戦前の満州に実在した「満州映画協会」を舞台に、日本と中国の映画人たちの夢と葛藤を描いた舞台『キネマの大地 さよならなんて、僕は言わない』を観劇しました。脚本と演出のエモーショナルさ、キャストの熱演、そして舞台美術や演出の工夫に引き込まれた感想です

劇団 | 椿組 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
題名 | キネマの大地 さよならなんて、僕は言わない | |||||
公演期間 | 2025/02/06~2025/02/16 | |||||
作 |
鄭義信 |
演出 | 鄭義信 | |||
出演者 |
鈴木幸二 : 永澤大吉 (監督) 斉藤健 : 高村國雄 (理事長) 佐々間淳也 : 北川正彦 (照明技師) 田渕正博 : 土浦由蔵 (撮影監督) 十河尭史 : 池田五郎 (撮影助手) 木下藤次郎 : 李博 (リー・ポー助監督) /憲兵隊長 外波山流太 : 張凌風 (チャン・リンフォン助手監督) 趙徳安 : 王国慶 (脚本家) 岡村多加江 : 太和田勝子 (かつこ、美粧) 井上カオリ : 西山乙子 (おとこ、衣装) 長嶺安奈 : 佐藤みねこ (編集 & スクリプター) 外波山文明 : 佐藤三重吉 (凌風の義父) 山中淳恵 : 陳 美雨 (ツェン・メイユイ、女優) 犬飼淳治 : 澤田勇介 (俳優) 鳥越勇作 : 大森秀樹 (付き人) 鍵矢あかり : 山野朱希 (あき、踊り子) 浜野まどか : 大空夏江 (踊り子) 望月麻里 : 桜井春花 (踊り子) 西村聡 : 山形健治 (憲兵隊長) |
|||||
劇場 |
シアタートップス(新宿三丁目)
|
|||||
観劇日 | 2025/02/16(マチネ) |
『キネマの大地』という映画が過去にあったのは覚えていますが、この舞台はおそらく関係がない様子。今回の作品は、戦前に満州に実在した映画会社「満州映画協会」を舞台に描かれています。
目次
🎭 初めての椿組の舞台観劇
実は以前から椿組の舞台には興味がありました。特にテント芝居好きの僕にとって新宿花園神社で上演される椿組の舞台はずっと気になっていましたが、これまでタイミングが合わず観に行けませんでした😅。今回は題材と作・演出の鄭義信さんに惹かれて、ついに初観劇!
🌏 舞台の世界観、装置と衣装
物語は満州映画協会を舞台に、日本と中国の映画人たちの夢と葛藤を描いています。映画製作現場ということで、どこか『蒲田行進曲』を思わせる部分もありましたが、脚本と演出のエモーショナルさに引き込まれました✨。休憩を挟んで2時間半の舞台でしたが、全く長く感じませんでした。
装置はシンプルでありながらも具象的で、シーンごとに背景が巧みに変化し、制作チームの経験と工夫が感じられました。特に驚いたのは、劇場がシアタートップスであるにもかかわらず、舞台上で本水を使用していたことです💧。この演出にはテント芝居らしい大胆さがあり、舞台の臨場感を一層高めていました。寒い2月にもかかわらず、鼻持ちならない俳優役の犬飼淳二さんが水を頭から浴びるシーンは気の毒に思いつつも、観客としては思わず笑ってしまう“おいしい”シーンでした(笑)。
衣装も時代背景に合っていて、中国人役の女優さんたちが着ていたチャイナドレスは美しく、視覚的に舞台を華やかに彩っていました。
💫 キャストの演技に感動!
今回初めて観た役者さんも多く、特に印象に残ったのは、
- 外波山流太さん(主役):若い頃の高橋一生さんを思わせる雰囲気で、演技力に引き込まれました。
- 犬飼淳二さん(扉座から外部出演):プライドの高い売れない俳優役がハマっていて、存在感抜群でした。
- 山中凛恵さん(主演女優役):チャイナドレス姿で華やかさを放っていましたが、歌に関しては少し苦手かな?😅
- 長嶺安奈さん:前回観た『桟敷童子』よりも柔らかい役柄で、人間味を感じさせる演技が印象的でした。
また、舞台では山崎ハコさんの主題歌が使用されていました。正直最初は特別心に残るというわけではありませんでしたが、ラストに流れた曲は心に響きました💖。
長嶺さんを見た桟敷童子の舞台は以下でした
このときは「ハスッぱな演技がいい」と褒めていましたが、今回はさらに多面的な演技が見れた気がします。
観客と劇場の雰囲気
客席は長年のファンで溢れており、年齢層が高めなのが印象的でした。これも長く愛されてきた劇団ならではの光景でしょう。劇場であるシアタートップスは客席との距離が近く、役者の息遣いまで感じ取れる臨場感があり、より物語に引き込まれました。
桃園の誓いを思わせる名シーン
中でも印象に残ったのが、日本から来た池田五郎役の十河さん、主役の外波山さん、そして中国人脚本家の趙さん(唯一の本物の中国人俳優)の3人が「将来必ず中国人による中国の映画を作るんだ」と誓い合うシーン。まるで『三国志』の桃園の誓いを思わせる名場面でした。おそらく脚本家の鄭義信さんもそのイメージを意識していたのかもしれません😊。
🕶️ 高村理事長のキャラクター
斉藤健さんが演じた高村理事長は、実在の満映理事長・甘粕正彦がモデルのようです。映画『ラストエンペラー』では悪役として描かれていましたが、今回の舞台では「満州映画協会にとっての恩人」として描かれていて、少し意外でした。実際に調べてみると、舞台で語られた言葉や行動は実際にあったことのようです🤔。
👏 プロデューサー外波山文明さんの最後の作品
今回の公演は、プロデューサーの外波山文明さんにとって最後の作品だったそうです。僕が観たのは千秋楽だったこともあり、カーテンコールでは名残惜しそうに客席に手を振る姿が印象的でした😊。
🎉 これからも楽しみな劇団
今回の観劇を通じて、椿組には実力のある役者さんが多くいることを改めて実感しました。外波山流太さんをはじめとする若手の成長も楽しみですし、これからも新しい作品を観に行きたいと思います✨。
満州を舞台にした他の舞台
今回、舞台を見ながら思い出していたのは、桃唄309の「5つの果実」という舞台。満州国のゆがみのようなものを初めて実感しました。
28年も前に見た舞台なわけですが…🤣
—
以上、『キネマの大地 さよならなんて、僕は言わない』の感想記事でした😊。