ある意味エゴいスティックで、無茶な進行もありつつ、どうにもならない運命に翻弄される話は、突き刺さる演技もあり、演出は心に残りました。音楽に力が入っている割に、(かつ主役の方は唄が本業であるにもかかわらず)あまり音楽の印象が良い舞台でなかったのは残念でした。
劇団 | 劇団ポポポ | ||||
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題名 | 笑って泣いて慄えて眠れ | ||||
公演期間 | 2016/09/28〜2016/10/02 | ||||
作/演出 | さいけ | ||||
出演 | 山岡よしき:狸塚秋(主役/総一朗(そう)が、失踪後アル中へ) 大西聖志:兎川総一朗(秋の同棲相手。アル中) 田中龍都:水翁秦史(ライブハウスの店主) 藤江美由紀:水翁楓(秦史の妻) 菅野友絵:兎川ちとせ(総一朗の妹) 林田雅和:哲二(不動産屋) 佐藤大樹:館山(ライブハウスのMC) いちのせりん:カナ(バンドのファンからメンバーへ) 北川トモミ:けい(バンドのボーカル) 多賀栞里:りょう(バンドのバックボーカル。秋と喧嘩する) コウノイチロウ:豊田(りょうと秋の喧嘩の仲裁を名乗り出る) |
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劇場 | 新生館シアター(北池袋) | ||||
観劇日 | 2016年10月2日(ソワレ) |
目次
■物語
アルコール依存の同棲相手が、消えてしまったことから自らの居場所をなくしていた秋は、場末のライブハウスに拾われた。彼女は、そこで居場所を見つけていたものも、彼女自身がアルコール依存症になってしまっていた。やがて、彼女は、ライブハウスのオーナー夫婦が店を閉めようとしている事をしる。再び居場所を失う恐怖と、妊娠を知ったショックに取り乱し…
■感想
■音楽に力の入った芝居だが…
物語の多くは、ライブハウスを舞台で行われるため、音楽に力を入れた舞台でした。生演奏によるシーンの効果音楽はとても心に響くシーンでした。
一方で、音楽が出てこない地の芝居は、練習不足を感じさせるシーンがいくつかありました。特に、ライブハウスの前半のシーンは、何人かの役者さんが棒読みに近い台詞回しをされていて、物語がうまく頭に入ってくることもありませんでした。
音楽を使った舞台で、ちょくちょくこういうシーンを見る気がします。限られた練習時間の中で、芝居と音楽の両方を練習するのは、普通のお芝居を作るのに比べて難度があがるのでしょうね。
■稚拙なところはあり、物語に突っ込み所はある
おそらく、一人の普通の女が、好きな人のために良かれと思ってやったことが発端で、悪い方へ悪い方へと転がっていく話は、見ていて気持ちがいいものではないものの、思い通りにならない人の生き方の見せ方としては印象に残るものでした。
主役の秋さんの二重人格か?というほどの人格の変遷も、アルコール依存との関係で考えるとまあ納得いかなくはありません。(そんなに変わるか?とも思いましたが)
ただ、秋が、ボロボロになり、どん底に落ちていく中で、最後に恩人である楓を殺してしまうのは、追い込まれた状況を意味する最悪の状況ではあるものの、見ていて気持ちのいいものではありませんでした。
正直、ここまで破滅的だと最後に総一朗が現れて、救われるところが救われるシーンにならず重い気持ちのままに芝居が終わってしまいました。
それでも、秋さん役の山岡よしきさんの渾身の演技には、心を揺さぶられるところもあり、不条理な世界を生きる暗い世界の話ではあっても、(だからこそ)印象に残りました。
この舞台でもそうですが、アル中は怖いなぁと思いました。その思いを最初に感じたのは、以下の漫画でした。