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[劇評]参人芝居「敵前逃亡の弥勒菩薩」@麻布die pratze

初見の劇団ながら、いろいろなところで噂を聞いていたのでそれなりに期待をしていたのだが。期待はずれな部分が多い、宗教を扱っているせいかもしれないが、脚本全般に未整理な印象が強く訴えたいものが素直に客席に伝わってこない。

劇団 参人芝居
題名 敵前逃亡の弥勒菩薩
公演期間 2002/05/23~2002/05/26
やのひでのり 演出 山口あきら
出演 千代延憲治、西村嘉一、保科みゆき、前橋咲起子、佐藤健、岩寺真志、市川裕隆、木原吉彦、福田寛、加藤英雄、戸張智春、小川卓郎、内山朋哉
劇場 麻布die pratze(麻布)
観劇日 2002年5月25日(マチネ)

<<ストーリー>>

シッタッダは、自らの思惑通りに人類が進まなかったことに怒りを覚えていた。彼に、人類の伝道を命じたものは、ジーザスを更に派遣し、地上を混乱させていた。シッタッダは、何度か姿を変え、時代を変えて人類の苦悩を目の当たりにし、自らの後継として56億7千万年後に復活するはずの弥勒菩薩に対して怒りを露にする。

<<感想>>

宗教を芝居で扱うのは難しいと思うのだが、それをかなり正面から捕らえている。しかし成功しているとは言いがたい。ありきたりな手法に終始している感が強い。

 

「1984」を思わせる管理社会的な未来や、P.K.ディックの作品を思わせる政府に狩られる子供達の話もさして新鮮味のあるものではない。宗教をその背景に持ってきたために、これらのストーリーが余計に説教くさくなっているように思う。

 

更に宗教そのものを扱っているにしてはつっこみが浅いと感じた。宗教が救いだけを求めるのではなく、危険性があることが語られないのは個人的には(あくまでも個人的には)弱いと感じた。

 

ただ、何よりも見ていて気になったのは、ストーリーが観客に何かを伝えるという構造になっていないことだ。

 

ポンポン時間軸を変えていきながら、すすむストーリーの軸が何なのかがわかりにくく観客がストーリーを追えない。あまり観客に何かを伝えることを重視していないのではないかと感じた。

 

それなりに役者はがんばっているし、評価したいのだが脚本と演出がこれでは….

 

今回だけで評価すべきではないかもしれないが…もうすこし身近なテーマとかを選ばれていればまた違った評価ができたかもしれない。

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