何回も、同じようなことを書いていますが、出演者全員に見せ場を作ろうとする舞台に成功した舞台はほとんどないように思います。(僕は、そのにおいがして、劇団四季のCATSもいまいち好きになれない) 今回の舞台も例にもれずその傾向が強い。その上、役者がみんな好き勝手をやっていて、芝居としての統一感がいまいちない。19人の役者がいましたが、ひとつの芝居を見せられたというよりも、19人がおのおの演じる19個の一人芝居を見せられたような気分でした。
劇団 | 東方綺譚 | ||||
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題名 | スカベンジャー・ロッジ | ||||
公演期間 | 2005/10/21-2005/10/23 | ||||
作/演出 | 神山天街 | ||||
出演 | 加納さと美 、及部文人 、柿沼菜穂子 、ナカタケイコ 、森下こうえん 、古川玲 、木村幸太 、江森聡志 、ラリコ 、似鳥芳恵 、鈴木誠克 、斧原由子 、秋山夕日 、庄司勉 、神山天街 | ||||
劇場 | 西荻WENZスタジオ(西荻窪) | ||||
観劇日 | 2005年10月22日(マチネ) |
【ストーリー】
最果ての地で、ごみをあさりながら暮らすものたちの土地。そこにまぎれこんだ、都会のジャーナリスト。そこに、長いたびの果てにロマの家族がたどり着き。
【感想】
西荻窪という町は、就職後、福岡にしばらく行っていた後東京に帰ってきて最初の4年を過ごした町で、今でも大好きです。西荻窪に久しぶりに行きたくて、この芝居を見に行ったのかもしれません。しかし、この西荻窪WENZスタジオでは残念ながらなかなか面白い芝居に当たることができません。今回も、その例にもれませんでした。
脚本の設定からして中途半端で、なぜ、この設定(最果ての地のゴミ捨て場)を選んだのか理解できません。ゴミ捨て場、売春、倫理破壊、放浪、ジプシー(ロマ)、SM、天使、自殺…単に作者の好きなキーワードを何も考えずに並べて見て、見る人がどれかのキーワードに反応してくれればラッキーと感じる「キーワード芝居」(たった今命名)でしかなく、どのキーワードにもピンとこない(あるいは来たとしても「それで?」と思うだけの)客にとっては、ひたすら退屈な二時間を付き合わされることになります。
観客が、この芝居を見てどう感じるかという「想定力」にかけた舞台であったと感じました。
せりふからして、役者の皆さんは自分のせりふに酔っており、見ている限りではあまり会話が成り立っている雰囲気がありません。おのおのが、自分の台詞を自分の順番になったのでしゃべってはいるのですが、会話をしているというよりも、各々が自分の一人芝居を演じているような感じです。残念ながら、どのキャストにも感情移入を行うことはできませんでした。
どうやら、役者の皆さんは地力はある方が多いようですが(何人かみていてつらい方がいたのも事実ですが)、この演出では残念ながらその力を発揮するにいたっていません。印象に残る役者さんは残念ながら誰もいませんでした。
装置は、非常に手の込んだものであったと思いますが、いかんせん芝居の方向性、目的が明確でないせいか、その力を生かしきれていません。例えば、場面によって出入りするバーの作りこみや、空中に現れる輪タクももう少し工夫をして出せば効果的だと思うのですが。 最後の馬車のシーンもいただけません。最後に馬車が現れたときに(ここが、クライマックスかな?)とは思いましたが、あまりにも盛り上がりが欠けていて、一瞬そうは思えませんでした。もしかして、観客はあの馬車を見て驚くとでもおもったのでしょうか?
唐組の屋台崩しを見慣れたせいだとばかりでは思いませんが、少し、お粗末なラストシーンだったと思いました。