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[劇評]関西テレビ「浅草キッド」@明治座

ネットフリックス版の浅草キッドがすごくよかったこともあり、同様の感動を求めて舞台版を見ましたが、同一原作でもアプローチが異なるため、期待とは随分違う出来でした
しかし、多面的に物語を捉えることができて、浅草キッドという物語そのものがとても好きになれる作品でした
劇団 関西テレビ
題名 浅草キッド
公演期間

福原充則

演出 福原充則
出演者 林遣都:北野武(私立の大学をやめて、浅草に来た)
山本耕史:深見千三郎(フランス座劇場主、武の師匠)
松下優也:高山三太(先輩芸人→フランス座新劇場主)
今野浩喜:兼子二郎(のちのビートきよし)
稲葉友:マーキー(後輩芸人で一時期武とコンビを組む)
森永悠希:井上(フランス座作家志望)
紺野まひる:深見の妻・志の川亜矢
あめくみちこ:塚原(フランス座のチケット売り場で働く)
村上航、久保貫太郎、西山宏幸、後東ようこ、松之木天辺、寺井義貴、竹口龍茶、熊野晋也、松永健資、江見ひかる、永石千尋、横田剛基、元榮菜摘、古田伊吹
劇場 明治座(浜町)
観劇日 2023年10月21日(ソワレ)

目次

ネットフリックス版との違い

音楽劇ですし、舞台作品と映画(ネットフリックス版)という違いがあるのはわかっていましたが、のっけからかなり印象が違いました。
僕の感じたネットフリックス版(大泉洋さん、柳楽優弥さん出演で劇団ひとりさんが脚本・監督をした作品)との主な違いは以下のようなものでした

全共闘時代の背景

のっけでは、大学生活に飽きてきている武が全共闘の活動家と会話するシーンが挿入されています。彼の心的背景のひとつだったのかもしれません。
当時の時代としては政治運動は学生にとっては避けて通れないものだったでしょうし、ネットフリックス版にはまったくなかった浅草に来る前の武の葛藤を感じ取れるシーンでした

千三郎の半生にフォーカス

この物語のもうひとつの主人公である、千三郎の前半生が語られるシーンがあるのも特徴的でした
千三郎の名前が、片岡千恵蔵さんからもらった「千」だとは知りませんでした。映画に比べて、長尺なストーリーだったことも有り、山本耕史さん演じる千三郎の半生を描いてもらったのもうれしかった
てか、千三郎さん、樺太出身だったんだ。北海道出身の大泉洋さんがネットフリックス版で演じたことにも何か縁があったんだなぁと感じました。

演劇に重点が置かれている

舞台作品なんだから当たり前ですが、浅草のフランス座(ストリップ小屋)で行われていた軽演劇の再現シーンは、ネットフリックス版に比べて時間をかけていたように思いました
内容的にとても軽い内容で、千三郎もメガホンを持ってとても軽いキャラクターを演じていて、重厚感がないきがしたのですが、ストリップ劇場の幕間の芝居に重厚感はいらない気がするので
山本耕史さんが演じる千三郎さんのほうが、現実に近いのかなと思ったりしました

セリフに見る違い

もともとネットフリックス版をみたきっかけは、原作を知っていたりしたわけでなく、Youtubeとかで印象的なセリフが流れていたのに感化されてみました
例えば、「笑われんじゃねぇぞ、笑わせんだよ」とか「何様だ、貴様!」→「芸人だよ、バカヤロー」といったセリフでした
が、今回は見事にそのセリフはありませんでした。
その代わり、「人間を演じろ」というセリフが何度か現れます。

結構、ハイテンションで大泉洋さんが語るネットフリックス版のセリフよりも、山本耕史さんが淡々と語るこの「人間を演じろ」というセリフのほうが、コメディやコントの真髄をしめしているような気がしました
千三郎像が、少し違う用に感じました。ネットフリックス版は、芸を魅せる師匠的なキャラクターが強調されていましたが、舞台版は先生になっていたように思いました

タップダンスは圧巻、漫才は…

ネットフリックス版でも、大泉洋さんと柳楽優弥さんのタップは圧巻だったのですが、この舞台でも生の林遣都さん、山本耕史さんのタップは圧巻でした
音楽劇ということもあり、タップダンスの活かし方は良かったと思いました

今回、ツービートの相方、きよし役は、元漫才師をやられていた今野浩喜さんでした。そのため、当然に漫才シーンも作り込まれたものを期待していたのですが、こちらはばっさりカット。
他のところに力を入れた結果だと思いましたが、ひとつくらいツービートの往年の漫才を見たかったなとおもったりしました。

土地柄ネタがわからない

地方出身で、しばらく東京に住んでいましたが。いわゆる下町ネタはよくわからないなぁと思いました。
序盤で、武が浅草のストリップ小屋で雇ってもらおうとしたときに、大学生でというと、こんなとこで働いちゃ駄目っていわれたのに、「足立区梅島」出身っていううと、急にストリップ小屋の人たちが仲間扱いするというあたり、地名に紐づく印象がわかれば、わらえたのかなぁとちょっと思いました。
ちなみに、いまでも「足立区梅島」とGoogleで検索しようとすると検索候補に「足立区梅島 事件」「足立区梅島 治安」というのが上位にでてくるので、まぁ、そういう町ということなのかなと思いました

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