劇団 | イナセナ企画I.N.S.N Project | ||||
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公演期間 | 2012/10/11~2012/10/14 | ||||
演出 | 佐藤慶 | 作 | 増岡裕子 | ||
出演 | 小笠原東院健吉、長田紫乃、新倉優、荻原裕哉、服部善明、備本愛香、増岡裕子、松本しゃこ、室井沙織 |
役者の熱演、個々の役者の芝居への集中はすばらしく、緊張感が客席に伝わってくる舞台でした。
女性のエロティックであったり、後ろめたかったりするような心情を、モノローグを語る女優とその心情を演技する女優の役割を分割することで、言葉で聞く女性の心情とその思いを演じている女性の姿を見ることができる演出は、想像力をかきたて、見てるこちらにもその緊張感が伝わってくるものでした。(指先の細かい動きなど、こちらがゾクっとする場面もありました。)
ちょっとだけ、ク・ナウカの舞台を思い出しました。
照明効果も、ギャラリーという場所柄(今回初めて、ギャラリー・ル・デコという劇場に伺いました)、天井も高くなく、相当苦心された感じを受けましたが、演出の効いた「いろ」のある照明でした。特に、芝居の始まる最初のシーンの照明が舞台を中心に回るような演出は、他であまり見たことがなく、個人的にはとても新鮮でした。
一方で、なぜこの物語がそもそも「スチュワーデス」という題名がついているのか、最後までわからない舞台でした。(最後に無理やりスチュワーデスの話が出てきますが、全体のトーンに絡む部分もなく….)
複数の話(ストリップ小屋の女性たち、不倫の男女1、不倫の男女2…)が並行して進む展開は、最後に全ての話がひとつにまとまる大団円的な展開を想定していたため、終わり方には唐突感というか肩透かし感というかなんとも吹っ切れない物がありました。
ストリップ小屋の女性たちの話にしても、女優さん、男優さんが各々ダブル/トリプル(それ以上?)キャストになっています。でも、その必然性もあまり感じませんでした。個々の配役のエピソードが中途半端で、こんなことなら、個別のエピソードをもっと掘り下げていただいた上で、キャラを絞ってももらったほうが良かった気がします。
例えば、ニューハーフとシングルマザーとちょっと足りない感じのストリッパーを同じ女優さんが演じていますが、シングルマザーの役に絞ればそれで良かったような気がします。俳優さんの力がある分もったいなかったなぁと思いました。
(もしかしたら、各々のキャストに見せ場を用意する為のキャスティングだったのかもしれませんが、それはそれで、観客の立場に立っていない脚本/演出だったと思います)
「脱ぐ」演出も、あまり必要性は感じませんでした。もとより、「必然性」とか「芸術性」がない限り脱ぐのはご法度というつもりはありません(綺麗な女優さんばかりの舞台だったこともあり、「おじさん」の自分としては、嬉しい演出であったのは否定しません….(汗))
が、もったいないなぁとは思いました。この覚悟をもっと別の部分にかければもっと面白いものになった気がします。
ユニットとしては、第一回の舞台ということで、今後また色々と方向性が定まっていくのかなとは思います。
役者陣は、力のある方も参加しており、また機会があれば見たいと、思いました。