劇団 | 月刊「根本宗子」 | |||||||
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題名 | スーパーストライク | |||||||
公演期間 | 2017/10/12〜2017/10/25 | |||||||
作 | 演出 | 根本宗子 | ||||||
出演 | 田村健太郎:横手南(なかなか売れないミュージカル俳優志望) 長井短:足立麻里(twicastの視聴率を気にする女) ファーストサマーウイカ:橘エイミー(足立麻里と同じマンションに住むトリマー) 根本宗子:黒川桃子(足立麻里の中高の同級生) |
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劇場 |
ザ・スズナリ(下北沢)
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観劇日 | 2017年10月21日(マチネ) |
目次
物語
何年も前にスマホにインストールした「ティンダー」という出会い系アプリでたった5分の間に三人の女性から「スーパーライク」をされた男。
各々の女性に対して「友達」として必死に尽くし続けている中で、全ての女性から「恋愛感情」をもたれていることに戸惑い始める。
一方で、三人の女性には、それぞれに因縁があり、それが「スーパーライク」を送った理由であることも判明。
それでも、三人共の「恋愛感情」と男が求める「友情」は、すれ違い続け、ついに男の部屋で4人の男女が鉢合わせになることに...
男目線で見てしまう男女のちょっと歪んだ恋愛物語
ざっくり物語をまとめようと思って上記の文章をかきました。書き終わった後に気づきましたが、完全に男目線で見ています
女性3人のキャストにもそれぞれすごくしっかりしたバックボーンがあって、多分見る人によって主役と思って見る人が異なるのでしょう
実際、主人公は誰ってくらい全員に見せ場があります。それでいてそれがぜんぜん嫌みがありません
そういう意味で、脚本の構成力はハンパありません。根本宗子さんの作品を始めてみましたが、正直ここまで面白いとは思っていませんでした。m(_ _)m
新しいようで、普遍的。でも、何か変
出会い系アプリで出会う男女の物語と聞くと、若い人の話だなとおもいます。一方で、テーマの一つは何度も見たことがある男女間に、友情関係が成立するかという普遍的なもの
そんな風に油断していると、登場人物はみんな何か変な人たちばっか。えー、そうくるのか!!的な展開が次々におこり、息つく暇がありません。
途中で根本宗子さん演じる黒川がパニック気味になるシーンがあるのですが、その時の正直な僕の気持ちは
「こっちがパニックだわ!!!!」
というもの
僕も お水 欲しかったです。(深呼吸しました)
もうね、こういう修羅場なんてとおーーーーい昔に縁がなくなっているおじさんをここまでドキドキさせるキャストの熱演が凄いです
話は軽いのに、何か深く考えさせられます
チラシによれば、根本さんは「イケてる」って何かを書きたとのこと。この辺も結構普遍的な話だなと思いながら見てました
友達ができないことが悩みで、まわりに溶け込めない。だからこそ、友達と思える人に対して過剰とも思えるほどサービスしてしまう。自分も含めわりといそうなキャラクターです。
それでいて、彼の抱えている闇の深さが少しづつ見えてくる当たりもゾクゾクするような展開です。
女性の脚本家なのに、ここまで男性の内面に踏み込んできているのは、すごいです。勿論、それを軽さと怖さの半々くらいの演技でこなす田村健太郎さんの力量もすごいのですが
役の上の話とはいえ、この田村さん演じる横手南のメンタル力の強さがハンパなくて、個人的には羨ましいなと思っていました
モテてる様子が羨ましいわけではありません(笑)
この不思議とモテる(と男からは見える)役として、田村さんの演技がまたかなりフィットしていました
また、三人出て来る女性キャストの言動や心の動きも興味深いです
さすがに女性脚本家と思わせるきめ細かい女性の気持ちの描写がすごくて、ちょっとおじさんが見てはいけない物を覗き見るような背徳感があったり
役者さんの特徴もそれぞれでみんな印象にのこりました
長井短さんが演じる足立麻里の女性像が、とても女々しいにも関わらず、男前なところもあります。そのギャップが見事に笑いをひきだしてくれます。彼女は、コメディエンヌとして、相当に凄腕とみました。
ファーストサマーウイカさんの演じている橘エイミーも、最初はサバサバした外国生まれキャラがハマっていたのに、後半すごく落差のある演技をしていて目が離せません
そして、根本宗子さんの黒川桃子。よく演出しながらこんなにキャラクター作り込めるなと感心しました
三人とも、それぞれに魅力的で、最近おじさんばかりが出てくる芝居が多かった観劇歴を少し後悔しました(笑)
エンターテイメントとしても楽しめる
横手南はオーディションに落ちまくる役者志望という設定です
その為、ミュージカルのベストナンバーが、多用されるのも話にアクセントが入っていてよかったです
アラジン、キャッツ、レントという僕自身も好きなミュージカルナンバーが、突然ハーモニーとして歌われます。照明効果も相まってそれはそれで単品で楽しめる出来になっています。皆さん、歌上手いなぁというのが素直な感想です
スタッフワークもいい。
劇場に入ってすぐ目に入った装置の造りも素晴らしいです。四つ部屋が凄く上手い形においてあり、視点移動をほとんどせず、場面転換なしで4人の男女の別々の部屋が見れる作りは、具象舞台としてレベルがかなり高いと感じました
実は、芝居を観る時に衣装なんてほとんど気にしたことがありません。しかし、今回はシーン毎に女性たちが来ている衣装が、セレクトも含めていい感じです。と思っていたら、そのセレクトさえも、物語の重要なようそだったんですね
そういえば、昔芝居の演出したときに、日がまたいだ設定のシーンでいつも出演者が同じ服を着ているのに違和感があって、変えようとしたら場面転換で着替えることになる役者と衣装担当者から全否定された黒歴史を思い出したりして(涙)
当日券チャレンジしたかいがありました
根本宗子さんの名前は聞いていましたが、正直今一歩観に行く踏ん切りがつかないでいました
時間が空いて、何かみようかなぁと思い、昨年の公演を演劇感想文リンクの劇評で読んで観に行く気になりました。→「夢と希望の先」
前売り開始時刻(13:30)の1時間以上前にスズナリについて、既に3人並んでいた時にはちょっと心が折れかけましたが、雨の中1時間以上まったかいがあり、A列の席が確保できました
以上 月刊「根本宗子」が2017年10月にザ・スズナリで行った舞台「スーパーストライク」の劇評でした。
[…] 清角克由(2017/10/21) […]