ポップなテイストによる物語の進行や演技、シンプルな名前付けとキャラ設定の単純さは相変わらずも、従来に比べ、より物語の深みであったりキャラクターの背景設定がしっかりしてきました
結果として物語に入っていきやすくなりましたが、単純に僕自身が慣れただけかもしれません
劇団 | 劇団ダブルデック | |||||
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題名 | 地大さん家の150年+ | |||||
公演期間 | 2019/05/02〜2019/05/05 | |||||
作 |
ゴロ六郎 | 演出 | ゴロ六郎 | |||
出演 |
田中心太:地大平成(ひらなり) 吉川瑛紀:地大昭和(てるかず) 實川節朗:地大大正(ひろまさ) 佐溝貴史:地大明治(あきはる) 小山ゴロー:地大ハハ 來住美保:地大ツマ 染谷知里:地大キョウ 松島やすこ:地大羅子(らこ) 勝又美晴:地大好乃(すきの) 岡みのり:地大朋葉(すきの) 中川慎太郎:地大次郎、次治、次正、次和、太郎 田口ともみ:地大賜野舞(しのぶ)・津九子(つくし) 松原圭:何かと関係する男 寺尾みなみ:何かと関係する女 森田舜:三河延一、賢一、戦一、展一 ワタナ・ベリヨ:向井戸バタ子、バチ江、バツ丸、バテ瑠 さんなぎ:謎の老婆、地大ジャク はりゆうき:戸成澄八(となり・すむやつ) |
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劇場 |
キンケロシアター(中目黒)
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観劇日 | 2019/05/05(ソワレ) |
目次
物語(corichの解説より)
由緒正しいわけではない地大家の末裔である主人公・地大ヒラナリは、ユーチューバーを目指すフリーター。
30歳を目前にして結婚する予定が、相手は由緒正しいお嬢様だった。
結婚を認めてもらうために、ヒラナリは地大家のすんばらしい部分を探そうと、父・テルカズの出身地である札幌に向かう。
そこで、全てを知っていそうな雰囲気の老婆と出会い、地大さん家の4代にわたる物語が始まるー劇団ダブルデックの記念すべき第10弾は、
新時代の幕開けにふさわしい、
激動の時代を駆け抜けたある一家の怒涛の物語!
ポップに紡がれるファミリーヒストリー
始まってすぐ(というか、公演情報読んだときから)、これNHKのファミリーヒストリーだよなぁとおもっていましたが、そういう意味では、ベタなストーリー展開でした
ただ、演出方法というか、表現方法は相変わらず面白い表現で、ポップな感じで時間をポンポン飛んで行きます
例えば、人の死に方の表現は特徴的です
つっ立ったまま目をつぶり首をコテッと倒したら、後は手を羽ばたいて天国にいる妻のもとに旅立ってしまいます
考えてみるとこの舞台、人はほぼ横たわったりしません。座ることも稀です。
動きのポップさが失われるからか、ほぼすべてが立ち芝居です
ずっーとは、言いすぎかもしれませんが、普通座って会話するでしょう的な「結婚の申込み」とか、横たわるでしょう的な「死ぬ」とかそういうシーンが立って行われているのが違和感といえば違和感があります
ただ、立ち上がる等の動作がない分、場面転換が早く(暗転はない)本当にスピーディに芝居が続きます(上演時間110分を長く感じない)
普通の芝居との違いで、ここは好みがわかれるのかなぁとか思う
学芸会っぽい感じの謎が解けた?
