チケットの高額転売は、買う側だけが悪いのか?(課題編)

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■アーティストの高額転売に対して再び話題に

先日アーティストによる新聞紙面への全面広告が話題になりましたが、広告だけでどうにかなるものではこの問題はなく、当の興行を行う側が身を切る覚悟がない限り、この問題の本質的な解はないと思います。音楽アーティストが、この全面広告には参加しているようですが、この問題は、一部の演劇公演にも同様に含まれています。以下、この問題について、僕自身が感じている課題を書きます。

■「ビニールの城」3万円

このブログでも何度か取り上げ、僕自身思い入れのある作品である「ビニールの城」は結局みれそうにありません。チケット争奪戦に敗北し、チケットの確保ができませんでした。エディンバラ行きがあり、選択肢が少なかったことと、前後の仕事量が読めず、平日など比較的チケットが取りやすいチケットに挑戦できなかったというのもありますが…

帰国して、諦めきれずいくつかのチケット転売サイトを見たところ、3万円くらいの値段がついていてやはり諦めました(カンタンに書いていますが、実は結構逡巡しました)

結構逡巡したとは、買っている人がいるということです。(僕自身も、過去に同様のサイトで買ったことがあることは認めます)

それは、評判になっていて最近気になった顧客、あるいは、僕のように通常のチケット争奪戦に敗北した人々です。

そういう顧客を見捨てているのが現在の興行主(ライブの主催者)です。

■需要を大幅に下回る供給

ちょっと前に、読んだ漫画(「ラーメン発見伝」)で、行列店が、本来の閉店時間よりも大幅に早い時間にスープがなくなって閉店するのを批判するシーンがあります。スープが早くなくなるのがわかっていて、大量に仕込まないのは天候等の影響でいつもどおりにお客が来なくてもスープが余らないようにしているからなのですが、その行為自体、お店がお客さんにリスクを背負い込ませていることだというのです。

今の人気あるアーティストのライブは、この行列店のように、需要を大幅に下回る供給しかできていません。その為に、争奪戦と価格高騰が起こるのです。

勿論、ライブはラーメンとは違います。人がやり場所が限られている以上、無制限に作れるわけではありません。売れ残りを恐れて、生産数を調整しているという要素のみが、供給不足を招く原因と言い切るのは乱暴かもしれません。
しかし、それでもリスクは、一方的に観客が負担する構造になっているように思います。

■硬直した取引体制

同様に不便なのは、一度買ったチケットのキャンセルが基本的には効かないことです。人気チケットは、何ヶ月も前に確保をすることが必要になるのですが、そのスケジュール通りにその公演を観に行けない事が起こりえます。
僕自身何度もそういう目にあい、折角の希少なチケットを無駄にすまいと、方方に手を尽くして、引取先を探すなんてことがよくあります。

おそらく、一方ではそのチケットを手に入れたい人がいるにも関わらず、狭い自分の身の回りで見つけ出すことができずに無駄にするということもありました。最近では、オークションやチケット転売サイトというところへ購入したチケットを出品すると、次に新しいチケットを取りたい時に当選できなくなるという話も聞くので、怖くってそういったところに出品することもできません。

これも、ひどく供給側の論理に偏った仕組みだと思います。

■高価なチケットを買っても、作り手に届かないジレンマ

一方で、高額チケット転売を行うサイトを利用したり、オークションなどで正価の何倍もするチケットを購入することにもジレンマを感じます。
音楽ライブも同じでしょうが、演劇公演の制作には膨大なお金がかかっているものが多くあります。超人気劇団の劇団☆新感線なんかでも、古田さんが、「他の劇団での客演とかで稼いだお金を自分の劇団の本公演にかけている」といった会話を耳にしたことがあり、耳を疑った覚えがあります。
おそらく、発売即日完売とはいえ、正価×席数分しかチケット代のみが収入だとした場合、割に合わない公演も存在するのかもしれません。

しかし、一方で、その公演を見るために正価の何倍ものチケット代を払った観客がいて、その観客が払ったチケット代の一部は、その公演の供給する側(ライブの主催者や劇団)には渡らず、そういった苦しい台所事情を助ける役には立たないのです。

人気公演で、希少な座席を確保して、公演を体験したい、だからこそ正価の何倍であってもそのチケットを手に入れたいという思いはあくまでも、その公演を作ってくれる制作者への信頼であったり、期待であったりのための価格負担です。それが、まっすぐに供給側(制作者)に届かず中間で搾取する誰かに渡ることには、釈然としないものがあります。

 

僕は、こういう問題に対処するためには興行を行う側(ライブの主催者、劇団等)が、身を切る改善をしないかぎり解決はできないように思っています。(顔認証を導入すればいいってもんじゃない)

長くなったので、提言篇は別に書くことにします。

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