ぱぷりか「柔らかく揺れる」@JMSアステールプラザ(広島)

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父親という呪縛がなくなった家族の有り様の変わり方を、全編広島弁で。広島だからか、世の中全てがこうなのか、家族の関係のゾワゾワした感じが全編に溢れ、心地よいセリフと物語の違和感に翻弄される100分間でした

劇団 ぱぷりか
題名 柔らかく揺れる
公演期間 2023/10/07-2023/10/08

福名理穂

演出

福名理穂
出演者 井内ミワク:幸子(母)
荻野祐輔:良太(長男)
篠原初美:樹子(長女)
岡本唯:弓子(次女)
大浦千佳:ノゾミ(良太たち兄弟の従兄弟)
山本真莉:ヒカル(ノゾミの娘)
佐久間麻由:志保ル(良太の妻)
池戸夏海:愛(樹子の同棲相手)
江藤みなみ:真澄(産婦人科、愛の友人)
富岡晃一郎:信雄
劇場 JMSアステールプラザ 多目的スタジオ(広島)
 
観劇日 2023年10月8日(マチネ)

目次

岸田戯曲賞に広島弁の作品が!

一時期は、ブログ記事にしていたこともあり、岸田戯曲賞のニュースはチェックしています(最近、サボって記事にしていませんが😓)
昨年(2022年)の受賞作が、この「柔らかく揺れる」でした

劇評を取りまとめているサイト( 演劇感想文リンク)を取りまとめている関係で、この作品の感想を読むと、作者は1991年生まれの広島出身で、全編広島弁らしい

野田秀樹さんなんて、絶賛していたりする….

なんで広島でやってくれなかったんだろう😭…と 広島ジャンゴのときと同じ哀しみを感じていたら、ついに広島凱旋(?❣)公演という情報を入手し、早速チケットを予約しました

広島では、小さめな劇場(80人くらいかなぁ)で上演、もっと多くの方に見てもらいたかったかな

ぞわぞわ

ぱぷりかは、初見の劇団で(最初、ツイッター(現X)で「パプリカ」と間違えたくらい)、作風は全くわかりませんでした
父親のプレッシャーとか、長男の苦悩とかなんかわかるなぁという
作者さん(福名さん)の世代は僕よりも22歳若い(僕が新卒就職した歳に生まれてる🤣)のに、それでも同じような感触を感じるのかなぁとちょっと慄然。
どっちかというと親世代のほうが僕は近いだろうに…

世代間格差ではない格差があるのかなぁと思ってしまいました
(ちなみに、作者の福名さんは、私の住所の隣の区出身らしいので、地域的にそんなに違いはない)
子供がいない長男へのプレッシャー、LGBTQへの無理解(うちの父も、そういう話題や人がでるとチャンネルを変えていた😓)、結婚へのプレッシャーなど、「あるある」と気軽に頷けない「ゾワゾワっ」と背中に感触が走るような共感を感じながら見ていました
アルコール依存やギャンブル依存(しかも地方らしくパチンコ依存)なんてものも、けして日常から遠い世界ではなく、そのような世界を端的なセリフとシーンの結合で(時系列は結構飛びまわる)描く作風は流石だなと思いました

おじさんにはつらい?女性がたくさん出る芝居

今回始めて感じましたが、同世代の女性がたくさん出てくると、どの人がどのひとだっけ…となってしまうことがちょくちょく起こりました
時系列が飛び飛びだったこともありますが、出てきた女性が、これまでに出てきた別の女性と、どういう関係なのかわからなくなったり、その方が初めて出てきた方かどうかがわからなくなったり…
勿論、お母さんや娘(ヒカル)はわかるのですが、3姉妹とか、その友達や長男の嫁がほぼ同世代の女性たちで、区別がつかない….出てくるたびにこの人だれだっけ🤔となる…本当に面目ない
おじさん(おじいさん)化がすすんでるのかもしれません…少し悲しい

女性目線?男性の存在感がない

そういう作りだとおもいましたが、男性の存在感が薄い舞台でした
多分、一番存在感があったのは、冒頭シーンでお葬式があげられている父親。出番はありませんが、もっとも存在感を感じる男性だったかもしれません

長男も、近所の業者のお兄さんも、なにかその投影のようなキャラクターでした
長男の行動や発言も、男目線で見てるとわかるとおもうところもあるのですが(仕事をついつい優先してしまうところとか)、妻に対する態度はさすがに誇張がすぎると思ってみたり…いや気づかないだけでああいう言動もあるのかなぁとか考えさせられたり
一番マトモと思っていた、業者のお兄さんも、実は豪を抱えていることをわかって…

時系列が飛び飛びながら、様々な事情がわかってきて、何かがかわるかなぁというところを予感させて終わり。
ちょっと消化不良な気がする一方で、帰り道に色々考えさせらるというのが、作者のねらいだったのかもしれません

アフタートーク

広島千秋楽ということで、アフタートークがありました(忘れて帰るところでした😓
出演されたのは、作者の福名さん、琴子役の丸々、長男()役の丸々さん、お母さん(こうこ)役の丸々さんでした

広島県人の前で広島弁を話すことのプレッシャーを皆さん感じていたそうですが、私は一切気にならりませんでした。上記の通り、心地よい感じでした。
他地域の方が、この広島弁のトーンをどのように感じるのかなぁと思っていたので、琴子役の丸々さんが、距離感が変わるという感想は新鮮でした
広島県の高校生は、修学旅行先で普通に話しかけると喧嘩になるという伝説があったので、どっちかといえばとっつきにくいのかと思ってましたが….

初演とは、長男役の方のイメージが変わっていたというのも、新情報でした。この公演だけみるとガッチリした感じの長男というイメージが湧きません

総じて、とても印象に残る舞台で、ぱぷりかの作品、また見たいと思いました(広島にそうそう来てくれそうにないので、東京で)

ちなみに、文中で言及した広島ジャンゴの劇評は以下です

広島ジャンゴも、元々は広島に東京の劇作家を招いて創作する演劇引力広島の企画として上演された作品です。
来年は、福名さんもそちらの企画で広島でプロデュース公演をするということなので、ぜひ見に行きたいと思っています

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