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[劇評]DULL-COLORED POP「アンチフィクション」@ライブ配信

一人芝居かつ配信と個人的には合わない時には絶対に合わない組み合わせだったが、扱われた題材とその題材の料理の良さに十分に楽しむことのできる舞台であった。時間の短さにも救われた。このような形がWithコロナ時代の演劇なのかもしれない。それが望む形ではないにしても
劇団 DULL COLORED POP
題名 アンチフィクション
公演期間 2020/07/162020/07/26(配信は2020年7月30日まで)

谷賢一

演出 谷賢一
出演者  谷賢一
劇場 観劇三昧でライブ配信を鑑賞
シアター風姿花伝(中落合)
観劇日 2020/7/26(マチネ)

目次

アンチフィクションって何?

フィクションでもなくノンフィクションでもない。思えば、「 アンチフィクション 」という題名は、様々な憶測を呼ぶ良い題名だったと思います。
今回の舞台の中で何度も問いかけられる「これはフィクションなのか?」という言葉に何度も考えさせられる
特に、オープニングトーク。まったく台詞っぽくないセリフでありながら、そのセリフの中で「 このセリフは、受付で売ってる台本通り 」という表現がある。これは、フィクションなのか? 確かに迷う

ここからはネタバレします

私小説的なストーリーから展開する物語。フィクションへの渇望

かなり赤裸々な谷賢一さんの作家の日常が、舞台の話です。なんか、若い若いと思っていた谷さんすっかりおっさん化していますね(笑)
作家さんが、脚本を書くことに苦悩する姿は本人にとっては地獄の苦しみ以外の何者でもないと思いますが、劇中でもあるように観客から見れば面白い見世物だ(失礼)
しかし、その苦悩の中にあって、心の葛藤をそのまま舞台上に乗せていて魅せる力はすごい。

役者としての谷さんをみたのは初めてだが、鬼気迫る(当人役だからということもあるだろうが)演技に配信の画面越しからでも引き込まれました

フィクションへの橋渡しはとてもわかりやすく、ノンフィクション部分の居心地悪さがフィクションにはいると徐々に安心感を感じてしまったのは、自分自身のフィクションへの渇望を谷さんの渇望に重ね合わせてしまったからだろう。

ちなみに、笑いながらも、谷賢一さんのアル中を心配しています。作劇上の表現かと思っていたタカラ焼酎を、舞台が跳ねた後飲んでるし…


ちょっと心配↓ 吾妻さんみたいにならないよーに🙏


withコロナ時代の公演のあり方

今回は、客席数を半分にし、途中でフリートークのコーナーをいれて、劇場の換気時間をとるなど考えられる限りの対策をされているようでした
アンケートもWebアンケートに変更し、劇場から出るときも蜜にならないように座席後方から順番に劇場外へと誘導する形
手間暇をかけつつ、観客半数というこの状況は興行的にはやってられない状況なんだろうと思います
それでも、演劇を作り続けてくれることに感謝しかない。

僕自身は、楽日の配信鑑賞ということであったが、なんとなく劇場の緊張感は伝わってきていたように思えた。
(どうしようかなぁと迷っていたら、以下の谷さんのツイートを見て背中を押されて配信のチケットを買った😉)

舞台のライブ配信のスタンダード?

ライブ配信の舞台をみたのははじめてだったが、withコロナの時代にある程度なれないといけないのかなぁ。
今回の舞台はカーテンコール込みで80分。賞味は70分くらいでした。
劇場に行ってこのくらいの長さだと少し物足りないと感じるかも知れないが、明るい部屋でパソコンの中の画面を覗き込む見方だと時間的にはこのくらいが丁度いい気がしました(実際、観劇三昧やアマゾンプライムで舞台や映画を2時間コースで見ていても途中で飽きる…😁)
そういえば、自粛期間中に見た「12人の優しい日本人」の朗読劇も1時間程度で休憩を入れた2部制にしていました。わりとこういう少し短めの舞台というのが、 これからのスタンダードになるのかもしれません

外出自粛、次々の公演中止の続く暗い雰囲気の続く中で、ZoomとYoutubeLiveで上演された生配信。生物(なまもの)の良さに改めて気づかせてくれた試みでした。いや試みというのはちょっと申し訳ないくらいの完成度で、無償で見せていただいた事に感謝しか感じない素晴らしい作品。勿論、芸達者な役者たちによって演じられたことも、素晴らしい脚本であることも去ることながら、演劇のチカラを見せつけるという気概が伝わってきたからこその感動だったと思いました劇団12人の優しい日本人を読む会題名12人の優しい日本人公演期間2020/05/0...
[劇評]12人の優しい日本人を読む会「12人の優しい日本人」@YouTubeLive - 演劇とかの感想文ブログ

一人芝居も、最近多くなっている気がします。
それも、公演の規模拡大を見込めない現状では止む終えないトレンドなのかも知れません

また劇場に行きたくなりました。そして、配信の可能性にも気づかせてくれた舞台でした

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