昨年に引き続きワンツーワークスの広島公演を観劇。小気味よい演出と原作ありの物語のみやすさで2時間休憩なしの舞台もまったく時間の長さを感じず。たった20数年前発売の原作なのに時代の変遷を実感した舞台でもありました。
劇団 | ワンツーワークス | |||||
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題名 | R.P.G | |||||
公演期間 | 2023/06/23 | |||||
作 |
古城十忍(脚本)、宮部みゆき(原作) | 演出 | 古城十忍 | |||
出演者 |
奥村洋治:武上悦郎(取り調べ担当刑事) 関谷美香子:石津ちか子(証人一美の担当刑事) 金原直史:徳永松男(取り調べ担当刑事・書紀) 小田原麗:淵上美紀恵(取り調べ担当刑事・付き添い) 長田典之:所田良介=お父さん 小林桃子:所田恵美(良介の妻) 川畑光瑠:所田一美(良介の娘) 小林諒音:石黒達也(一美の彼氏)、鑑識1 みょんふぁ:三田佳恵=お母さん 東史子:加原律子=カズミ 安森尚:北条稔=ミノル 原田佳世子:女子大生A子 綾城愛里奈:今井直子 増田和:鑑識2 小山広寿:刑事 |
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劇場 | 広島市東区民センター広島() | |||||
観劇日 | 2023年6月23日(ソワレ) |
目次
広島でワンツーワークス再び訪問
東京の劇団ですし、僕自身も時々東京に行って観劇しているので、東京で出会っても良かったのですが、再び広島で観劇。
広島での貴重な観劇機会を作ってくれるこの劇団に感謝です
劇場は、昨年見たのと同じ東区民センター。
前回見たのは、「民衆が敵」というSNSによる誹謗中傷等について考えさせられる舞台でした。
芝居の說明を読んで、政府批判とツイッター批判をする平板な舞台かもしれないという不安があったが、思った以上に物語がしっかりしているし、極端な思想があるわけでもない芝居でした。色々考えさせられる(ちょっと極端によっているように感じましたが)ことが散りばめられていますが、最終的には思わぬどんでん返しの上で親娘のの物語になっていて、見ごたえがありました 劇団 ワンツーワークス 題名 民衆が敵 公演期間 2022/05/19~ 2022/05/19 作 古城十忍 演出 古城十忍 ... [劇評]ワンツーワークス「民衆が敵」@東区民文化センター(広島市東区) - 演劇とかの感想文ブログ |
ネット上の疑似家族
2001年に発売された原作小説は、おそらく当時においてはありそうだけどありえないネットの世界を描いているように思います
ただ、すでにパソコン通信はあって、オフ会という言葉はすでにありました。でも、ネット上で仮想の家族を作っているという人は、果たしているものかどうか。
お父さんとかお母さんとかいう「家族」をネット上に持つというのは、当時そういうネット文化にそれなりに染まっていた身としてもちょっと実感が持てません。
この時代のあとにBlogが隆盛になり、SNSが次々にあらわれてという時代の変遷を経てもこのあたり変わりがないようにおもいます。
そういった意味で、劇中の本物の家族が、ネット上に家族を持つお父さんに対して持つ違和感のようなものは、今見ても通じるように思いました。
一方で、家族という意味ではなく、ネット上のほうが人間関係が濃いという現象は、当時と今ではかなり様変わりしており、これが家族という設定でなければ、また全く違う印象の物語になったような気がします。
時代劇?
劇中に出てくるツールなども、時代の変化を感じます
個人のホームページとか、レンタル掲示板とか、今となっては廃れてしまったネットのツールです。(かくいう、このブログももとは1997年に僕が作成した個人ホームページが元でした、そういえば、掲示板とかにも投稿したなぁ(遠い目))
そのうえ、携帯電話は折りたたみ式で、劇中の女子高生が携帯電話のアンテナ伸ばして電波探しているとか、かなり懐かしい仕草でした
劇場には高校生らしい観客も来ていましたが、意味分からなかったかもしれません。一方で、結構年配の観客にもあまりピンとこないテーマなのかもしれません
ここ最近の情報機器の変化が特別なのかもしれませんが、電話ひとつをとっても、10年単位で姿が変わっていくので、現代劇のつもりでみても、時代劇のような感じになりがちです
劇作化、演出が上手い
昨年見たときも、独特のストップモーションや無音でのマイム的な演技を巧みに取り入れていて、印象に残ったのですが、今回は原作小説を巧みに舞台に乗せています
同時進行の2つの場所(取調室とその外の証人の部屋)の出来事を時間差で表現するところや、家庭生活の雰囲気を無音のマイムで説明したりといった演出が印象にのこります
もともとの物語のちからもあると思いますが、舞台化することでより分かりやすい話になっていたと思いまいした。
話によれば、再再演のようですが、それだけ繰り返されるのも納得の脚本でした
昨年も見たときに出演されていた奥村さんや関谷さんは非常に落ち着いた刑事役をしていて、舞台に芯を通してくれているような感じがしました。
最後のどんでん返し!でも…
この物語は、警察が仕掛けた独特の捜査手法が終盤明かされます。
これ、かなりうまくできていて、また、数ある宮部さんの作品の中でこの作品が舞台化された理由もよくわかります
….なんですが、パンフレットで、終盤に大どんでん返しがある旨が、作者の方のコメントにあり、実はそれを期待しながら見てしまったがゆえに割と早い段階でその捜査手法に気づいてしまい…なんか実際にそのどんでん返しが明かされたときにちょっとがっかりしたというか、「やっぱり」という感じになってしまいました
パンフレットの記載がなければ、もうちょっと違った感じ方をしたような気がするので、ちょっと悲しかったです。
広島でも見よう
今回の舞台には、地元の劇団のチラシも何枚か入っていました。
東京にいるときの習慣で、corich舞台芸術で、検索していたのですが、そちらにはほぼ未掲載(日程近づけば掲載されるのかもですが)。
なので、知らなかったのですが、他にも広島の地元の劇団が上演をしている様子。
スケジュールが合えばそちらも見に行きたいと思います
今回の原作小説。気になったので買っちゃいました。電子書籍版がないのはつらい(95%くらい書籍は電子派です)
以上 ワンツーワークス「R.P.G」の広島公演の感想記事でした