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[劇評]唐組「カーテン」@鬼子母神神社

91年、僕が上京して初めて見た作品です。 91年の作品のリメイク/改訂版とは言え、電子城を思い出すシーンや台詞が多く、懐かしさで長い上演時間を忘れました。(多分始めてみた人にはつらかったと思います。正直、脚本のわけわかんなさは絶対拍車がかかった気がするし)

劇団 唐組
題名 カーテン 電子城Ⅱより
公演期間 2005/10/08~2005/10/30
作/演出 唐十郎
出演 唐十郎、鳥山昌克、久保井研、辻孝彦、藤井由紀、赤松由美、真名子美佳、丸山厚人、多田亜由美、上野正士、高木宏、岡田悟一、気田睦、西川高史、野村千絵
劇場 鬼子母神神社(雑司ヶ谷)
観劇日 2005年10月29日(ソワレ)

【ストーリー】

女王蜂になるための闘いに負け、巣を追い出されたハチのタアヤ。弱り果てたタアヤが飛び込んだ耳の穴。その耳の穴の持ち主・荒川は、それ以来いつも夢の中でタアヤを背負って飛んでいた。そして、”もうひとつのハチの国を造る”ことをタアヤに誓った荒川は、弁天堂のゲームソフト作家になったかつての夜間高校教師・田口に、この物語をゲームの材料にと申し出るのだった。
途中で途絶えた荒川からの手紙で、導入部のみ出来上がった田口のソフト「フェロモンの呪縛」。
しかしその物語は、2週間前に別の作家によって、弁天堂に送られていた。その作家の名は、少女アセトアルデヒドー。その倒錯の真相を探るべく田口は荒川のいる”アリアハン夜間高校有志パーティー”の同窓会へと向かうのだが・・・・。
タアヤを入れたハスの花卉を手に、フェロモンの林に向かった荒川に代わって、田口の前に現れた荒川の使い、養蜂家の女・谷。林の火事で花卉を失った荒川と同じく、養蜂場を失ったその谷を”タアヤ”と思い、作家・田口にもまたそう思って欲しいのだと。谷(タアヤ)が荒川に語る、タアヤと荒川の夢物語の続きのような、メス蜂を助ける三日次郎の”蜜で書かれた”物語。カーテンひらめく理科室で夢見て眠る三日次郎が、夢のメス撥と別れることのない方法がかかれた物語の結末。巣箱の下に埋まるそれを探すため、谷は荒川を連れ、再び燃えてもうない養蜂場へと向かおうとする。そんな中、蜂の子を背負った少女アセトアルデヒドの手は、進行する二人の物語にさには弁天堂にと伸びていた・・・・。
「理科室にたどりつくと、夜のその部屋には、もう三日次郎の姿さえなく、顕微鏡があるだけでした。」
ひらめくカーテンの向こうに飛び交う、いくつもの物語。(以上 劇団チラシより)

【感想】

このストーリーの元になっている電子城Ⅱは、僕が東京に上京してきて初めて見た東京の演劇でした。(といっても唐組は、1989くらいから見ていたのですが、見たのはすべて福岡公演でした)

確か、当時は、唐・麿・鷹(唐十郎、麿赤児、大久保鷹)という状況劇場三怪人が久しぶりに揃い踏みということで話題になったと記憶しています。正直いくかどうか迷っていたのですが、見に行った方の劇評を見て、電子城Ⅱと登場人物があまり変わっていないにもかかわらず(15年もたてば当たり前ですが)配役はかなり変わっているというのが僕にとっては今回見に行く気になった理由でした。

見に行って見ると、91年の作品とは言え、電子城を思い出すシーンや台詞が多く、懐かしさで長い上演時間を忘れました。(多分始めてみた人にはつらいと思う。正直、脚本のわけわかんなさは絶対拍車がかかった気がするし)

この芝居の大注目は、新人で最近心境著しい丸山厚人さんです。91年当時麿赤児が怪演した「少女アセドアルデヒド」を新人でイケメンの丸山さんがやると他の人(まねきねこさん)の劇評で読んだとき正直どうなることかと思いましたが、この配役大成功ですね。久保井研さん、稲荷卓央さんが演じるタグンテ/荒川という主役二人の向こうを張って見事な悪役を演じきっていました。
一時期は、男優の新しい人が次々にやめていって心配をしていたのですが、どうやら稲荷さんの次の軸になる役者さんが生まれたなぁという風に感じました。

今回の唐組を見て、一番驚いたのは、「男手」が増えたということ。見知らぬ(失礼)新人男優が結構増えていることもさることながら、2回の休憩ごとに大幅に変わるしかもかなり作りこまれた装置は、最近の唐組でもなかなか見られない大掛かりなもので、緻密な装置でした。唐組は、今パワーがみなぎっているのかもしれません。

女優が今回は少し目立たなくなった気がしました。もちろん、藤井さんの演技力は健在ですが、なんか貫禄でてきました。後、いつも男装の麗人という雰囲気だった赤松さんがまた太った気がする。なんか渡辺えり子みたいです。(いや、嫌いじゃないが)でも、赤松さんにはやせてほしい。もう一度、白いスーツ姿を見せてほしい….切に願うファンがいることを忘れないで欲しい。

思えば、91年の電子城Ⅱのときに舞台にいた人がほとんど今いない。わずかに茶界役をやっていた伊藤正之さんが、最近三谷さんの舞台や、商業演劇で活躍しているくらいだ。当時の荒川役、千野宏なんてどこにいってしまったんだぁぁぁぁ?大久保鷹も最近みなくなったような気がするし、(後の出演者はほとんど覚えていないが)
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