十字軍が出てきたり、バクダットが舞台だったり、ちょっと最近の世相を反映した感じの舞台でした。しかし、面白い背景のある話が、ギャグでくるまれるとイマイチその面白さが伝わってこない。一方で、ダンスシーンや歌はなかなかのもの。なんか、脚本と劇団がマッチしていない感じを強く感じる。この劇団が、ばっちり合う脚本に出会うと凄くはまると思うのだが、その「出会い」になかなか出会えない歯がゆさがこの劇団に対する最大の不満。
劇団 | スーパー・エキセントリック・シアター | ||||
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題名 | 一夜千夜物語 | ||||
公演期間 | 2004/11/13-2003/11/28 | ||||
作 | 大沢直行 | 演出 | 三宅裕司 | ||
出演 | 三宅裕司、小倉久寛、白土直子、丸山優子、宮内大、西海健二郎、野崎数馬、大関真、良田麻美、池辺愛 | ||||
劇場 | 東京芸術劇場 小劇場(池袋) | ||||
観劇日 | 2004年11月20日(ソワレ) |
【ストーリー】
「アラジンと魔法のランプ」 「アリババと40人の盗賊」 「シンドバットの冒険」 など、 世界中の誰もが知る大傑作『アラビアンナイト・千夜一夜物語』には、じつは人類に解き明かされることの無い、重大なナゾが隠されていた・・・!
そのナゾを解き明かせば、世界を一つにできる軍事力、全ての人間の思想を操る力、そして超人になれる魔法の力を得ることができる
人間の限りない欲望が地球を滅ぼすのか、欲望があるからこそ地球を救えるのか、現代人に問う衝撃のミュージカル・アクション・イリュージョン・コメディー!! (サイトより)
【感想】
途中であるダンスシーンは圧巻だし、歌も心地いい。アクションも決まっていてかっこいい舞台になっている。
でも、この舞台でダンスシーンがこんなにいるの?という感じ。なんかちぐはぐ。
ちょっと最近、芝居が最終兵器とか、世界の平和とかというテーマによっているような気がするSET。世界情勢にかけているのかもしれないが、もともとあまりシリアスな舞台をする劇団じゃないので、そういうことをテーマにすること自体無理があると思うのは僕だけだろうか。
脚本自体は、悪くない。いや正確にいうと脚本のテーマ素材としてアラビアンナイトや、アトランティスやという素材は僕の好きなテーマでもあるし良いと思う。
でも、ギャグ(「アブラカダブラ・・・」の後に「ブラブラジャー!」と続けるようなある意味寒いものも含め)満載の芝居作法の劇団とこのテーマは合わないと思う。
マリックさんの仕込みのマジックはほとんど目立たない。実は最後まで大仕掛けを想像していた私はかなり肩透かしをくらった。 確かに、人がぱっと消えたり、入れ替わったりするのだけど…そういえば、普通テレビで見るのもそういうマジックか?ということは演出の問題かな。
ちぐはぐといえば、三宅さんと小倉さんの掛け合いはいまいちしっくりこなかった。相変わらずのギャグの応酬なんだけど、台詞は噛むし(それが既にアジなんですけど)どうも長くて、ちょっと見ていてつらい。
白土さん、今回もかなり目立っていました。もっと目立って欲しいところです。ただ、今回役柄的には可憐かつ怪しいイメージがあった気がするのですが、その役回りと白土さんのキャラクターが合ってなかった気がします。
最後のシーンは、え?という終わり方。長い割には相当中途半端。なんか終わり方としてスッとしない。こうなんかもっとすっとした(それがハッピーエンドでもデッドエンドでもいいけど)終わり方にならないかなぁ。