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[劇評]劇団☆新感線「大江戸ロケット」@青山劇場

新感線作品には珍しく殺陣が少なめで、その代わりにミュージカルといった方がいいほど、歌と踊りがフューチャーされている。この劇団ミュージカル劇団だっけと思ってしまうほど。個人的には、殺陣ばっかりも歌ばっかりも少々辟易としてしまうところがある。但し、最後に向けての畳み掛けは心地よく、もう30分短かったらもっと面白かったのにと思いました

劇団 劇団☆新感線
題名 大江戸ロケット
公演期間 2001/09/05~2001/09/24
中島かずき 演出 いのうえひでのり
出演 山崎裕太、奥菜恵、古田新太、森菜みはる、石垣佑磨、峰岸徹、藤村俊二、橋本じゅん、栗根まこと、村木よし子、山本カナコ、インディ高橋、河野まさと、磯野慎吾、村木仁、吉田メタル、藤真秀、川原正嗣、前田悟、船橋裕司、武田浩二、佐治康志、三住敦洋、下田智美、白石陽子、仲里安也美、服部智子、原田宏子、村田麻里子
劇団 青山劇場(表参道)
観劇日 2001年9月8日(ソワレ)

<<ストーリー>>

江戸の町は、老中の禁制で、全ての贅沢は禁止され、花火師の清吉も他の娯楽産業の担い手(?)と共に憂鬱な日々を送っていた。清吉が、郊外の葛西村でこっそり花火を打ち上げたその夜、星間警察とそれに追われる凶悪犯罪者が地球に不時着する。星間警察のそらは、清吉の花火を使って月に帰還しようとするが…

<<感想>>

哀しい出来事の末、主演交替でワイドショーネタになった芝居。
結論からいうと、主演交替は、芝居の出来にはあまり影響がなかったんじゃないだろうか?
それよりも、いつもの殺陣ばりばりの新感線の印象が強いので、殺陣の少ない今回の公演はちょっと異色に思えた。

個々の役者は、出来/不出来の差が激しいように思えた。

山崎裕太は、遊び人というよりまじめさが、印象に残った。なれない事による固さがでてしまっているのかもしれない。(ま、彼だけはしょうがないかもしれないが。事情が事情だし…)
奥菜さんのかつぜつが悪いのが気になった。かわいいんですが….色気もないし、あまりヒロインになってなかった。
古田さんの見せ場少なく、ちょっと不満。峰岸さんもあまり印象に残らず、もったいないね。(前回の客演陣、前田美波理さんの大活躍が印象に残っていただけに悪役の客演が目立たなかったのは意外)もっと、かっこよくなったと思うのだが。

客演陣の不出来な印象に比して、オリジナル新感線メンバーは良かったと思う。特に、栗根さん演じる小役人赤井は、本当に憎ったらしくてよかった。橋本じゅんさんもそうだが、こういう地力のある人が脇を固めるから新感線の芝居は、持つのだなぁと今回つくづく感じた。

全体に長すぎるのはしょうがないのかなぁ。オールキャストだし。でも長い。歌と踊りが少しカットされていれば….ミュージカル劇団だと思い込めばいいのかなぁ。でも、それにしては踊りとか歌がそれほど洗練されていない気がするし….

個人的には、最後あたりのロケットの発射シーンで、ジーンと来ていた。先日のH2Aのロケット発射にも感動したくちなので、舞台上でそれが再現されたのを見るのはとても感動的だった。特に発射時の照明の美しさは、それだけで、いままで書いた不満が帳消しになるほど感動もの。
照明は、花火という題材のせいか、このシーンに限らず全体に美しさが心に残った。

客演陣に不満とはいえ、藤村俊二さんは例外。かなり予想どおり。あれ以外ないよねぇ。ただ、出し過ぎかもしれない。もう少し、出番が少ない方が、かっこいいかも(印象には出番の多少にかかわらずめちゃくちゃ残るし)多分、藤村さんよりも作・演出双方が藤村さんの出演を楽しんでいたということかもしれない

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