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大森カンパニー「二人の文化祭《特別編》」@ザ・スズナリ(下北沢)

実に劇場に行くのは、118日ぶり‼通いなれ、見慣れたスズナリ劇場が、何か雰囲気の違う初めての劇場に行ったかのよう。それでも、始まってしまえば見知った顔に安心しつつようやく戻ってきた日常に安堵。正直、完成度が高いとは言えませんでしたが楽しい時間を過ごすことができました
劇団 大森カンパニープロデュース
題名 二人の文化祭
公演期間 2020/06/262020/06/28

演出
出演者  大森ヒロシ山口良一佐久間哲福田ユミ田中真弓(声のみ)
劇場
ザ・スズナリ(下北沢)
観劇日 2020年6月27日(マチネ)

目次

ソーシャルディスタンス、新しい様式で上演されるスズナリの舞台

大森カンパニーの公演は、過去に何度も訪れていますし、下北沢のザ・スズナリは多分一番通ったことのある劇場。
長らくの自粛期間を経てようやく少しづつ舞台が復活する中で、最初に観劇をする機会は、その大森さんのカンパニーでのザ・スズナリでの舞台になりました。

もちろん、まだ世の中おそるおそる舞台の上演機会を探っているような状態。
入場時は、検温をされ、チケットはセルフもぎり。70名の観客が、市松模様状に座席に座ります。
開演後も、換気のためにドアは開けっ放し、廊下との間に(そんなところに隙間があったんだと驚くような場所に)、窓が空いている状態。
舞台上も、完全な素舞台で、パイプ椅子や楽器が無造作に置かれているのみ
見知ったはずのザ・スズナリが、なんだか初めて来た劇場のように感じられました。

それでも、舞台が始まると懐かしい世界が帰ってくる

山口さんと大森さんが、フェイスシールドを被って登場し、距離を保って始める開演トークから舞台はようやく 親近感が持てるホームになってきたように思いました
相変わらずの大森さんの先輩を先輩とも思わない山口さんへの所業と、それを軽くいなす山口さんの軽妙さ。

いつもの素敵な女優さんとの妄想旅行トーク。 しかし、そろそろ松嶋菜々子さんじゃなくてもいいんじゃないのかな
いや、その人選さえも、自粛明けの一発目の舞台でのトークであることから、あえての選択だったのかもしれません( 考えすぎか…)

朗読版更地は、故林節が炸裂

更地の脚本は、おそらくこのための描き下ろしだと思います。
朗読版といいましたが、たんなる朗読というよりも脚本を手に持って座っていても違和感のない脚本になっています
おかげで、朗読劇をみるときに感じる不満をほとんど感じることなく、更地的なコントを楽しむことができました

僕自身は、ギャグ漫画家の呪いにより、セリフの語尾から徐々に表現全体までギャグ漫画化していく喧嘩の容疑者とその友人の会話が面白かったです。こういう発想ができるのは、いったいどういう頭の構造をしてるのかと….笑いました

バンド/フリートーク

その後、登場している役者さんのバンドにより、1曲演奏があったのですが、大緊張している大森さんは面白かったのですが、 残念ながら、なくても良かったなぁと個人的に感じました
一方で、その後の予め集めておいた日頃のモヤモヤをテーマにするフリートークは、大森さんと山口さんの話の面白さもあって結構楽しめました。
ローソンのATMで2000円札がよく出ていたとか、CSで見てる番組によると昔の地球には宇宙人が来ていたって番組の話(僕も見てます)とか、なんか居酒屋で一緒にしゃべっているような気安さで見て、笑うことができました

ラサール石井さんの一人芝居は初演とは思えぬ完成度

最後は、ラサール石井さんの一人芝居。アフタートークによれば、そもそも一人芝居(コントというより一人芝居だった)の経験は、長い経験の中で2度めとか。そして、このネタは、客前でやるのは初めてとのことでした

オオタスセリさんの本来は女性が演じるネタを、男性に置き換えたというシングルファーザーの人情深い中華料理屋の親父。
オヤジ臭さがかなりハマっていて、初演とは思えないほど引き込まれる芝居でした
どうしても、下町口調でラサールさんが話すと、こち亀を思い出すのはもうしょうがない

試行錯誤中、何が正解かわからない

舞台上で、観客の反応があることを喜んでいる出演者のカーテンコールを見つつも、観客としても久しぶりに戻ってこれたことがうれしかったのです。

一方で、これが正しいわけではないと思います。
まだ、手探り状態の演劇公演は、これから様々なことが試みられるのだと思います。
観客を満席にできない状況が続く、舞台上での役者同士の距離も気を使う。

そんな中で、舞台を上演してくれたことに感謝しつつ、より良い舞台を見るために観客サイドができることが何かをもう一度考えるきっかけももらった気がしました。

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