劇団 | 野田地図 | ||||
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題名 | ローリング・ストーン | ||||
公演期間 | 1998/04/04~1998/05/02 | ||||
作 | 野田秀樹 | 演出 | 野田秀樹 | ||
出演 | 野田秀樹、阿部サダヲ、安藤洋子、一谷真由美、入絵加奈子、植本潤、、及森玲子、恩田括、加藤貴子、キムラ緑子、草野徹、佐伯新、坂田今日子、、進藤則夫、鈴木浩司、貴山侑哉、多田慶子、田中智寿、田中利花、冨樫真、、永森英二、西川忠志、羽野晶紀、平沢智、船田千詠、松村武、水谷誠伺、、宮下今日子、矢沢誠、八嶋智人 | ||||
劇場 | シアターコクーン(渋谷) | ||||
観劇日 | 1998年4月19日 |
NODAMAPは、見るのは実は3回目(TABOO,キル,RollingStone)
みっつの作品の中では、一番印象の薄い作品になりそうな気がします。
(のっけから無茶をいいますが)
勿論、面白くなかったわけではなく、今年見た中では(まだ、たいして見て いる訳ではないのですが)、現在の所ベストに位置すると思っています。た だ、NODA MAPの作品と考えた時にちょっとだけ不満が残るのです。
不満のポイントは、二点。「スター不在」と「色の少なさ」です。
「スター不在」とは、過去二作品に比べて今回これといった主役級がいなかったことが僕にとっては不満でした。(TABOO の唐沢さん、キルの堤さんにあたる役者がいない)勿論羽野さん、キムラさんの好演は目を引きました。他の若手特にロダン役の西川さんの演技は好きでした。
しかし、芝居の構造として、誰かを中心に据えていない作り方が、僕自身には今回集中して見ることを阻まれた気がします。どちらかというといいとこを野田秀樹さん自身が持っていってしまっているのが、どうしても嫌いだった。うーーーーん好き嫌いでしか書いていない。できれば、もっと誰かをフォーカスした作りにしてくれると感情移入しやすかったんだけどなぁとか思いました。
「色の少なさ」も今回は不満でした。いつもなら、NODAMAPの芝居は、衣装の色使いってやつが本当にきれいで、それが楽しみの一つになっていたのですが、今回の舞台の衣装は、ほんとに地味な色ばかりで、ちっとも面白味がなかった。確かにあれほどの役者が並列だといったい誰が、どっちなんだといった事を明示するために、ある程度衣装の色に意味がある必要性もわかるし、テーマが石だけに、あまり派手な色使いができなかったというのもあるかもしれませんが……羽野さんの髪の赤が妙に印象に残った舞台でした。
……のっけから不満ばかりいってますが、すごく良かった部分もいっぱいあります。特に、印象に残りそうなのはあの舞台です。舞台はそのアイデアとそれを使い尽くす演出に感動しました。あの舞台奥の垂直にたった舞台に役者達がはりつきオブジェになっていく様子は本当に斬新な印象を受けました(朝倉摂さんの舞台が階段が多用されていて正面から見た時に立体的な広がりがあるようになっているのは、見たことがあるのですが、今回のように垂直方向に延びる舞台って初めてのような気がします)
いま、気づいたのですが、衣装の地味な色使いはこの舞台の壁にオブジェとなってはりつく役者達を際だたせる為だったのかもしれません。だとすると成功しているといえるのかなぁ(でも、普段の演技をしているときに寂しいのはやはり事実ですが…..わがままな私)
ストーリー自身もかなりシンプルで、わかりやすいなぁと感じました。ただ、どこかお伽話的な抽象化が、野田の他の作品に比べて毒がないような気がして気にいらなかったのですが(更にその毒のなさを覆い隠すように妙に下世話な話やセックス描写が入っていたような気が…..(あ、また不満をいっている))
羽野さんんと多田さんの姉妹のシーンは好きなシーンでした。特にラストシーン近くの多田さんの台詞は心に残ります。(基本的に男女の恋愛感情より兄弟愛とか姉妹愛とかのほうがジーンときてしまう僕自身の特性もありますが)