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■一般化したネーミングライツがついに劇場へも
野球やサッカーのスタジアムや、公会堂といった箱物が、ネーミングライツを売り出して、運営費等に当てるというのは、ずいぶん一般化して来ました。
そういうことに、その箱物を利用する立場の観客もあまり違和感なく使っている感じです
テレビやラジオでも通常はスポンサー関係でない民間企業の名前や商品名を口にするのはタブーという雰囲気が昔はありましたが、いまは、スポーツニュースなどで普通にスタジアム名として電波に乗っています
そういった流れがついに劇場にも来たようです
■王子小劇場がついにネーミングライツの販売に成功!
以下のような記事が、王子小劇場のサイトに上がっていました。
王子小劇場ネーミングライツ販売による名称変更 記者発表会のお知らせ
王子小劇場を運営する佐藤商事株式会社(本社:東京都北区、代表取締役社長:佐藤秀雄)は、株式会社こうゆう(本社:埼玉県さいたま市、代表取締役:高濱正伸)と、王子小劇場の今後 3年間のネーミングライツ(施設命名権)販売について、基本合意しました。
これにより、王子小劇場の愛称は、株式会社こうゆうが展開する学習塾「花まる学習会」の名称を冠し、2016年6月1日から「花まる学習会王子小劇場」となります。
記者会見のお知らせとあったので記者会見後の記事を待っていたのですが、ないようなのでこちらをベースに書きます。
■かつては、批判のあった企業冠の劇場も…
劇場名に企業名の冠がつくのは別にこれが初めてではありません。
僕の記憶しているなかでは、大久保にあるグローブ座が、一時期パナソニックグローブ座として冠がついてたことがあります。
ただあれは、今のネーミングライツとは異なり、パナソニックが劇場の運営費の支援を行う代わりに冠をつけたという形式だったように思います。
バブルの時代で、企業メッセなどという文化活動に対しての企業の無償の支援のようなものがもてはやされていた時代で、当時の松下電器(現パナソニック)は随分、叩かれていたような気がします。(一応、パナソニック・グローブ座と東京グローブ座と二つの名前を併用していたようですが。グローブ座という超有名な劇場名を関したのも問題がある気がしますが…)
■企業が劇場を支援するのではなく、劇場が企業経営の手法を取り入れる時代
それを思うと、劇場側から積極的にネーミングライツを売り出すという今回の王子小劇場の試みは、時代が変わったなあと感じさせる出来事でした。
ただパナソニックグローブ座の場合と今回の違いは、劇場が主体的に動いているかどうかだと想います。
もちろん、規模の大小を問わず劇場経営は決して余裕があるようなものではないでしょうし、こういった経営努力により安定的な経営を劇場がしてくれるのは演劇界にとって望ましいことだと思います。
2016年問題と呼ばれる今年の大量劇場閉鎖問題も、震災に端を発した耐震工事等でかさむ劇場運営費がその理由の一端を担っているように思います。
王子小劇場の名前がちょっと呼びにくくなりましたが(味スタとかズムスタみたいな愛称できるといいな)、劇場としての攻めの姿勢に、拍手をしたいなと思います。
演劇界、特に小劇場演劇の世界にこういう商業的な試みがもっとあっても面白いのになと思います。
そういうものに、反抗的なスタイルのアングラ劇もすきなんですけどね。
[…] 先日、ネーミングライツの件でこのブログでも取り上げた王子小劇場。その王子小劇場企画発起人・佐藤孝治さんのブログ「kojisato515」を演劇感想文リンクからリンクし始めました。 […]
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