大和が生まれた街で、戦艦大和の建造秘話的な物語の大千秋楽を見れたのは、ラッキーでした。原作はともかく会話劇主体の物語は、架空であることを強く感じさせる部分も多くありつつも若手・ベテランともの熱演で楽しむことができました
劇団 | 東宝 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
題名 | アルキメデスの大戦 | |||||
公演期間 | 2022/11/03(1回公演) | |||||
作 |
古川健 | 演出 | 日澤雄介 | |||
出演者 |
鈴木拡樹:櫂直(帝大の数学の天才) 宮崎秋人:田中正二郎(海軍中尉。櫂の支援をする) 福本莉子:尾崎鏡子(櫂の家庭教師の教え子) 近藤頌利:高任久仁彦(大型戦艦建造推進派の若手中尉) 岡本篤:大里清(大阪の造船商) 小須田康人:嶋田繁太郎(大型戦艦推進はの重鎮) 神保悟志:山本五十六(空母推進派。櫂を雇う) 岡田浩暉:平山忠道(大型戦艦の設計担当) 米村秀人:その他 神澤直也:その他 二村仁弥:その他 高橋彩人:その他 |
|||||
劇場 | 呉信用金庫ホール(呉) | |||||
観劇日 | 2022年11月3日(マチネ) |
目次
[物語]
1933年、軍事拡大路線を歩み始めた日本。戦意高揚を狙う海軍省は、その象徴にふさわしい世界最大級の戦艦を建造する計画を秘密裏に進めていた。そんな中、航空主兵主義派の海軍少将・山本五十六は、海軍少将・嶋田繁太郎と対立。嶋田派の造船中将・平山忠道が計画する巨大戦艦の、異常に安く見積もられた建造費の謎を解き明かすべく協力者を探している。
そこで山本が目を付けたのは、100年に1人の天才と言われる元帝国大学の数学者・櫂かい直ただし。しかし、軍を嫌い数学を偏愛する変わり者の櫂は頑なに協力を拒む。そんな櫂を突き動かしたのは、巨大戦艦建造によって加速しかねない大戦への危機感と戦争を止めなければならないという使命感。櫂は意を翻し、帝国海軍という巨大な権力との戦いに飛び込んでいく。
櫂を補佐する海軍少尉・田中正二郎や尾崎財閥の令嬢である尾崎鏡子の協力によって、平山案に隠された嘘を暴く数式にたどり着くまであと少し。決戦会議の日は刻一刻と迫っている――。
以上 公式HPより。
コロナ中止公演再び
狙ったわけではありませんが、先日見たモダン・ミリーと同じく、2020年に上演予定もコロナまん延による公演中止を経ての今年再演された作品であるアルキメデスの大戦を見に行きました
戦艦大和の建造に係わる海軍内部の抗争をテーマにした舞台であったため、戦艦大和の造船の街、呉での大千秋楽公演を観劇できたのはラッキーでした
広島在住(2年目😓)とはいえ、呉で舞台を見るのは初めて今回始めて呉信用金庫ホールに伺いました
普段は、クラッシックとかを上演しているような感じの大劇場でした
大劇場をものともしない熱量の高い演技が圧巻
かなり後ろの方の席だったので、個別の役者さんの顔を見ることはできませんでした
周りのお客さんは、オペラグラスを使っている方多数。
しかし、大劇場であっても、しっかり舞台の熱量が伝わってくる演出及び役者さんの熱演でした
かなり後ろの方の座席でしたが、皆さんの声はよく通り、ストーリーはわかりやすく伝わってきました
主役の鈴木さんの気持ち良いストレートな演技が終始、物語を引っ張っていました
平山役丸丸さんは、熱量があってよかったです。結構な老人役で、前半は本当に物静かな老人役だったのですが、後半は軍部に対しての不満や戦争に突き進む日本国民について独特の史観が垣間見える熱いセリフが語られ、印象が強かったです
ベテランの小須田さん、神保さん、岡本篤さんあたりは遠目でも誰が誰だかすぐわかるくらいに特徴的な台詞回しで、しかもその役にかなりハマっており物語を盛りたてていました
架空の主人公に次々に襲いかかる困難
数学の天才が、旧海軍で大活躍という話、なかなかワクワクする話ですが、架空の主人公のようです
しかし、その他の登場人物は、山本五十六を始め実在の人物が色々出演しているので、虚実入り交じる話としてとても楽しめました
数学の天才とはいえ、流石に造船のことを知らない主人公が、一晩で手に入らなかった図面を一から書き上げるあたりは少々無理があるなと思いながらみていました。
しかし、最後に限られた数値資料から方程式を直感で導き出し、誰も信じられない短時間で戦艦建造の見積もりを出すというあたりは、架空の数学の天才を主人公にした醍醐味を感じました
一方で、やっぱ架空だよなと思ったのは、僕自身が実生活で見積もりってものに痛い目に会い続けてきたからでしょうね
システム開発の世界でも、何かのパラメーターでそのシステムの開発費用を一発で見積もれるという神話がかつてありましたが(コードの量とか用意する機能の数とか)、それが幻想であることを実感してきた身としては、この方程式の下りは何か苦いものを感じながら見ていました
チョコレートケーキっぽい?
今回、チケットを取ったのは広島で観劇できる数少ない演目であったこともさることながら、劇団チョコレートケーキの作・演出コンビによる舞台であることも大きったです
劇団チョコレートケーキの歴史を題材にした芝居は、いつもテーマが重いですが、メッセージもしっかりあっていてみていて色々考えさせられるので、好きな劇団です
今回の舞台でも、巨大戦艦である大和(という名前は、ストーリーの後半で明かされますが)を建造する意味について、戦争を促進する意味と、隠された意味として日本という国そのものを体現する存在として描かれました
原作を読んでいないし、映画も見ていないので確かなことはわかりませんが、この辺のメッセージはチョコレートケーキっぽいと思いました。
会話劇なのは原作から?それとも舞台化のため?
この舞台は、基本的には会話劇という形で殆どが進みます
金剛という戦艦の後継を決める会議が舞台の中心だからです
そういった意味ではとても舞台向きの物語のような気がしますが、そもそも漫画が原作で、その後映画になったことを考えると、おそらく舞台向きになるようにかなり原作を変えて舞台化したのではないかと思われます
そのあたり、映画や原作も時間を見てチャレンジしてみたいなと思いました
(映画や漫画で、今回の舞台のような会話が中心の展開だとあれほど話題にはならなかったような気もするので)
追記
どうやら、映画版がベースになっているようです。以下の映画見てみたいと思います
呉といえば
ちなみに、今回は寄りませんでしたが呉には大和ミュージアムがあります。役者さんたちよってくれかなぁと妄想しました
私がうかがった時の記事は以下です