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[劇評]劇団桟敷童子「獣唄」@すみだパークスタジオ倉(とうきょうスカイツリー)

2019年に観劇した際は、主役の村井国夫さんが病気降板し、代役キャストでの観劇でしたが、超短期間で再演が決定。前回の代役版もよかったですが、さすがの村井さんの存在感に圧倒される舞台に仕上がっていました

2021/05/252021/06/07

劇団 劇団桟敷童子
題名 獣唄
公演期間

サジキドウジ

演出 東憲司
出演者  村井国夫:梁瀬繁蔵(ハナト/三姉妹の父親)
 板垣桃子:梁瀬トキワ(長女)
 増田薫:梁瀬ミヨノ(次女)
 大手忍:梁瀬シノジ(三女)
 鈴木めぐみ:カネトキ(キノコ採りの名人)
 坂口候一:春治(地主)
 浅井伸治:堂上(村人)
 原田大輔:梶(村人)
 石原由宇:三平(村人)
 鈴木歩己:国松(村人)
 吉田知生:ケイジ(村人)
 山本あさみ:キヌ(春治の親戚)
 柴田林太郎:玉吉(春治の叔父)
 原口健太郎:楢崎伸輔(東亜満開堂・社長)
 もりちえ:楢崎夢代(伸輔の妻)
 羽田野沙也香:楢崎虹子(伸輔と夢代の一人娘)
 稲葉能敬:加藤信吾(東亜満開堂の社員)
 三村晃弘:山浦岩男(東亜満開堂の社員)
 川原洋子:末永やゑ(東亜満開堂の社員)
劇場
すみだパークシアター倉(とうきょうスカイツリー)
観劇日 2021/06/05(マチネ)

目次

村井国夫さん復活!

2019年の初演時、村井さんは無念の病気降板されました。私は、楽日のチケットを取っていたため、村井さんの代役を原口健太郎さんが演じたバージョンを観劇しました。

主役降板という事態にもかかわらず、舞台の出来はとても良い。話の先が見えないことによるドキドキ感を最後まで感じる事ができ、最近みた桟敷童子の舞台の中でも出色の出来。ただ、自分の中でのその「面白さ」を突き詰めた時、その理由の一つは主役交代によるものであったように思いまいした。劇団劇団桟敷童子題名獣唄公演期間2019/12/03~ 2019/12/15作サジキドウジ演出東憲司出演者 原口健太郎:梁瀬繁蔵(ハナト/三姉妹の父親) 板垣桃子:梁瀬トキワ(長女) 増田薫:梁瀬ミヨノ(次女) 大手忍:梁瀬シノジ(三女) 鈴木めぐみ:...
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しかも、この作品で桟敷童子は 紀伊国屋演劇賞で団体賞を受賞。村井国夫さんも男優賞を受賞されました

毎年このブログで記事にしている紀伊国屋演劇賞ですが、今年はずっーーーと応援してきた劇団が、受賞しました。めっちゃ嬉しいのですが、それはそれとして今年もいつものように受賞者、受賞団体を紹介します第54回紀伊国屋演劇賞が発表されました先日以下の記事で劇評を書いた時に触れてしまっていたので、少し記事をアップするのが遅れてしまいました例年通り、桟敷童子以外の受賞者についても記事にしたいと思います。団体賞 劇団桟敷童子>「骨ノ憂鬱」「獣唄」の優れた舞台成果に対して。いやぁ、長らく応援してきた劇団の受賞は...
[演劇賞]第54回紀伊國屋演劇賞は、団体賞が桟敷童子でした!! - 演劇とかの感想文ブログ

受賞は嬉しかったものの、村井国夫さんバージョンを見ることができなかった身としては、少々複雑な思いでおりました(上記の劇評でも書いてますが、 原口健太郎さんバージョンも良かっただけに…なんかね)
が、こんな短期間で再演を決定。早速、劇場に足を運びました

村井国夫さんの演技に圧倒された

たった1年半前に見た物語だったはずなのに、物語の内容はほぼ忘れており( 老化…😭)、非常に新鮮な気持ちで見ることができました。

村井さん演じる頑固親父は本当に憎々してくて、周りの役者たちに立ちはだかる巨大な壁としての存在感がすごいなと感じました。

実は、前回原口健太郎さんがこの役をやったとき、結構際どい舞台装置の際を登っていたりして、かなり体力を使う役だったので、それを村井さんにできるのか?という心配をしていましたが、 まったくの杞憂でした

縦横無尽に舞台上を動き回り、足場の悪そうな装置の上にもちゃんと登っていらっしゃる姿は、山男そのものでした(今、wikipediaで年齢を76歳と見て、二度びっくりしています)

板垣さん演じる長女が、嫌いまくっていた父親である村井さんに屈服するシーンも、前回は少々唐突感がありましたが、今回は(おそらく脚本はいじられていないにもかかわらず)、すっと入ってきました。

存在感が物語に影響を及ぼすということがよくわかりました

原口健太郎さんの山浦見たかった?

前回の代役時、原口さんが村井さんの役を代わり、原口さんがやっていた山浦を三村さんが演じるという形の配役でした。
今回は、2019年の初演時の配役に戻って原口さんが山浦をやるのかなと思っていたのですが、前回佐藤誓さんが演じていた花の商社の社長を演じてました(山浦役は、2019年の代役版のまま三村さん)

これはこれで、非常に役にハマっていてとても良かったです。
原口さんってこうやってみると本当に器用で多彩な面をお持ちなんだなと改めて感心しました。
実は、山浦役を原口さんがやったらどうなったのかなというのも、今回見るときの楽しみだったのですが、まぁ、多彩さを見れたということで納得します。
山浦役の三村さんもハマっているので、今や他の人がやるイメージが持てませんし

三人姉妹の強さ、弱さ、健気さ

この舞台の物語は、父親である村井国夫さんに対立しつつもやがて慕うようになる三人姉妹(板垣さん、増田さん、大手さん)の関係の変化です。
特に、増田さんの健気な感じで悲劇に向けて思いつめていく様子は、前回以上に心に刺さりました。
前回見たときは、最後の悲劇的な死を全く予見できず、それは村井さんではなく原口さんが父親を演じたからではないかと類推してましたが、村井さんが演じた今回バージョンでも、板垣さん、大手さんの死ぬという展開は予想できていませんでした
そのくらい、板垣さんや大手さんの存在が物語にとって重要で、欠けてはならないように思えたからだと思います。
それをあえて、死なせることで物語のクライマックスに持っていたのが、この脚本の強さなのかなと思いました

舞台が最後に大揺れする演出は好き

いいなぁ、やっぱり。こういう演出が桟敷童子らしさだよなぁと思っていました。が、この感想、 前回の劇評と全く同じ!
まぁ、1年半しか立っていませんし感想があまり変わらないのはやむなしかもしれません

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