チケット争奪戦でなんとか取れました。いや、その価値のある素晴らしい舞台でした。初演、再演は同じ作品でしたが、今回はキャストも含め一新されて、生まれ変わり素晴らしい作品に仕上がっていました。ただ、妻夫木さんがよかっただけに、仇役の弱さが気になりました。
劇団 | 野田地図 | ||||
---|---|---|---|---|---|
題名 | キル | ||||
公演期間 | 2007/12/07-2007/01/31 | ||||
作 | 野田秀樹 | ||||
出演 | 妻夫木聡、広末涼子、勝村政信、高田聖子、山田マリヤ、村岡希美、市川しんぺー、中山祐一郎、小林勝也、高橋恵子、野田秀樹 | ||||
劇場 | シアターコクーン(渋谷) | ||||
観劇日 | 2008年1月6日(ソワレ) |
【ストーリー】
羊の国(モンゴル)の洋服屋の息子テムジンは、父の憎しみを受け成長するが、父はファッション戦争に敗れ命を奪われてしまう。 そんな父の遺志を受け継ぎ、祖先の名を冠したブランド「蒼き狼」による世界制覇の野望を抱き、羊毛の服で大草原のファッション界を制していく。 そして、腹心・結髪の仲介で絹の国(中国)から来た娘シルクと恋に落ちるが、シルクは絹の国に連れ去られてしまう。 怒ったテムジンは、祖国の羊を焼き捨て、敵国に攻め入りシルクを奪い返す。 やがて、妻となったシルクに息子バンリが誕生し、父と同じ宿命を背負ったテムジンは、 今度は自分が息子にとって代わられる恐怖に襲われるようになる。 しかし、その後も外征を続け、ついに世界制覇の夢が達成するかに見えた時、 西の羊(西洋)の地から、「蒼い狼」という偽ブランドが出現し、「蒼き狼」の行く手を阻む。 その制圧に遣わしたはずのバンリは消息を絶ち、新たなデザインさえも「蒼い狼」に盗まれ追い詰められるテムジン。 果たして「蒼い狼」は一体誰なのか? バンリなのか? 腹心の裏切りなのか? 愛憎が渦巻く果てに、ついに「蒼い狼」が姿を現わし、「蒼き狼」との最後の戦いが始まる・・・・・。(劇団HPより)
【感想】
もう時効だと思うので書いてしまいますが、96年に私、無謀にもこの脚本を福岡で上演したことがあります。出演こそしませんでしたが、音響効果担当だったので、各シーンごとに音楽をあわせる為、脚本はそれこそ穴が開くほど読みました。
この脚本は、野田さんの作品の中でも傑作のひとつだと思っています。
なので、1997年の再演時には、二度も見ています。(福岡で上演した後で94年の初演時のビデオも見ました)。今回のチケットも何としても取りたいと思い、なんとか取ることができました。
すごいもので、それだけ思い入れがあると舞台上でしゃべる役者より先に台詞が頭の中に浮かんできます。
キャスト一新、不安ではありましたが、妻夫木さんは思ったよりもよかったです。主役の弱さと強さを兼ね備える雰囲気が上手く出せています。ただ、長台詞はまだつらいですね。コクーンの広い舞台を埋めきる存在感が続かない気がしました。
広末さんは、ちょっとおバカでそれでいて純粋なシルクでした。でも、ちょっと年齢がいっているのがなぁ。それは、野田さんも同様ですが。今回全キャスト入れ替えている中で唯一の初演から変わらぬキャストが野田さん。さすがに「おとーたまー」というのは限界がある気がしますが、かといって他にこの役をやれそうな人がいない….やむなしというところでしょうか?
それよりも問題だと思ったのは仇役ともいうべきカルダンとイマダ(テムジンの父/蒼い狼)が迫力にかけたことではないでしょうか?仇が尖がっていないと主役も霞むんだなと思いました。