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[劇評]オフィスコットーネ「加担者」@駅前劇場(下北沢)

久しぶりの翻訳モノで、結構暗い感じの芝居。それでも、舞台最中に何度か客席から笑いが起きるのは役者が本当に観客を掴んでいるからだなぁと感動。難しい芝居だがキャスティング/演出ともに素晴らしく重い舞台であっても終わった後の後味は良かったです
劇団 オフィスコットーネ
題名 加担者
公演期間 2022/08/26~2022/09/05

フリードリヒ・デュレンマット

演出 稲葉賀恵
出演者 小須田康人:ドク
外山誠二:ボス
山本亨:コップ(警察官)
月船さらら:アン(ボスの愛人)
三津谷亮:ビル(ドクの息子)
大原康裕:ジャック(ビルの叔父)
内田健介:ジム(部下)
伊藤公一:サム(部下)
喜田裕也:アル(警察官)
劇場 駅前劇場(下北沢)
観劇日 2022年8月29日(マチネ)

目次

物語(HPより)

大学で生物学の研究をしていたドクは、高額報酬を提示され民間企業に移籍する。
しばらくは豪勢な生活を謳歌していたが、経済危機により失業。とりあえずタクシー運転手で身をたてていたが、
マフィアのボスに拾われ、元生物学者のドクのアイディアでマフィアが暗殺した死体を地下室で溶解するビジネスを始める。
そんなある日、ドクはバーで偶然アンという女性と出会い愛し合うようになる。そこにかつての息子も訪れ、事態は思わぬ方向へ動いていく・・・。
元生物学者ドク、彼を取り巻くすべての登場人物が複雑に絡み合い、時間軸が前後しながらスリリングに展開していく。

海外翻訳の不条理劇

オフィスコットーネは何度も足を運んでいますが、今回の舞台は海外翻訳もの(スイスの方らしい)。しかも、いわゆる不条理劇で登場人物になかなか感情移入しにい作品でした。役名も、職業名やかなりポピュラーな名前で示されていて、この物語の中での関係性のみが示されているかなりそっけないもの
男1、女1という役名になっていることが多い、別役実さんの舞台を思い出させるような部分が多数ありました

一方で、海外ものであるからか、セリフも硬質な言葉がセレクトされていて、全体に考えさせられるようなテーマを重く演出されている舞台でした

キャスト/演出が観客を掴んでいる

そんな雰囲気の舞台であるため、観客は劇中ずっと静まり返っている….というとそういうわけではなく、私も含め観客は劇中何度も笑っていました

物語は、化学を極めたドクが、不景気によって職を失い、裏稼業の手伝いで人の死体を跡形もなく溶かすという商売を行う地下4階の部屋で繰り広げられる会話劇

到底、笑いが起きるようなシチュエーションではありません!
が、その日常に溶け込んでいるドクやボス、コップの各々の会話は、悲観的なものではなく、クスっと笑わせるようなユーモアを含んでいます
とくに、コップ役の山本さんは、劇団☆新感線の舞台で何度かお見かけしている役者さん(とはいえ最も最近みたのは以下の髑髏城の七人(2018)なのですが…あまり見てない)ですが、登場当初はちょっといつもと違う雰囲気だなと思いましたが、後半の独擅場のセリフのシーンでは何度も客席が笑い出すようなシーンが有りました

まさに「極」みの髑髏城の七人。捨之介、蘭兵衛がいない髑髏城の七人のなかで、話はまったくといっていいほど構成が変わっているにも関わらず、それでも「髑髏城の七人」であることに変わりはない。新感線の常連俳優を中心に配役され、古田新太さんを始めとした髑髏城の七人出演経験多数のキャストの中にあってそれでも、舞台上での天海祐希さんの存在感が際立っていました劇団劇団☆新感線題名修羅天魔〜髑髏城の七人シーズン極公演期間2018/03/17〜2018/05/31作中島かずき演出いのうえひでのり出演天海祐希 :極楽太夫(雑賀のお蘭)福...
[劇評]劇団☆新感線「修羅天魔〜髑髏城の七人 シーズン極」@IHIステージアラウンド... - 演劇とかの感想文ブログ

緊張感が高い舞台でありながら、そのちょっとした弛緩で笑いを取るのはいろいろな舞台を見ていてい思いますが、かなり難易度が高い作業です
それをこなしているというのは、山本さんに限らず、この舞台上の役者さんたちが観客の心を完全に掴んでいたからだと思いました

そしてその演出力に脱帽しました

惹き込まれる演技

キャスティングが素晴らしいとおもいました

上記の山本さんもそうですが、久しぶりに見た(ごめんなさいm(_ _)m)小須田さんの演技も素晴らしかったです
生活のために淡々と素性のしれない人間を溶液で溶かし続けるところ、心動かされた女性と暮らすことを思うときの幸せそうな顔、絶望に突き落とされたときの振る舞い、結局元の状況以上にひどい状態に追い込まれたときの達観した顔. .
かなり惹きつけられました

僕より少し年上のはずなのですが、若々しいというかかなり年齢不詳になっていますね

ボス役の外山誠二さんも、マフィアのボスという役柄にぴったり。月船さんの愛人もゾクッとする色っぽさがあって素敵でした

海外翻訳ものというか「赤毛モノ」(最近、こういう言葉きかないな)って、なんか日本人が演じるとしっくりこないみたいな感じを昔はもっていたのですが、この作品ではまったく感じませんでした

潔いというか、シンプルというか

今回の脚本は、冒頭でも書いたように不条理劇のような印象を持たせる物語です
だからかもしれませんが、個々の役の描き方がとても一方的で、ドク、ボス、コップ以外のキャストについてはあまり背景事情が語られません

だからこそ濃い内容でありながら、短い時間(といっても2時間15分の上演時間でしたが)で語り尽くせているのかもしれませんが、個人的には愛人のアンとか息子のビルとか登場してすぐ死体になってしまうような人々の人生を語るシーンがもう少し有っても良かったかなとか思いました

ま、そこは想像でうめろということかもしれませんが🤔

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