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希望の党が嫌いでも、ベーシックインカムのことは嫌いにならないでください。

選挙が近づいています。小池百合子氏が立ち上げた政党希望の党の政策に「ベーシックインカム」が盛り込まれていたことから一部では話題になっています。希望の党そのものへの批判とあいまって、ベーシックインカム(BI)政策についても、「財源問題に答えていない」とかの批判がありますが、「坊主憎けりゃ袈裟まで....」的な議論でBIが貶められることがないよう、再度整理しておきたいと思います。

目次

注目を再び集め始めたベーシックインカム

先日こちらの記事に記載した「隷属なき道」の記事にそれなりにアクセスが集まってきています。ベーシックインカムについての議論は、そこここで見るような気がします。だからこその希望の党の政策へも盛り込まれたのでしょう。キャッチーなものに対しての鋭敏な感覚は流石と思います。

最近、興味をもっているAIと昔、このブログでも記事にしたことがある「ベーシック・インカム」。その二つを取り扱った本ということで読みました。AI,ベーシック・インカムは別のイシューと思っていましたが、そうでないことがわかりました。そして、「不可能」に思える政策は、あくまでも錯覚であるとする本書の主張は、やはり検討に値するものと感じました。再び脚光を浴びるベーシック・インカムベーシック・インカムについては、数年前に以下のようなエントリーを書いたことがある。当時は、弾子飼さんがベーシック・インカムを推し...
[書評]ルドガー・ブレグマン「隷属なき道」 - 演劇とかの感想文ブログ

最近、フォローを始めた米村歩さんのツイッターでもこんなツイートがありました。

働きたくない人が、働かなくて良いようにという言い方もありますが、ベーシックインカムについての効用は様々にあると思います。

一方で、希望の党の政策について、自身経済通を持って任じる片山さつきさんは、以下のような発言を。

フィンランド、オランダあたりでは既に社会実験が始まっています。まさか、片山さんがご存知ないというわけではないと思うのですが。

ベーシックインカム(基礎所得保障)制度の実現に拍車がかかってきた。フィンランドやオランダなどで実験的支給が2017年からスタートする。はたして貧困層を減少させたり、疎外された人を救済したりすることはできるのだろうか。
「ベーシックインカム」は福祉の切り札になるか 2017年から、フィンランドやオラ... - 日経ビジネス電子版

ベーシックインカムは、社会福祉の切り札とも、カネのバラマキとも言われ賛否が分かれてきたが、欧州では実際に2017年からベーシックインカムの社会実験が相次いて始まる。今、最も注目を浴びているプロジェクトは、フィンランド政府によるベーシックインカム制の施行である。来年から、無作為に選ばれた2000人から3000人のフィンランド国民(成人)が月額560ユーロ(約6万4000円)を支給されることになる。支給における条件は皆無だが、この手当は失業手当等の現行の公的手当に取って代わるものとなる。
〜中略〜
 フィンランド政府の意図はまず、社会福祉等の手当の支給システムを単純化することにある。「援助金受給資格があるかどうか」「申請に不正がないか」といったことについて、絶えず監視している現行のシステムから、無条件に一定額を毎月支給し、貧困レベルからの救済を保証するシステムに変更するのが目的。

問題は、財源問題?いや違います。所得再分配なので、新たな財源が必要なわけではありません

この問題を素人が考えるとそもそも財源はどこから出るのかというところに意識がどうしてもいってしまいます。財源論については、いくつかのエントリがあります。

こちらは、月8万円。全国民に配布。所得税45%

国民総収入(GNI)を元にするのは、筆者も樹にされているように、少々乱暴な気がしますが、税率をあげても、収入が少ない人には悪いインパクトはないことが明確にわかります。(その代わり、高収入者はインパクトを受ける。再配分だというのはこういう考え方による)

こちららは、月10万円。18歳以上に配布。所得税40%。

子供を対象外にするのは、ちょっと首肯できませんが、確かに考え方としてはありかもしれません。

消費税の増額を中心にした財源論の議論が深い。(wikipedia)

少子高齢化で、そもそも働ける層が減少していくことを前提にした場合、上記2案の所得税だけで賄う案は、将来的に税金を負担する層が減ることが想定されるためにリスクが高く、消費税と貯蓄税(貯蓄資産に対しての課税)を組み合わせる事で賄うべきという議論になっています。(それ以外の様々な案が想定されていますが)

例えば、月8万円(年間96万円)を1億2675万人(平成29年人口推計)に毎年配布するための予算は、ざっくり126兆円。

ここまでで、65+24+20+3.8=112.8兆円。

あと、13.2兆円足りません。ここは消費税増税等を考えないといけないと思います。

ただ、まったく財源の目処がたたないというレベルではないと思います。

財源問題より大事なこと

現在の生活保護でも、貧困ビジネスと呼ばれるような生活保護を受給する必要があるホームレスを集めて、生活保護をピンはねするようなビジネスをする方がいます。

ベーシックインカムを抵当に入れての借金等をする方が出てくるのを防ぐ必要がありそうです。

法律による規制も必要ですよね。以下のような制約はかけたいです。

三番目の受領の方法は、マイナンバーの活用なども含めた総合的な対策が必要に思います。

希望の党は実現してくれるのか?

僕は、10年前に以下のようなエントリーを書きました。

ベーシックインカムを政策公約にあげるなら、共産党に投票する。

勿論、いままでも政策公約にベーシックインカムを掲げた党はありましたが、今回程得票数を伸ばしそうな政権政党がベーシックインカムを掲げたのは初めてかもしれません。

というわけで、私は今回は「希望の党」へ投票を….しません。

10年前は若かったと言ってしまえば、それまでですが、「実現」してくれそうな気がまったくしない政党にいれてもしょうがないなぁというのが今の偽らざる気持ちです。

ただ、これをきっかけに、ベーシックインカムの議論が起きてくれるといいのだけどと期待をしています。

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