大人計画の作品を初めて観劇しました(WOWOWで放映されたものの録画視聴ですが)
噂に聞いていた独特の世界感を感じることができました
前回上演時に荻野目慶子さんがされた役にかかんに挑んだ平岩紙さんの演技が、最初は不安を感じていましたが、後半には凄みを感じさせるものがありました
劇団 | 日本総合悲劇協会(大人計画) | |||||
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題名 | 業音 | |||||
公演期間 | 2017/08/10〜2017/09/03 | |||||
作 |
松尾スズキ |
演出 | 松尾スズキ | |||
出演 |
松尾スズキ:堂本こういち(自殺願望をもつ) 平岩紙:土屋みどり(演歌歌手) 池津祥子:ぽんた(堕落兄妹・妹) 伊勢志摩:杏子(こういち妻) 宍戸美和公:財前(正体不明) 宮崎吐夢:克夫(堕落兄妹・兄) 皆川猿時:末井明(みどりのマネージャー) 村杉蝉之介:丈太郎(屈折したゲイ) 康本雅子:踊り子 |
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劇場 |
東京芸術劇場シアターイースト(池袋)
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観劇日 | 2018/7/21(WOWOW視聴) |
目次
大人計画(松尾スズキ作品)の怖さにドップリ触れた初体験
実は、松尾スズキさんの作品は一度だけ触れたことがあります
20年以上昔の「ラフカット」の中の以下の作品です。おそらく30分以下の作品だったと思います
劇団ラフカット97題名洞海湾公演期間1997/10/29〜1997/11/02作松尾すずき演出堤泰之出演荒川良友、井上唯我、植田裕一、高田智之、野呂彰夫、岩波クグル、金子あい、河田裕美、杉村智子劇場スペース・ゼロ(新宿)観劇日1997年11月1日 ラフカット4作品の中で、異彩を放つ作品。4作品目にこれがきて、非常に戸惑った。 わかりやすさから、隔絶した世界。 狂気を感じる登場人物達,救いのない世界。芝居自体はくらく、重く、しずむ。 思えば、僕が一番好きなタイプの芝居のはずだが、観客さえも突き放す芝居に戸惑いをかんじ... ラフカット「洞海湾」 - 演劇とかの感想文ブログ |
それでも、ラフカットに参加していた作品の中では最も印象に残った作品でした
ただし、重い沈む舞台で、正直長尺のものを見て楽しめるか不安もあり、以後足を運ぶことがありませんでした
ちなみに、上記の出演者の一人「荒川良友」さんは、後の荒川良々さんです
当時は、オーディションで選ばれた大人計画ではない劇団の役者さんかフリーの方だったはずですが、その後に大人計画に入られました
話題作の15年ぶりの再演。興味はありました
元々15年前(今からだと16年前の2002年)の荻野目慶子さんが主演した際のバージョンも当時随分話題になりました
2002年10月に日本総合悲劇協会が草月ホールで上演した舞台「業音」のレビュー/劇評のリンク集です。この作品は、作/演出ともに松尾スズキさんがしています。3本の劇評を読んでいただく... 業音(2002) | 演劇感想文リンク - 演劇感想文リンク |
荻野目慶子さん主演で演じられた15年前の舞台を平岩紙さんでどう料理してくるのか?そんな興味はあり、WOWOWで放映されるのもあわせて観劇しました
シュールな始まり方。意味不明のダンス。これが大人計画!?
自動車事故から始まる舞台。死にかけているはずの女(伊勢志摩さん)が、しゃべりまくるし、謎のダンスを踊る
一人の白装束の人以外、イマイチダンスに切れがないし、なんか最初から観客として突き放された感じがあります
ただし、松尾スズキさんと宍戸美和公さんのツッコミに答える弱い立場のはずの、平岩紙さんと皆川猿時さんの応対も面白くて笑いがこみ上げます
とくに、平岩紙さんの100%(ひゃくぱーせんと〜↗)と言った表情はかなり独特で、ちょっと忘れられません
知ってる役者は多いのに意外にしらない
テレビドラマのあまちゃんを始め、大人計画の役者さんが出演しているドラマや映画は結構みていることもあり役者さんの中で見覚えのある顔の方が多々います
松尾さん、平岩さんはもちろんのこと、皆川猿時さん、宮崎吐夢さん、池津祥子さんあたりは他の作品で見覚えがあります
しかし、その中で過去のイメージ通りだったのは松尾さんと皆川猿時さんだけだったと思います
他の役者さんについていえば、なにか他の作品に出ているときにくらべて、全体に裏があり人を不安にさせるような目つきで演技をしているように思いました
平岩紙さんってこんな演技ができるんだぁ
平岩さんが大人計画であることは勿論知っていましたが、ドラマやCMの印象もあり気のいいお母さんキャラが頭に染み付いていました
荻野目慶子さんに比べれば、なんか迫力ないし、存在感も薄い
そういった意味で、彼女が主役を背負えるのかちょっと不安を感じながら見始めました
正直、最初のシーンでの彼女の存在感もそれほどではなく(他の役者の印象が強すぎる。特に伊勢志摩さん!怖い!!)
が、物語が進むに連れて、彼女が抱えているものがどんどん深く重く伝わってくる
死んだ母親の年金頼りに、ちょこまかと金を借りては暮らす、元アイドルで今は演歌歌手
借金返済の為に、出会い系で援助交際を行い、植物人間になった妻の代わりに肉体だけの妻となり子供まで身ごもる
完全に終わっている人生を暗い目で受け止める姿は、虚無感がハンパありません
完全にこの芝居の悲劇を背負い込んでいて、まさに主役の迫力が出ていました
時々出てくる変顔や、脱力系のダンスが、ポップな感じもあってその落差がまた不思議でした
最後の開き直りの台詞と表情は、テレビでは全く見たことのない凄みのある演技でした
松尾スズキの作/演出の怖さ
松尾さんの演劇は、初めて見たときも感じたことですが観客の理解を得ることを拒否しているように感じます
暗い世界で、出てくる人はダメ人間ばかり
各々が闇を抱えていて、ハッピーエンドとは程遠い終わり方をします
深淵な神についての議論であったり、ゲイ(ホモ)の人生観であったり、台詞に散りばめられた考え方は各々はとても興味深いもので、切り口を変えて提示されれば共感をできるところがあったであろうと思うのですが、あえて嫌われる方向で提示してきます
例えば、ゲイ(ホモ)の孤独として、自分の子孫が残せないという思いに対して、まわりの人間たちを次々に自分のコピーにしようとする村杉蝉之介さんの発言は一部わかる部分もありますが、発想が飛躍しすぎていてついていけません
発想が意味不明で、笑えるようで心のそこから笑うことを拒否されている感じがヒシヒシ。
今回が、日本総合悲劇協会という看板でやっているからなのかもしれないが、大人計画でも同じではないかと感じました
やけにダンスがキレる劇団員がいるなぁと思ったら
ダンスで有名な康本雅子さんでした。終わって、キャストロールが流れて初めて知りました
びっくり
劇場でみていれば、事前に配られた配役表で気づくところですが、こんな驚きがあるところがテレビ視聴のメリットかもしれません
以上 WOWOWで先日WOWOWで放映された日本総合悲劇協会(大人計画)の2017年上演作品「業音」の感想記事でした
元々は、劇団※新感線の「髑髏城の七人」一気放送を見るために加入したサービスですが、意外に見てます(笑)