劇団の若さ(創立3年、第7回公演)の割に、個々の芝居作りの技法はしっかりしており、気持よく芝居を見ることが出来ました。また、この劇団は見てみたいと思わせる舞台でした。
劇団 | 劇団SHOW特急 | ||||
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題名 | 真田十勇伝2015 | ||||
公演期間 | 2015年9月24日〜2015年9月27日 | ||||
作・演出 | 伊達謙一 | ||||
出演 | 工藤そのか、二階堂隼人、幹山恭市、庄野有紀、眞田規史、黒澤俊一、元山久恵、浦瀬ゆき、宮下浩行、梶井五郎左衛門、富高亮平、赤羽信之介、能條由宇、谷恭輔、久保瑛則、志木なだれ、菅本生、高松周平、中村一平、斉藤至大、内野和也、多田聡 | ||||
劇場 | シアターグリーン BIG TREE THEATER | ||||
観劇日 | 2015年9月27日 |
池袋演劇祭審査作品第3弾!にして最期!
夏の陣(Aチーム)キャストと冬の陣(Bチーム)キャストがありましたが、夏の陣キャスト版を見ました。
目次
■2時間20分で休憩なしの舞台を一気呵成に見せ切る力のある物語でした。
各役の心情やよって立つ背景が、おのずと伝わってきて、ジーンとくるシーンも多々ありました。
ある程度歴史上の事実や有名な講談話が下敷きにあるとはいえ、お話が破綻なく2時間強の芝居に仕立てた所に作劇の上手さを感じました。
今回の舞台は再演作品のとのこと、新作を見るとまた違う感想を持つのかもしれませんが。
■殺陣のキレ、良し!
えらそうですが(笑)、色々な舞台で様々な殺陣をみてきましたが、劇団規模や構成員の若さを考えると殺陣はすごく良く出来ていたと思いました。一対一の殺陣もそうですが、複数対複数の殺陣がうまくきまっているところが多数あり、見応えがありました。切られ側が横倒しに回転するなんて動き、よく出来るなぁとか感心してみてました。
話の特性上女性の見せ場がなかったのは残念でした。出雲阿国のダンスシーンが唯一のシーンでしたが、殺陣に比べてあまり印象には残りませんでした。
■女優/男優を問わず魅了的な方がいました。
男優では、真田昌幸を演じた幹山恭市さんの渋い演技は、芝居全体をふわふわと浮遊させないさすがの重みがありました。彼の演技で、シーンそのものがシャープになっていたと感じました。
女優では、猿飛佐助役をやった庄野有紀さんの演技が変に肩に力の入っていない自然な演技で、本来男の役である猿飛佐助を女性が演じていることの不自然さをほとんどかんじさせられない演技で、場を引っ張っていました。
一方、敵役徳川家康を演じた梶井五郎左衛門さんについては、最期まで家康っぽく見えないというか安っぽい印象が強く、芝居の敵役としての迫力にかけていたのが残念でした。また、後半は巻き返したのですが、根津甚八役の赤羽信之介さんは、前半の演技が異様に固くて、見ていて少し疲れました。
■衣装や小道具も豪華絢爛。小劇場の舞台とは思えない出来でした
勿論、細かく見るとアンバランスだったり、時代背景とはちょっと異なる小道具も散見されましたが、総じて小劇場で見る舞台の大半に比べてお金も手間も半端無くかかっている力作ぞろいの衣装/小道具で、舞台裏を支える制作陣の力もずば抜けていると感じました。
■全力投球された役者のパワーが清々しいい舞台でした。
ダブルキャストの舞台の場合は、とかく練習不足が気になったりするのですが、この舞台に関しては、どのシーンも全力投球で演じられており、練習不足感を感じさせるシーンはありませんでした。(楽の公演だったこともあるかもしれませんが)