こまつ座の新作は、戯曲ではない井上ひさし氏の作品を元にした桟敷童子の東憲司さんによる作・演出。
東憲司さんらしい、アングラ的な演出が随所に見られ、楽しめたものの、15分の休憩を挟んで2幕3時間の舞台は、少々冗長さを感じ、消化不良。
劇団 | こまつ座 | ||||
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題名 | 戯作者銘々伝 | ||||
公演期間 | 2015/05/24~2015/06/14 | ||||
演出 | 東憲司 | 作 | 東憲司(井上ひさし原作) | ||
出演 | 北村有起哉、 新妻聖子 、 玉置玲央 、 相島一之、 阿南健治 、山路和弘 、西岡德馬 | ||||
劇場 | 紀伊國屋サザンシアター(新宿) | ||||
観劇日 | 2015/05/24 |
目次
感想
東憲司さんらしい演出が随所に
冒頭から江戸の戯作の表紙を舞台前面に並べて、その影で登場人物やものがあらわれるという趣向は、唐十郎のジャガーの眼の演出を思わせられました。ラストシーンや最初のシーンの降り積もる
第一幕のエピソードの連続という構成には疑問
原作がそういう構造なのでおそらくしょうがないと部分があるのですが、戯作者一人ひとりのエピソードを順番に語っていくという構成は、冗長だなと思いました。戯作者全員が、三途の川にて過去を語り合うという構成でしたが、単調に連なっていくエピソードであったこともあり、睡魔との戦いを強いられてしまいました。(おそらく、私の体調の悪さもあったとは思いますが)
第一幕との関連性の弱い二幕
第二幕は一変して、山東京伝を主役にした、江戸人情モノともとれる小作品。一幕では、山東京伝の二人目の妻のエピソードが語られているのに、二幕は、一人目の妻を失い、戯作の創造への意欲をうしなった山東京伝にまつわる話でした。
その辺の時系列がわりとごちゃごちゃしてしまっていたのがうまく整理されていないが故に、あまりスッキリしてい見ることが出来ませんでした。
後知恵ではありますが、第二幕を活かすのであれば、第一幕をもっと山東京伝よりに整理しなおして、一幕、二幕をうまくつなげてしまったほうが、スッキリした気分で見終わることができたような気がします。
北村有起哉さんの振り幅のある演技、脇を固める俳優陣の安心感
実をいえば、舞台での北村有起哉さんを見たのはこれが初めてだったのですが、映像作品と同様、繊細な表情と激昂する感情の起伏が激しく演じられており、主役の山東京伝の苦悩がよく伝わってきたと思いました。
脇を固める俳優陣も芸達者で、複数の役をうまく演じ分けながら、飽きさせることのない演技でした。
それだけに、全般の戯曲の構成の冗長さによる不満が残る舞台でした。