絶世の美少女であるはずの雪穂を役を男性が演じることにより、より演劇としての記号性が増しているような気がする。笠原さんが演じる亮介が生々しい存在であるだけに、記号である西本雪穂は感情も演技も透明であり、結果この原作の世界がうまく表現されているように思いました。
劇団 | Studio Life | ||||
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題名 | 白夜行 第1部 | ||||
公演期間 | 2005/09/14~2005/10/01 | ||||
作 | 東野圭吾/倉田淳 | 演出 | 倉田淳 | ||
出演 | 笠原浩夫、舟見和利、山﨑康一、藤原啓児、石飛幸治、末松一仁、甲斐政彦、倉本徹、楢原秀佳、深山洋貴、林勇輔、曽世海児、高根研一、前田倫良、船戸慎士、寺岡哲、奥田努、小野健太郎、牧島進一、篠田仁志、下井顕太郎、大沼亮吉、宗村蔵人、荒木健太郎、関戸博一、三上俊、松本慎也、吉田隆太、重松収 | ||||
劇場 | 紀伊国屋ホール(新宿) | ||||
観劇日 | 2005年9月23日(ソワレ) |
【ストーリー】
1973年に起こった質屋殺しがプロローグ。最後に被害者と会った女がガス中毒死して、事件は迷宮入りする。物語の主人公は、質屋の息子と女の娘だ。当時小学生だった二人が成長し、社会で“活躍”するようになるまでを、世相とともに描ききる。2人の人生は順風満帆ではなく、次々忌まわしい事件が降りかかる……。(Amazonより)
【感想】
原作に数年前にはまったがゆえに、初見劇団でしたが、足を運びました。
男性しか出演しないこと、私の嫌いな少女漫画を原作にした舞台が多いことから、今までかたくなに見ていませんでしたが、今回の原作はそんな私でも足を運ぶ気にさせるほど魅力的な原作でした。
というわけで、劇団については、何も先入観なく伺いました。
女性ばかりの観客層といい、やはり同様に男性キャストのみで舞台を行う花組芝居と同じような感じを想像していたのですが、見終わったときの感想はだいぶ違うものでした。
あまり期待値が高くなかったこともあるかもしれませんが、そうじて原作を非常に忠実になぞっていることから原作に思い入れのある身としては非常に楽しんでみることができました。
見始めた当初は、女形としてそれなりに見せることができる花組芝居と比べて、妙に男っぽい方が女性を演じていることもあり、結構違和感が強かったのですが、ある意味で女性という記号を演じている(うまい表現が浮かびませんが、例えば、舞台上にあるお店や扉がどんなに本物っぽくなくても、そこにお店や扉があると思って見ることで舞台が成立するように、そこにいる役者がどんなに女性っぽくなくても、その人が女性なんだという約束事を頭において、見ると十分に成立しているという感じ)と捉えることで作品世界にうまく入っていくことができました。
特に今回の雪穂役は原作でも、現実感のない役立ったので、今回のような演出はヒットしていると思いました。
原作が、たんたんと進むストーリーであり、それを忠実になぞった演出が今回は効果的だったとおもいます。正直、ここまで、原作に忠実に舞台にのるストーリーにできるとは思いませんでした。倉田さんという方の脚本力に目を見張りました。
映像を多用した場面転換もいやみがなく良かったと思います。
たくさん、役者さんが出てくる割には印象に残る方が少なかった気がしますが、主役の亮介をやった笠原さんは抑えた演技の割りに印象に残るいい役者さんだと思いました。
今回のでき次第で、第二部を見に行くかどうか決めようと思っていましたが、見に行くことになりそうな気がします。