
アイスブレイクをしたほうがいいのはわかっていても、そのアイスブレイクを具体的にどのようにやるのか(褒める、感想を言う、名刺の名前の読み方を話題にする等々)、ここまで詳しく解説されたものを僕は初めて見た気がします
問いかけや聞き手からの反応の受け止め方など、対話形式でプレゼンを進めるためのアドバイスも論理的でわかりやすく、自分の「話し過ぎる」傾向を見直す良い機会になりました。
劇団四季のノウハウが詰まったプロの技術
目線や発声、語尾の使い分けなど、ここまで具体的に説明された書籍は他にはないのではないでしょうか。これは著者が劇団四季というプロの舞台経験を持っているからこそ得られた技術であり、大きな魅力の一つです。
ビジネスコミュニケーション全般に役立つ
この本はプレゼンテーションにとどまらず、日常的なビジネスコミュニケーションにも応用可能なヒントが満載です。
特に、劇団四季の訓練法である「母音を強調する発声」など、通常のビジネスマンでは知ることのできない貴重な知見もありました。
プレゼンというと、中々機会がある人も少ないかもですが、例えば社内の会議での発言など、自分の話し方に自信がない人や、コミュニケーションに悩む方には特におすすめです。
実は….
岩下さんは、私の前職での同僚です。劇団四季出身のバックボーンをもつ岩下さんと、演劇好きの私はオンオフ問わずお芝居の話や仕事の話で交流することが多く、こんなすごい本を書かれたことに多くの刺激をもらうことができました
ちょうど4月ということもあり、環境が変わる方や新社会人にも読んでほしいそんな本です
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