劇団 | 青年団 | ||||
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題名 | バルカン動物園 | ||||
公演期間 | 1997/05/17~1997/06/24 | ||||
作 | 平田オリザ | 演出 | 平田オリザ | ||
出演 | 志賀廣太郎,山村崇子,平田陽子,松田弘子,山内健司,兵藤公美,和田江理子,足立誠,永井秀樹,安部聡子,天明留理子,秋山健一,木崎友紀子,辻美奈子,川隅奈保子,松井周,角館玲奈,田村みずほ,山田秀香,小河原康二,志摩真美 | ||||
劇場 | こまばアゴラ劇場(こまば東大前) | ||||
観劇日 | 1997/06/15 |
非常に感動した。このタイプの芝居にこんなに心動かされるとは正直自分でも驚いている。
舞台は、未来(多分2000年代初頭)の日本のどこかの生物学を中心とした複合研究施設そこでは学生が高校生向けの教育実習の練習をしていたり、ボノボを交配してより知能の高いそれを育てるネアンデルタール作戦の進行について話していたり、物理学の面々が3歳児程度の判断力を持つ猿型コンピュータを作っていたり、猿の脳の一部を異常に縮小させるノックアウトモンキーを作って自閉症の猿を作ることによって、人間の自閉症の仕組みを解明しようとしていたり、脳とその進化について様々な研究がなされていることを伺わせる会話が進む。
そこに、イスラム系の脳化学者で先のヨーロッパ大戦争で戦死(少なくとも肉体は)したアレンの脳を保存して欲しいという依頼がくる。彼の婚約者だった女性の話で有れば、その脳は培養液に浮かび、栄養液の循環による呼吸によってまだ生きているという。
その話で、学生達はまた、脳のどこまでが人工物になれば人間は人間ではなく人工物と呼べるのか、猿型コンピュータは絶対に人間とは呼べる存在にならないのか、人間の為なら猿を実験として殺していいのかといった、様々な結論の出にくい議論をし、結論のでぬまま全ての芝居が終了する。
どの話題も刺激的で見ているこっちもぐるぐるしてくる。
平田さんのパンフの言葉によれば,カオスを見せるのが一つの目的。確かに此処にはカオスがある。芝=居の構造のみでなく、各々の話題の中にも。