劇団 | 劇団桟敷童子 | |||||
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題名 | 夏至の侍 | |||||
公演期間 | 2022/06/07~ 2022/06/19 | |||||
作 |
サジキドウジ | 演出 | 東憲司 | |||
出演者 |
音無美紀子:鍋嶋ふみゑ(鍋嶋養魚の主) 板垣桃子:鍋嶋菜緒(ふみゑの長男の妻) 長嶺安奈:鍋嶋みちる(長女) 大手忍:鍋嶋わたる(次女) 水内清光:梁瀬和徳(元鍋嶋養魚の従業員) 瀬戸純哉:丸尾耕平(丸尾養魚の主) もりちえ:丸尾美穂(耕平の妻) 柴田林太郎:嵯峨野忠吉(丸尾養魚の従業員) 原田大輔:河埜義晴(丸尾養魚の従業員) 羽田野沙也香:楢崎富代(丸尾養魚の従業員) 吉田知生:中村進一(丸尾養魚の従業員) 前澤亮:古賀タカシ(丸尾養魚の従業員) 鈴木めぐみ:鍋嶋嘉穂(鍋嶋本家 鍋嶋興業の会長) 三村晃弘:鍋嶋勝男(鍋嶋興業の社長 嘉穂の息子) 増田薫:鍋嶋沙織(勝男の妻) 稲葉能敬:青柳健文(ごきんぎょさん 大工) 川原洋子:青柳かなえ(ごきんぎょさん 健文の妻) 山本あさみ:藤野敦子(ごきんぎょさん 健文の大工仲間) |
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劇場 |
すみだパークシアター倉(とうきょうスカイツリー)
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観劇日 | 2022/06/18(マチネ) |
目次
音無美紀子さんの博多弁が美しい
村井国夫さんの出演作の以下の舞台を見たときに、劇場でお見かけした奥様の音無美紀子さんが、なんと今回は客演として出演。
2019年に観劇した際は、主役の村井国夫さんが病気降板し、代役キャストでの観劇でしたが、超短期間で再演が決定。前回の代役版もよかったですが、さすがの村井さんの存在感に圧倒される舞台に仕上がっていました劇団劇団桟敷童子題名獣唄公演期間2021/05/25~ 2021/06/07作サジキドウジ演出東憲司出演者 村井国夫:梁瀬繁蔵(ハナト/三姉妹の父親) 板垣桃子:梁瀬トキワ(長女) 増田薫:梁瀬ミヨノ(次女) 大手忍:梁瀬シノジ(三女) 鈴木めぐみ:カネトキ(キノコ採りの名人) 坂口候一:春治(地主) 浅井伸治:堂上(村人) 原... [劇評]劇団桟敷童子「獣唄」@すみだパークスタジオ倉(とうきょうスカイツリー) - 演劇とかの感想文ブログ |
旦那さんの舞台を見られて、自分もやりたくなったのかしら…とか思いつつ見に行きました。
正直、アングラの舞台とテレビ等でしかお見かけしたことのない音無美紀子さんのイメージが合致する部分がなく、果たしてどんな感じなんだろうと思っていました。
が、登場するなりの博多弁で、かなりの長台詞をとうとうとまくし立てる姿に感動しました!。
福岡には長く住んでいたこともあり、ネイティブな博多弁を操る地元の商売人のおばちゃんの定食屋や居酒屋にお世話になったことが多々あります。
そのころの懐かしいイメージがふわっと蘇ってくる見事な博多弁で、音楽的とさえ感じました
このシーンで、一気に音無美紀子さんの演技に引き込まれたように思います
きっぷの良さと品の良さが体現されていて、金魚養殖の旧家の女将という人物像がしっかりと伝わってきました
金魚養殖家という職業ってあるの?
上記の村井国夫さんが出演されていた「獣唄」もそうですが、桟敷童子の舞台では謎の職業が現れることが多いです。
「獣唄」では、野生の花を採取し、高値で売り捌く花の狩人的な仕事(はなと)でしたが、今回は金魚を養殖することで隆盛を極めた地域と養殖業を営む老舗という職業。
どちらも叙情をそそる設定ですが、同時に「こんな職業本当にあるんかいな」と思いながら見てしました。
ただ、金魚の育成方法など、興味深い話を混ぜながら、そんな不思議な職業に現実感が持たせてくれる物語はとてもおもしろく、最後はそんなことあまり気にしていませんでした
様々な苦難に立ち向かう女主人が素晴らしい
音無さんが演じる老舗金魚養殖家の女主人は、きっぷのいい九州女。
唯一の希望の息子に台風による災害で死なれ、その嫁とともになんとか事業を継続しますが、事業そのものは凋落の一途。そして、娘二人は家を飛び出したものの、色々あって実家に逃げ帰るように帰宅。
そんな状況に一人で立ち向かっているのに泣き言もなく、淡々と立ち向かう様はとても感動しました
「父の背中」なんて言葉がありますが、「母の背中」を見せることで、凋落事業も娘たちの苦境にも立ち向かっていくさまに熱いものを感じました
長嶺安奈さんのハスッぱな演技がいい
客演の長嶺安奈さんも独特のリズム感が、セリフや動きに感じられる女優さんでした。
今まで見たことのない女優さんでしたが、あまり桟敷童子でみたことのないタイプの女優さんで、ときに攻撃的なセリフも含めて、もう一人の娘役の大手忍さんと良い対比になっていて二人のやり取りがとてもほのぼのとしていました
結果として、劇団員の大手忍さんと板垣桃子さんを含めた女系家族(板垣さんはお嫁さんという設定ですが)の力強く生きていく様が、伝わってくる舞台でした
男優陣は、新しい力が
いつも以上に、女優陣が頑張っている印象が強い舞台でした。原口健太郎さん(どうやら、別の舞台に客演されていたようですが)が、不在だったのも影響しているかもしれません。
一方で、最近目立つ役になってきた三村晃弘さんの演技も良いです。
老舗を背負う当主の苦悩のようなものを感じ取ることができる演技で、最近出てきた役者さんの中で安心してみていられる方です。
また、客演の水内清光さんも、ちょっとアングラな匂いのする演技をされる方で印象に残りました。変な話ですが、今の桟敷童子にいるどの役者さんよりもそういう匂いがする方でした(ま、すでに桟敷童子はアングラ劇団という整理は間違っているのかもしれませんが…)
水の使い方が印象的
台風のシーンなどで、舞台上からザンザン降りする雨のシーンを舞台の上から本水を使って表現されていました
こういう演出ができるのも、劇団と劇場(シアター倉)さんの関係がとても良好だからだろうなと感心してしまいます。
夏前ということもあり、この本水を使った演出とても印象的でした
ちなみに座席は最前列の席だったのですが、座席には暫く見ることがなかったビニールシートが…
案内してくれた劇団員の方から、「今回は水を使う演出で…」という予想したアナウンスがありました。
で、芝居中は常にビニールシートを手に構えていたのですが…特に水がこっちにくる様子はなく、若干緊張しつつも少し楽しみにしていたので、ちょっとがっかり
アングラ劇を見すぎてしまったようです….
以上 劇団桟敷童子「夏至の侍」の感想でした。