この立ち続ける演技プランが、ずっと感じているこの劇団公演を見た時の「学芸会っぽさ」を出しているのかもしれないと今回思い至りました
初見で「よくできた学芸会」という表現でこの劇団の公演を評していますが、好きな劇団になりつつある今も、見るたびに芝居が「学芸会っぽいなぁ」と感じています
この「ずっーと、立って芝居している(座ったり、寝たりの演技が少ない)」のはそう感じる一つのポイントかもしれません
その他、不思議な動きが多数あるのも、なんか学芸会っぽい感じを助長しています
バンザイを下向きにするのはなんでなの?手を上にあげると何かにぶつかる?…とか
後ろ指を指すという仕草が笑った。なるほどね後ろ指ってああ指すんだ(絶対違う…)…とか
とにかく、ひたすら仰け反って奇声を発する…とか(今回は1名だけですが)
なんかクラスで色々考えて、うちわで受けたものがそのまま採用されている感もちょっとそれっぽいですね
ま、一番学芸会っぽいと感じる理由は、役者と私の年齢差に寄る「保護者目線」で芝居を見ているからという可能性もあるのですが…
個々のキャラクターの深みやバックボーンは増えている
ちなみに、今回ストーリー的には今までに見たどの舞台よりも見やすい舞台でした
そもそもこの劇団をみるときに、最大の問題だと当初感じていたのは人物が薄っぺらい人が多くて見ていてつらいということだったのですが、今回は多くのキャストにちゃんと心情のようなものがあってよかったです
今回は主役が一家ということもあるかもしれませんが、主役やその妻、父、母、祖父、祖母、曽祖父、曾祖母にいたるまで言動の動機のようなものがきちんと描かれていて見ていて普通の芝居みているようでした(いや、これも普通の芝居なんですけど、その辺りが他の劇団と違うというのが自分の評価だったので)
もちろん、これ以上くどくなって全キャストが自分の人生についてとうとうと舞台上で喋り始めるとそれはそれでゲンナリします
そういった意味で、バランスは必要なのですが、この舞台では一人に限らず複数のキャストに対して感情移入しながら見ることができました
過剰演出緩和により役者さんの素が見えました
前回は、個々の役者さんの素が殆ど感じられない決め台詞と変顔による過剰演出に個々の役者の素が見たいと評価をかきましたが、今回はその辺りがずいぶん緩和されました
従来の過剰演出によるベールが剥がされ、今までより役者の表情や演技が素にちかいというか他の劇団の舞台で見るような普通の演技が見れたのは今回の舞台の特徴でした
女優もほとんど変顔を強要(強要されていたわけではないかもしれませんが)されるわけでもなく、普通の演技をしています
決め台詞はありますが、それだけを口にするというわけでもなく会話をする演技を見ることができました
特に、前回素を見たいと思っていた松島やすこさんや來住美保さんについて変顔とかロボット的ではない普通の演技が見れたのは今回の収穫でした
個人的には、過去複数回の公演を見てもっともセリフが聞き取りやすい役者さんと評価しているさんなぎさんが、今回は語り部的な役割を担ってくれたのは助かりました
歌と踊りが大幅増量!!しかも
特に独唱的な歌が増えたました。そして、うまい!!。
前に、歌が多いのはいいけど歌唱力が…なんて書いてしまったことがありましたが、今回は気になる歌はありませんでした
ダンスは、ヒップホップ?的な自由な感じのダンスで物量で圧倒されるダンスです
個人的には、バシッと決まるダンスの方が好きですが、今回は何よりも動きの多さと量に圧倒されました
これだけでも相当な練習を必要とするだろうにと考えると感動すら感じます
今後どうなる?
最後のシーンで、結構駄目な子だった平成(ひらなり)が、立派なオトナになった台詞を言う辺りで結構ジーンときていました(やっぱり保護者目線なのか−>俺)
私の芝居を観る際に物語に求める信条は、主役が成長/変化するための物語であることなのですが、今回はそれを見事なまでに体現されていました
そういった意味で、ものすごく見やすくなった反面、劇団の特徴的な部分であったある意味悪ふざけ的なお遊び要素も減っており、今回も面白かったものの、次回どうなるのかと興味がつきません(悪ふざけ要素が減ったことに少し落胆している自分もいたりして…)
見るたびに違う面を見せてくれている劇団です。また次回行けたら新しいものを見たいと思います
以上 劇団ダブルデック「地大さん家の150年+」の感想記事でした