20年以上見続けている劇団の最新作。始めてみたときから出てた役者さんと今回初めて参加されたような新人さん、豪華客演がガッツリ組んで、それこそ何年もこの座組でやってたかのような一体感の芝居でした。久々の大掛かりな仕掛けに富んだ装置が活躍した終盤も印象に残りました
劇団 | 劇団桟敷童子 | |||||
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題名 | 阿呆ノ記 | |||||
公演期間 | 2024年6月4日~2024年6月16日 | |||||
作 |
サジキドウジ | 演出 | 東憲司 | |||
出演者 |
音無美紀子:伊織(阿呆村の女頭目) 三村晃弘:啓太郎(伊織の息子・鉄砲衆頭) 加村哲:甚太郎(伊織の孫・啓太郎の息子) 原口健太郎:玄葉(伊織の弟) 大手忍:つじゑ(隣町の鉄砲火薬問屋の娘) 稲葉能敬:一鉄(鉄砲衆) 瀬戸純哉:仙場(鉄砲衆) 前澤亮:八幡(鉄砲衆) 藤澤壮嗣:稔次(鉄砲衆) もりちえ:繁ヨシ(村人) 増田薫:カヨサ(村人) 井上莉沙:イネコ(村人) 柴田林太郎:庄助(村人) 吉田知生:馬田(村人・村役場職員) 鈴木めぐみ:久那代(九州対馬組の行商) 山本あさみ:ひい婆(阿呆ノ婆) 川原洋子:ふう婆(阿呆ノ婆) 板垣桃子:みい婆(阿呆ノ婆) |
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劇場 | すみだパークシアター倉(本所吾妻橋) | |||||
観劇日 | 2024年6月9日(マチネ) |
目次
割と定番な阿呆者の話
パンフによれば、シリーズとはいわないまでも既に何度かテーマにしている生贄の話。虚実がおりまざる桟敷童子特有の世界観ですが、子供を生贄にして、何かに備えるという風習は確かにあったんだろうな。
たしか、アジアとかアフリカにはまだ子供を神と崇める風習はあるけどあれとかも、本当は最後は生贄になるのかなぁとおもったり。
日本の生贄といえば、有名なのは船に乗るときの「ジサイ」で、魏志倭人伝にもでているもの。航海の安全を期して、体をあらわずに船に乗せられ、同様に、ことがあるまでは活かしておき、殺す対象としての生贄
この物語の中では、阿呆丸と呼ばれている
悲しい話だし、ある意味グロテスクな世界観だが桟敷童子の手にかかれば、不思議な懐かしさに満ちた物語に変わる。必死で生きる民衆を描くという意味ではある意味マンネリの極み🤣
新旧の役者がいずれも良い
23年前に見たときに出ていた役者さんは、稲葉さん、原口さん、板垣さん、鈴木さん。どの役者さんも今回脇を固める重要な役
更に、若手が台頭してきています
大手忍さんも、末っ子キャラが定番でしたが、今回は女を見せる色っぽい役。こんな演技もできるのねと思っていたら、いつもの より目でキュッと小さくなるシーン もあったりして、振り幅の大きな役を見事に演じていました。
最近見るようになった吉田さんも、今までのヌボーとした感じの役とは真逆のめちゃくちゃ喋るちょっと悪役よりのキャラ。こんなふうに喋れるんだとちょっと驚いたりしてました(失礼!😓)
そして、主役級の活躍を見せる親子役は、三村さんと加村さん。特に加村さんは多分初出演であろうに、熱演が印象に残りました。いままで、少年役といえば、この劇団に限りませんが女性が演じることが多かったのですが、骨太な少年役ができる加村さんの加入は、今後の桟敷童子の物語の方向性を変えるかもしれません🤔しらんけど😂
現実の狩猟にまつわる現状を思い描きならが見ました
山の狩猟民をもとにした戦中の話。
最近は、熊被害とかあったこともあり、テレビでも猟銃会とかが話題になっています。この時代とは随分様変わりしたんだなと感じました。
一方で、中国で高級食材という噂の熊の掌とか、肝とかがもしも高く売れるならば、今だって、狩猟をすることに積極的になるひとがいて、もう少しああいう問題も解決するのかなぁといらんことを考えていました
それでも命がけで獲物に対峙する登場人物たちの気迫が伝わってきていて、それはそれで過去も現代も共通なんだろうなぁと思ったり。
豪華客演☓主演 音無美紀子さん
音無さんの桟敷童子客演は二回目で、前回も見させていただきました。
その時も、テレビ等でみてたときの印象とは異なるきっぷの良い博多の女商人でしたが、今回は女頭目という役柄。
厳しくも優しい筋の通った女頭目を熱演されていました
今回久しぶりに、最後のシーンで舞台がかなり大きく転換したり動いたりというシーンが有りそれはそれでとても楽しんだのですが、その舞台上にいる音無さんを見ていて、「大丈夫か?」とかハラハラしました。が、しっかり舞台に立ってらっしゃいました(当たり前ですが)
それにしても久々に大掛かりな舞台の躍動を見ました。やっぱり桟敷童子の醍醐味だよなぁと納得(地方に来てほしいなと思いつつ、あの装置を見ると不可能だろうなといつも納得しています😂
以上 桟敷童子の「阿呆ノ記」の感想でした